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今回の話と次話。決して食事中には読まないで下さいね、本当に。

初めて『感想』を頂けたというのに、その次に掲載するのが『下ネタ』です。

話の中だけでなく、作者自身に対しても『神様』は苦笑させたいようです。


 「ドンボリさん。

  トイレって、どこにありますか?」


 会話を遮ることになって申し訳なかったが、このことが後々で所属する国を選ぶ上で大事なことだった。


 「え…ああ。

  先ほどの召喚の塔に戻って頂ければ1階に置いていますよ。」


 少し戸惑うような様子を見せながらもドンボリさんは教えてくれる。


 私が所属国選択よりも子どもの生理現象を優先させたのが意外だったのだろうか?


 だとすれば、残念。


 子煩悩は、何時いかなる時でも『子どものために』を第一優先事項として選ぶのですよ。

 …申し訳ないって気持ちが無いわけでもないが、こればっかりは仕方がない。


 「では少し失礼します。」


 居並ぶ面々に頭を下げながら沙羽ちゃんの手を引き塔の方へと足を進める。


 …さっきまでいた建物って塔だったんだ。


 今さらながら自分が呼び出された場所について知ることとなる。


 呼び出された時に天井があったことを顧みれば、上階に位置する場所だったのだろう。

 遠目には10階建てのビルと張り合えそうなくらいに、そびえ立っている。


 案内された部屋は16畳くらいの広さだったが、目前に迫る塔を見ていると1階の広さは20畳くらいの広さだった。


 まあ、案内された部屋は確かに小綺麗だったけど、言われた通り逃げ出したりするのには向いてない構造だな…。


 どうにも素直に異世界召喚されたことを喜んでいない自分がいる。

 今も塔の構造くらいで不満を感じているし。


 まあ仕方ないよね。

 オジサン、邪魔者扱いだし。

 色々と不満をぶつけたい気持ちもあるが、ああも見事に区別されると何かしらの意図があるように感じてしまう。


 思案を巡らせながら歩き続ければ、教えられた塔の1階。


 さて、トイレはどこかな?

 と中に入り込むと…上階への階段以外に、めぼしいものは3つの部屋くらい。


 1つ目は何か物置のような印象を受ける部屋。

 施錠はされていなくて、ドアを開けて見れば雑然と言い難いが整然と整ってもいない並びで木箱が大量に積まれ置かれている。

 中を探ってみたい好奇心はあるが、今は娘の生理現象が最優先事項。


 とっとと次の部屋へ。


 2つ目はドアの前に、何かの目印か案内の様な絵が描かれた板が張り付けてある。

 四角柱の角を下に向けたように描いている中に黒い丸。

 パっと見た感じは『四角いゴミ箱』という印象を受けた。

 このドアも施錠はされていないのだが、開けてみると内鍵の構造。


 部屋の中には元来た世界で例えると、1人用のベンチみたいなイスが1つ。

 1脚と言わなかったのは、脚の部分が四角柱の箱形になっていて、イスの底には丸い穴が空いている構造だった。

 イスというより箱の上に座席を乗せている感じだった。


 …おや?

 何だか花のような甘い香りがするぞ?


 でもトイレと言うには殺風景すぎるので、元々倉庫だった場所が今は空き屋状態。

 そんな評価を下すと次の部屋へ。


 3つ目の部屋は…あれ。

 ノブをガチャガチャと回して押しても引いても開く気配無し。

 どうやら施錠されているようである。


 …ここで冷静に思案をしてみる。


 ここはファンタジーな世界で電気工学類は無いに等しい状態。

 だとすると…2つ目の部屋。


 あれって…オマルだったのかな?

 鼻に掛かった匂いは芳香剤だったとすると…。


 おおう!

 よりによってトイレに関する文明レベルは中世ヨーロッパ並か!?


 フープスカートの起こりを調べていて、その理由を知った時並のショックを受ける。

 あのスカートって女性が『所構わず用を足してもバレないようにする』ための構造だったらしい。


 つまり、この世界は『トイレに関してはその程度の文明レベル』しか発展していないようである。


 そういえば、川らしいモノもこの塔の近くには無かったし…水洗は論外の地形って事か。

 地下に下水という期待が無いわけでもないが、それならもう少し『いかにもトイレ』っていう感じで設置してあるはずである。


 ショックのあまり口をアングリと開けて立ち止まっていると


「パパ…漏れちゃう…」


 沙羽ちゃんのタイムリミットが迫ってきていた。


 躊躇っている場合も、ショックを受け清潔感がない的な抵抗を試みている暇もない。


 意を決して2つ目の部屋に入り直すと…ああ、駄目だ。


 もう置かれている箱が『オマル』にしか見えない。


 そういえばドンボリさんも「置いてある」って言っていたね。

 言い間違いや言葉のアヤでないなら、当たり前すぎることを普通に言っていたんだ。


 トイレがあります。

 ではなく

 トイレが置いてありますって。


 何で望みもしない異世界召喚で、チート能力は授与されないわ、見下され罵られるような扱いを受けるわ、用を足すのに決意を要求されるわ…散々すぎないですかね。


 もうちょっと、こう。


『わ~い。

 異世界召喚されて散々だったけど、コレだけは元の世界よりも素敵だわ。』


 みたいな展開は、ないのかしら?


 心の中で何度目になるか数えるのも嫌になってくるほどの皮肉を言いながら、私は沙羽ちゃんの前で膝を折り、目線の高さを揃えて真っ直ぐに見つめる。


 「沙羽ちゃん。

  ちゃんとパパが見守ってあげるからね。

  多分だけど…おトイレはココみたいなんだよ。

  だから頑張ってオシッコできるかな?」


 そう言って沙羽ちゃんの顔を覗き込むと…


 あ、駄目だこりゃ。

 我慢の限界が近くて『漏れる前に何とかして!』って顔で見つめ返されちゃったよ。


 眉間に皺寄せて口先尖らせながら窄めた顔で、股を寄せ合わせ手で押さえながら。


 ごめん。

 とりあえず先に終わらせようかね。


読んでいただけることに感謝を。


叶うなら意見、感想、要望を頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。

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