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敵の基準と味方の基準を推し量れません

 とりあえず、立て続けに現れた3組の乱入者たち。


 口々に言うのは我々を守りに…いや、大豪寺君を守りに来たと主張している。


 それでは一体全体、彼らは『何』から守ると言っているのだろうか?


 どうにも登場方法と口上が似通っただけで、一向に何の説明もない。

 このままだと信じて大丈夫なのかどうか以前に誰が本当のことを言っているのか。

 その判断さえもできないでいる。


 しかし、その点はさすが異世界というか、ドアからではなく窓から侵入という方法が事前に時間の無さを教えてくれていたということだったのかもしれない。


 説明が向こうから来た。


 予想の右斜め上の規模で。


 一番最初に反応をしたのはモンスターたち。


 気配が敏感なのか、何かしらの通信方法でも持っているのか。


「来たぞ!」


 鋭い言葉を発して割れた窓の外へと視線を向ける。

 それは部屋の中に居た他の者たちも倣うように、それぞれが視線を同じ方向へと向ける。


 最初に入室した時点で確認していた風景。

 広がる草原と木々の風景に黒い人影のようなモノがいつの間にか増えていた。

 人影という言い方をしたが、もう少し正確に表現すると、頭の位置には角のようなトゲトゲや、背中から翼らしいものとか、遠近感間違えたように背が高いのや小さいのやら。


 どう見ても軍隊規模での行進中という雰囲気である。


 そして人影が徐々に大きく詳細が分かり始めるということは、間違いなく近づいてきている。


 …えっと…救援と言うことは、この場から逃がしてもらえるって事でいいのかな?


 まさか目の前の人数で応戦とか考えていないよね?


 最初のモンスターが乱入してきた時から説明らしいモノは何一つ頂けていない。


 状況を手前勝手に察することで何となく気づいているが、それが間違っていたらどうしよう。

 救護状態ではなく捕縛状態になってしまう。


 未知数過ぎる自分の風能力とやらがアテに出来ない以上、迅速に安全にこの場から逃がしてもらえると有り難い。


 子どもたちを背に思案を巡らせていると、3体のモンスター達は私たち親子に、ガン無視ライダーは大豪寺君の前に壁のように立ちはだかる。

 迫り来る軍団を前にして、多分、守ってくれるということなのだろう。


 「不本意だが仕方ない。

  我々に付いて来い。」


 …何でコイツ等は、いちいち余計な言葉を挟むかな。

 素直に喜べないじゃん。

 不満なら指示だけして下さい。

 邪魔しないように撤収してみせるから。


 とりあえず大豪寺君の方を見ると、ガン無視ライダーから視線を外し私の方へと顔を向けてくれる。


 「神道さん。

  とりあえずは従いましょう。

  悪意…害意は無いようですから。」


 大豪寺君は配慮も出来る子なんだねぇ。

 そうだね。

 私に対しては思いっきり悪意あるもんね、この人達。


 そして動き出す面々。


 …何でドアを使わずに窓から出て行こうとするのだろう。


 あ、通路に出る方が死角が増えるし時間が掛かるのね。


 納得納得。


 大豪寺君は今からでも空飛べるような気がしたんだけど、どうやら駄目だったらしい。


 「…自由に浮き上がる方法って何なんでしょうか?」


 すまない。

 オジサンもソレは分からない。


 あの漫画の設定では修行の成果とか言っていたから、何かしらのコツは必要なんだろう。


 今は考察、検証する暇が無いので、どうしようも無いのだが。


 結果、大豪寺君はガン無視ライダーが背負って、一気に躍り出る。

 本当に割れた窓から一足飛びにジャンプして出て行ってしまった。


 そうなると次は我々親子。


 モンスターが腕を組み顎で窓の外を示してくる『サッサと行け!』と言わんばかりに。


 …あまりにも繰り返しになるので、怒りよりも溜息の方を先に零しながら、とりあえずは窓の外を確認する。


 …予想以上に高い場所だった。

 せいぜい2,3階くらいと予想していたのだが、下手すると7,8階でも足りないくらいに高い位置だった。


 おおおお!


 心の中で悲鳴を上げながら振り返ると、私の方を見つめている2人の娘たち。


 「ちょっ…ちょっと高いから気をつけて降りようね、2人とも。」


 何を気を付ければいいのかも分からないのだが、私自身が震え上がらないように見栄を張るため注意喚起をする。


 「うん、分かった。」


 美緒ちゃんは私の言葉に頷くと、沙羽ちゃんの手を取る。


 と、そのまま窓枠に沙羽ちゃんごと飛び上がり、さらに一歩。

 私の横を通り過ぎて空中へと躍り出る。


 「なっ!」


 思わず咄嗟に手を伸ばすが間に合わず。


 コメディ漫画のように空中で数秒間滞空することも無く、物理法則に従い2人は地面目掛けて落下していく。


 「美緒、沙羽!」


 私は2人の名を叫びながら夢中で後を追うように窓の外へと飛び出していた。



読んでいただけることに感謝を。



叶うなら意見、感想、要望を頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。




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