(前話に引き続き食事中にはご遠慮下さい)ファンタジー許すまじ!(赤面)
奇を衒っているわけではありません。
作者の中では避けては通れない消化すべき内容と考えています。
でも食事中は本当に読まないで下さい。
意を決して沙羽ちゃんに『オマル』を使うよう説明する。
つい昨日までは洗練された陶器製の物を自由に使えたというのに、ウォシュレットまで備えていたヤツなんて、今後二度と絶対にお目にかかれないぞ!?
私自身は父方の実家において汲み取り式が現役稼働していた時期を体験しているので、実は意を決してしまえば出来ないわけではない。
ただ、この部屋には『オマル』しか置かれていないのだ。
そうなると問題視されるのは後始末。
そう『紙』の存在だ。
この世界の人々は持参でもするのが常識なのだろうか?
他に何も無いこの場で、一体どうやって後始末をしろと?
あれか。
ミソもクソも付けたまま歩くのか?
いやいや、それは無い。
私が悶々と考え込んでいると、沙羽ちゃんは手慣れた感じで魔法少女の衣装を解いていく。
…いや、解くというか消えてしまった。
丁度パンツに位置する部分の衣装が光の粒になって消え去る。
便利だね~、その魔法少女の衣装。
それ以前に。
初見で使いこなしているよ、このチビッ子!?
思いの外というか、父の思いの枠を容易に乗り越えて順応している事実に驚きを隠せない。
ただ様子を見守るだけの状態になってしまった父の前で、沙羽ちゃんは座席に腰を下ろし用を足し始める。
「わぁぁあああっ!」
タイミング的には『用が終わった』くらいだったのだろう。
突然悲鳴を上げて座席から立ち上がり、一目散に私の所まで駆け寄って来る沙羽ちゃん。
そしてそのままギュッと私のズボンの裾にしがみ付く。
「どうしたの?」
悲鳴だったけど、恐怖と言うよりは驚愕の悲鳴だった印象のせいで、臨戦態勢よりも問い掛ける方に意識がいってしまう。
「何かニュルッってされたの。」
新手の怪談か妖怪の悪戯みたいな事を言いだしたな。
もしかして穴の下に何か潜んでいるのだろうか。
でもトイレを使いたいって申し出たら、紹介された物だしなぁ。
考えられるのはファンタジーな世界よろしくで、排泄物を処理してくれる魔法が掛かっているか…あまり考えたくは無いけど、そういう用途目的に特化したような装置か魔法生物的なモノしか思いつかない。
とりあえず起こった事実としては、沙羽ちゃんは用を足すことが出来、しかも後始末するかのように綺麗にしてもらえたってことだな。
よし、それならば。
私は意を決すると沙羽ちゃんに語りかける。
「沙羽ちゃん。
ちょっと部屋の外で待っていてくれるかな。
パパも、おトイレしたくなってきたから。
ついでに何が居るのか確かめてみるよ。」
沙羽ちゃんの頭を優しく撫でながら語りかけると、沙羽ちゃんは私を見上げながらも手の力を抜く。
「え?
うん、分かったけど…。」
いつの間にやら沙羽ちゃんのコスチュームは元通りになっている。
魔法って本当に便利だな。
箱の中身が外に飛び出してない。
そんな理由もあって私には余裕があるのだろう。
何度も振り返り見上げる沙羽ちゃんを部屋の外に追い立てる。
…あまりにもなかなか出て行ってくれないので、最後には「パパが漏らしちゃうと恥ずかしいでしょ。」と慌てさせるような言葉も添える。
「ドアの前で待っていて大丈夫だからね。」
最後にそう言ってドアを閉める。
内鍵を掛けたりはしないが、まあ覗かれることもあるまい。
逆に鍵を掛けることで沙羽ちゃんに孤独感を与えることの無いよう配慮しつつ『オマル』に向き合う。
「ま、実践あるのみってことで。」
誰に聞かせるわけでもない独り言を言いながら、私はズボンから下を膝下まで降ろし座席に腰掛ける。
大であれ小であれ、私は元居た世界で用を足す時には必ず座ってする。
そんな女性3人に対して男1人という生活から、飛沫で便座を汚さないようにする癖が付いてしまっていた。
でも、せめてそんな『御一人様空間』だけでも偉そうにしたくて、私は腕を組み脚を大きく左右に広げ偉そうに身構える。
いつものように背筋を伸ばし臀部に力を込め大きい方を排泄。
…昨夜は焼き肉食べ放題に行ったなぁ…。
モリモリと元気よく出る感触に昨夜の献立を思い返し、そんな食生活とは縁遠くなるのだと感慨に耽っている最中『ソレ』は伸び上がってきた。
「おぅふぅおお!?」
思わず、素っ頓狂な悲鳴を漏らしてしまう。
排泄が終わろうかとする瞬間。
完全に気が緩んでいるタイミングで、私の臀部が撫で上げられる。
いや、撫でるという優しい感じではなく…もの凄く大量で、液状で、粘着質。
ソレが一気に『拭き上げていった』という感触であった。
しかもご丁寧に拭き上げた後でベチャッと張り付くと、ネバっとした感触が『門』の部分にあるツボを刺激し『残滓一滴も残さずよこせ!』みたいな勢いで少し侵入までしてくる。
おおお!止めろぉ!
ソコは出口専門でオジサンはアブノーマルな趣味も無いんだからなぁっ!
正体については何となく察したが、あまりにも特化されすぎていて認めたくない気持ちを否めない。
どうすれば逃れられるのか!?
混乱する頭で思い起こすのは、つい先ほどの沙羽ちゃんの行動。
脚に力を込めると一気に立ち上がる。
推し量ったように私が座席から離れると、汚い飛沫を撒き散らすような粗相も無く。
膝下までズボンを下げた間抜けな格好の中年男性が『オマル』に向き合う絵面となる。
私は急いでズボンを元の位置まで引き上げれば、次にベルトの金具がカチャカチャと擦り合う音だけが室内にヒッソリと響く。
コレまでの人生で未体験の高揚感とスッキリ感で興奮しながら、その感覚の理由に思いを巡らせると赤面せずにはいられない。
「おのれぇっ!ファンタジーめっ!」
部屋の外で待つ沙羽ちゃんには聞かれないように配慮しつつも、私は忌々しく苦虫を潰すような声で言葉を漏らした。
読んでいただけることに感謝を。
叶うなら意見、感想、要望を頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。