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振り返る

 Ryo Fukui - My Favorite Tune


 を 聴きながら



 **



 振り返れば、詩を書き始めて、9作目には私は、匂いを意識した詩を書きたいと挑戦しているのですが、全く上手くいかなくて、……その後、何度か挑戦しているのですけれど、上手くいかなくて、……嗅覚、味覚、触覚、そして視覚、聴覚、食と死のテーマの次くらいには、挑戦しようとしている切り取り方なのですけれど、今思ってみても上手くいった試しがないのです


 ……難しいのですよね、






 




 たとえば、





 **





 『匂い』


 ミルクの匂いがする

赤ちゃんの匂い


ケーキの匂いがする

一日ケーキ焼いてたんだもの

膨らまなくてかたいからなんども繰り返し


雨が降っているのね

雨の匂いがする


窓を開けているから


手を触れてみたら手から甘いかおりがした


ほら良いから出てきなさい


ちいさなお手手ひいて


一緒にケーキを食べよう


苺は嫌いだからあげる


にゃーお


声が聞こえた


何も聞こえなかった


ミルクの匂いがする

赤ちゃんの匂い


ケーキは要らないよ


小さな子猫が飛び出してざらざらの舌で手をぺろりとなめました


洗い上がりのシャンプーの香り


ため息ついてそっと抱えて


ケーキはお預け

いたずらっ子を置いて


猫砂と猫用のミルク準備して







 **





 うーん、、失敗してる。



 ……と、いうか、初期の頃の作品って本当に、嗅覚、味覚、触覚、そして視覚、聴覚、食と死のテーマで一貫していて、自分でも引きます



 ……でも、そうした目線で見ると、どのときの作品もその時自分が目指していたテーマが透けて見えてくるから、その辺は振り返ると面白い要素だなって思う


 特に初期の頃の作品は、シンプルにテーマを煮詰めている分、今見返すと逆に面白い要素にあふれているというのか、未だに表現出来ていないからこそ、今ならどう表現するかな、とか色々思考出来て面白い

 


 特に、触覚と匂いと視覚は、味覚よりもずっと掘り下げたいテーマかもしれない。私の中では、味覚が一番えぐりやすいテーマだったから、結構してきているのだけれど、触覚や匂い、視覚は、濁らせて挑戦出来ていない部分多いからえぐり方沢山ありそうで、面白そう


 う~ん、



 味覚で挑戦した作品で面白いと思うのは、この作品かな




 **



『甘味』



甘いものは苦手なのにわたしは口にしている。まるで砂糖を噛んでいるかのようだ。これがシュークリームなのは分かる。結構人気店のものなのも知ってる。わざわざ買ってきてくれたものだってのも知ってる。だけれども、砂糖の塊にしか思えない。舌にべったりとした甘さが引っ付く。水を飲んだらそれが食道を通っていくのをリアルに感じてしまう。べたりとした甘さが胃に到達した。辛いものはまだ許容範囲なのだが甘いものは苦手だ。

辛さは味覚ではなく痛覚らしい。だから平気なのかとぼんやり思う。痛みを胃や食道に感じるくらいなのだし問題は特にない。


苦手なのに何故食べているのかわたしはふと手を止める。


ここはどこだろうと辺りを見渡す。

知らない場所だ。知らない場所でわたしは嫌いな甘いものを口にしている。


ふと思い返す。いつから嫌いなのかと。嫌いなものには理由があるはずである。


べたべたした甘さに辟易しながらまたもわたしは答えに行き詰まる。


いつから嫌いなのかを分からないでいる。


否寧ろなぜここに自分がいるのかも分からないでいる。


唐突に身体から甘ったるい何かが吹き出た。


混乱したわたしの中でそれは膨らんでいく。


舌だけが置き去りにされた。


わたしは甘いものが嫌いだ。

 


 **





 他にも色々見つけたから、纏めて。



 『繋がり』



多分それはきっと生きるということのほぼ同一線上にあるのです。存在しているのです。死というものがです。絶命するとききっと人は生きるということを強く感じるでしょう。粘ついた体液が幾つも幾つも生まれているのです。ここに居るのは何処に行くあてもない虫達です。彼等はただただ一直線に歩を進めています。彼等は匂いを嗅ぎとっているのです。透明な体液が幾つも幾つも繋がり広がっていきます。

彼等は歩を止めることをしません。粘ついた体液をいつまでも引きながら歩を進めていきます。

彼等はとても臆病です。ですから物陰に隠れることを得意とします。夜眠りにつくときは温かな綿にくるまれて眠りにつきます。静かな夜が彼等は好きです。彼等の邪魔を誰もすることがないからです。


『時期』



どんなに意味のない行動に見えたとしてもそこには意味があるのです。感覚で時期を掴んでいる方もいれば観察で時期を掴んでいる方もいて、その中で求められる方もいるのです。


猫に鳥の骨をあげないのは骨が縦に割れて猫を傷付けると聞いたからです。

骨はそのまま廃棄されました。骨のかたい部分は腐りませんのできっとそこらに残ってるのでしょう。


鳥が飛んでいます。後を追っているのはその鳥を狙う若い雄猫です。慎重に狙いを定めながら距離を測っています。





『無題』



 水滴の音聞こえるね


シンと静まり返っているから


耳が鋭い何かの生き物になったみたい


フクロウとかコウモリとかが良いな

眠くなって


トクトク心臓の音が聞こえるね


やっぱりこの音が一番安心できるみたいだ



『無題』


ふわりと舞ってどろりと溶ける


即興で作った物語は支離滅裂で


センスのなさに苦笑する


ちかちかしているのは


うつむきがちな君が放った光線で


いつまでもかすかな音続いてる


雪は降り積もり


『憧れ』


破天荒なひとになりたかった

男の子になりたかった

一人称をぼくにしたかったから

つまり羽目を外したかった


自分が嫌いだった

透明になりたかった

ずっと脇役の人生に憧れてた

道化師とか最高だと思ってた

誰かを演じて自分じゃない人生を送れるなんて最高だと思った

人生が歌劇だったら最高に楽しめたのに

現実はそんな訳にはいかない



『無題』


ふるえる


ふるえてた


飽きたのさ


飽きたの


濡れた傘を投げ出してリズムを踏んだ


そこに転げてるのは笑い方を忘れたかなしいかおしたチンパンジー。


あれあそこにいるのは怒られてしょんぼりしてるはりねずみ。


一定のリズムを踏んでくるくる回った


世界があくびしてぼくのまわりがいっかいてんした


ふるえる


ふるえる



『交線』



わたくしは線であります


わたくしにアキボウがそう口にしたのであります


「おまえはひとだよ なにを可笑しなことを」


わたくしはそう申しました



アキボウはわたくしになにを伝えたかったのでありましょうか


わたくしは未だにそれが分からないのでございます


神経質な指をすぅと滑らせるしか出来なかったのでございます


アキボウはもう目の前にはいないのですから



アキボウは頭脳明晰な子でありました


あたまが良すぎたのでございましょう


いつしか殻に閉じこもるようになってしまいました


それというのも彼の言葉を分かるひとが何処にも居なかったからでございます



『無題』


くろい女は裸足であった

炉に止まっている小さな鳥が

いろが褪せたレースの上に飛び移る

あかいしるしが付いたそれは

目が生きている



く ろ い あ め


なんだ/いったい/

それは


もう要らない


だれだ/それは/一体それは



『落としたマグカップ』



マグカップを落としたんだ

結構気に入ってた奴でおまけに気に入っていた理由が思い出の品だったりしたからで


つまりは僕は思い出を割ってしまったようなんだ


それは一つしかなくそれは修復不可能でそれはあっけないものだった


思い出とはそんなものだ


欠片を拾い掃除機で吸い取ってその後軽く拭き取った


思い出の欠片は綺麗さっぱりそこから消えた


という顛末を君に話したら君はそれじゃあその代わりにこれをあげるからそんなに凹むなと僕に小さなキーホルダーをくれた



『無題』


知らない

知らない

知らない

知らない


僕は知らない


あふれ出してくるものがある

抑え切れずに外に吐き出してしまいたい


平べったいひと

道路にぺらぺらになって倒れていた

車に轢かれても気付かない

僕だけが知っているから


平べったい顔

平面の顔

知ってる風に笑っている

構うもんか

僕は君を知らない


ぺらぺらの君がふらふらしながら歩いている

風に吹かれるんじゃないだろうかまた車に轢かれるんじゃないだろうか

僕は余計な心配をする


ある人が言っていた

僕が知らないそいつの一面

衝撃を受ける

僕が知らないあいつを僕以外の奴が知っていたから


ぺらぺらのアイツはいつもかなしい顔をしている

ぺらぺらのアイツはいつも平気そうに振舞っている

だってアイツはぺらぺらだからさ!


奴は飄々としている

飄々としている奴が実はさびしがりやなのを僕は知っている

奴が実は涙もろいのを僕は知っている


だけど奴はぺらぺらだ

だけど奴はぺらぺらなんだ



ある日奴が珍しく丸まっていたから僕はそっと近付いた

いつも飄々としている奴らしくなかったから


奴は冷たい猫をじっと腕の中で温めてた



『疲れ切ったあなたは』


星がきらりと瞬いて

宇宙船が不時着したところは僕の部屋だった


宇宙人は僕に向かって片言の日本語を話す

未知との遭遇に僕はごくりと唾を飲み込む


「うーうー。ココハココハドコデアルカ」


何だか変な日本語だなぁと感じながらも僕は答える


「ココハボクノへヤデアル」


何故か僕も釣られて片言になってしまったが気にしない

宇宙人は首を傾げると僕に向かって握手を求めてきた

宇宙人の手はぬめぬめとしていた


「ボクノヘヤトハドコダ」


宇宙人が僕の言葉をそのまま鸚鵡返しした

僕の部屋とはヘヤとは

僕は辺りを見渡す

其処は僕の部屋ではなくなっていた


変な茸が植わっている空にはサンサンと照る太陽が何処からか鳥の囀りが聞こえてくる地面はぬかるんでいて明らかに其処は僕の部屋ではなかった

気が付くと、僕は宇宙人になっていたへんなつるりとした服を着ている


ジリりりリりり


鳥が変な声を出して鳴いた

茸が謳いだす

地面が揺れて

太陽は更に照りつけた


ジリリリリ


ガバット飛び起きると僕の部屋だった僕は安堵しまわりを見渡す


「ココハドコデアルカ」


宇宙人が其処には立っていた




(描写の中の詩)

しなやかなきんにく

おくびょうなひとみ

さらりとした手ざわりに

遠くをみつめるひとみ

心臓がないているのね

明日はきっと

きっと勝てるわ


ふわりと


風が動いた


いきいきと走り抜ける


(描写の中の詩)


滑り(ぬめり)とした肌

透き通る水面(みなも)睡蓮の葉の上で

可愛らしいおぼこ見つめている

わすれているのね

きょうだいよ

ころころした子供たち

尾っぽがまだ生えている

真摯に見つめて

母なる大地に包まれてあなたも産まれた

この場所で

母さんはお星になったわ

星空のあそこに

後ろ足をのばして


とぶ


水面がはじけて


緑の大地で息づく命


舌をのばして


一つ消えた




『詩』



詩を色々と見ているのですが

詩を色々と見ているのですが

なかなかなかなか心惹かれるものありません

かなしくなって結構必死に探しましたが

なかなかなかなか見えてくるものではないらしく

こうしてここに愚痴を書き込んでいるのです


詩の中の世界をもう少しリアルに感情豊かに情緒豊かに表現出来るヨウニナルタメニハ


どうやら私にはまだまだ経験が足りないようで


まぁまぁこうして詩を綴る言葉を目にすれば大体其処は分かるように思うのですが圧倒的にみてきたものが少ないのです




色や心情匂いや手触りそれらは言葉で表せるらしいのですが


どうやったらそんなことできるのでしょう


その前に好きな言葉を見つけられません


何か良い題材のようなものが見つかれば其処に没頭出来るのですが


今はまだ試行錯誤の段階のようで


少々頭を抱えている所でございます


果たしてこれは詩なのかと疑問に思うところではありますがこの辺で終わりたいと思います



兎に角書けということなのでしょう




 **




 8年前もほぼ、自分の内面は変わっていないことを……解っていたけれど読んで、ため息しかでない

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