表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/89

結果オーライ。とりあえずは助かったみたいです

前話は呼称を間違えていました。

この話を投稿する前に訂正しております。

 理解が状況に追いついていない。

 いや理解以前に、一体何が起こったというのだ?


 床に落ちた沙羽ちゃんが「痛かった~」と暢気そうな言い方で、言葉を吐きながら立ち上がる。

 そうすれば、先ほどのカラス天狗Aが変化した(らしい)カード。

 沙羽ちゃんが変身した時のような光沢を纏って、空中でクルクルと回転しつつ浮かんでいる。


 「やったね、沙羽ちゃん。

  封印成功だよ。

  これでカラス天狗は沙羽ちゃんの自由に使えるよ。」


 おっと。

 予想を遙かに超えて、自立型ぬいぐるみが便利だと判明したぞ。

 どうやら沙羽ちゃんが手に入れた2つの勇者能力。

 見事にマッチングしていて、ナビゲーターの役割を果たしてくれるらしい。


 しかし…そうかぁ…。

 見た目の感じから、十数年シリーズが続いている魔法少女アニメだと思っていたのだが、色々な魔法少女が混ざったような状態なんだ。


 突然の説明になるが、私は俗に言う『オタッキー』が歳を経て大人になり、そのまま父親まで昇格させて貰っただけなのである。

 強制したつもりはないが、遊び道具の一環としてタブレット端末を4歳の頃から与えている。

 そして、そのタブレットには古今東西数多くのアニメを収録し、子どもたちに観せ続けてきた。


 結果、うちの娘たちは偏りはあるが昔のアニメも知っている。


 指先一つでを倒す世紀末な人や超科学文明の地球侵略宇宙人、万能願望器を巡る英雄戦争などなど…。


 魔法少女系と分類されるものだけでも…7,8種類は観せた記憶があるぞ。

 想像力は無限大。

 陳腐な言葉が笑えない状況になっている。


 どうやら沙羽ちゃんに関しては、使いこなせるようになれば十分にチート能力に昇華出来そうな感じだ。

 しかも結果的とはいえ、ナビゲーター役が居るおかげで基本性能は把握可能っぽい。


 私の中で状況が一変する。

 凄い好機だ。

 カラス天狗の1体は行動不能で1体は捕獲状態。


 残る1体を何とか出来れば状況終了。


 よし!

 早速にもカードを使ってカラス天狗を自由に…どうやって自由に使うんだろう。


 …よし。

 空気になろう。

 この場は沙羽ちゃんと自立型ぬいぐるみに任せてしまおう。


 完全に他力本願だが仕方ない。

 こちとら徒手空拳の素人中年なのだから。

 …自分にそう言い聞かせながら状況把握に努めるべく様子を見守る。


 「な…なんだソレは!?

  兄者に何をした!」


 あ、兄弟設定なんだカラス天狗たちって。

 完全に傍観者になると決めれば気持ちは軽い。

 おそらくは沙羽ちゃんの能力が発揮され、この場は何とかなるのだろうから。

 有り難いことに、カラス天狗Bの発する言葉が完全に、やられ役の雑魚発言である。


 ヨロシク頼んだぜ、自立型ぬいぐるみ君。


 「さあ、沙羽ちゃん。

  ステッキをカードに向けて『放出』と叫ぶんだ。」


 うんうん。

 良いぃ~仕事するねぇ~。

 そうやってカードを使うことが出来るんだね。


 期待通りの説明解説に、私の心は状況を楽しむことが出来る。

 さあ、沙羽ちゃん。

 君の勇者パワーを父に見せつけてくれ。


 「えい!

  …

  …あ。」


 沙羽ちゃんは元気の良い掛け声と共にステッキを振ると…目測を誤ったのだろう。

 ステッキを向けるのではなく、ステッキをカードに触れさせてしまう。

 結果…

 再び耳に届くポップコーンの弾けるようなポン!という音と共に、カードが掻き消えてしまう。


 思わず私は息を呑んでしまう。

 え、これってどうなるの?

 まさかのキャッチアンドリリースなのか!?


 沙羽ちゃんが「…あ」なんて言葉を漏らしたせいで、私は気持ちが一気に冷えてしまう。

 見守るしかない状況の中、変化は一瞬だった。


 カードが掻き消えた後には、光の粒子でかたどられた人影のようなモノが現れる。

 そして粒子が何かを集めるように、どんどんと増えてくると一際強く光を放ち、捕らえていたカラス天狗らしいモノが現れる。


 らしいモノと表現したのは、見た目が完全に変わっていたからだ。

 先ほどのカラス天狗と基本は一緒だが、服を着ている。

 しかも私の記憶の中にあるイメージまんまの、修検者っぽい山伏のような服を着て錫杖まで持っている。


 なんだか格好良くなってるね…。

 この瞬間にカラス天狗Aは以後『烏天狗』と称しよう。


 そして現れた烏天狗は誰に命じられることもなく、一直線にカラス天狗Bへと駆け寄ると錫杖を下から上に向かって振り上げる。


 「兄者!?」


 辛うじて初撃を背を反らして躱しながらも、困惑の悲鳴を上げるカラス天狗B。

 だが、その言葉も届いていないかのように、烏天狗は立て続けに錫杖を振るい続ける。


 背を反らした体勢が仇となり、2撃目からはボコボコに殴られるカラス天狗B。

 一撃一撃が『ガッ』『ゴッ』と硬質な物を鈍器で打つような打撃音を響かせている。

 しかも烏天狗は無表情で続けるから余計に怖い。


 …この表情、沙羽ちゃんには背を向けているから見えていないのだろうけど…。


 どのぐらい時間が経ったのだろう。

 計れば10分もなかったのかも知れない。

 だが、その程度の時間でカラス天狗Bは全身の骨を砕かれ虫の息である。


 ヒューヒューと空気が漏れるような音が、何かに引っかかり震えながら耳に聞こえる。


 えっと…。

 沙羽ちゃんがカード化したモノは奴隷になるとか自立型ぬいぐるみが言っていたっけ。

 正確には違うかも知れないが、カードにする前の言葉と今の状況を鑑みての私なりの理解である。


 でも、ステッキが触れただけで封印って…えげつないな…。

読んでいただけることに感謝を。


叶うなら意見、感想、要望を頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ