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短編大作選

愛は酸素

掲載日:2018/03/06

酸素とは、生物の呼吸と物質の燃焼に欠かせない無色で無味無臭の気体のことである。


そんな酸素と私にとっての愛は同じようなものだ。


愛は酸素と同じで目に見えなくて、味もニオイもしない分かりにくいもの。


そして、愛は酸素と同じで無いと生きることが出来ないもの。


それに愛は酸素と同じで多いほど、よく燃える。


まさに愛は酸素なのだ。






私は一度も彼氏が途切れたことがない。


男たちの私への愛はいつも、そこら中に転がっている。


しかし、私の呼吸を乱す偽りの愛も少なからず存在する。


愛は目に見えないので真実の愛かどうか、いつも不安になる。


私は嘘つきのニオイに気付けるような人間ではない。


常に愛されていたいのに偽りの愛を纏った男だと別れる時に気付かされる。


馴染んでいた愛は去っていく際に苦味へと変わってゆくのだ。


偽りの『愛してる』はもういらない。






窒素とは、生物には無くてはならない空気中の約5分の4を占める元素記号Nの気体のことである。


そんな窒素と私にとってのナオ君はとてもよく似ている。


窒素の元素記号はNだがナオ君のイニシャルもNである。


そして生物にとって窒素は絶対に必要な存在だが私にとってのナオ君も絶対に必要な存在だ。


それに空気は5分の4が窒素で出来ているが私は5分の4がナオ君で出来ている。


このようにナオ君と窒素は似ているところが沢山ある。






私は一年前からナオ君と愛し合っている。


Nというイニシャルの通りで良くも悪くもノーマルな男性だ。


ナオ君のナオはまさに素直のナオだ。


私が高温の愛を注ぎ始めてからナオ君の性格は良い方に変化した。


それに伴ってナオ君は様々な人から必要とされるようになった。


真面目なナオ君だから私以外の女性に必要とされても全然心配ない。


ナオ君はずっと私へ真実の愛を与え続けてくれているのだから。






ナオはバカだ。


私という宝物がありながらハナというガラクタに手を出すなんて。


気体で例えると愛人のハナは水素だ。


水素は軽いがハナもかなり軽い。


私はハナのことをふしだらで欲が強くて最低の女だと思っている。


水素の元素記号はHだがハナのイニシャルもハナの性格もH。


ハナはナオが好きではない卑猥という言葉がよく似合う女なのに。


水素は燃えやすいがハナも燃えやすい。


ナオと出会って1ヶ月経っていないみたいだがハナの愛は異常すぎる。


水素は爆発するがハナもイライラすると爆発する。


私が直接、怒りを伝えた時にハナは途轍もない形相と身振りで思い切り怒鳴ってきた。






ナオは結局ハナを選んだ。


今の私はナオがいないことを全く想像出来ないのだが、許すことは出来ない。


ハナに寄ってくる男は沢山いると思うが私にはナオしかいないのに。






誰も呼び捨てにしないナオが私のことだけ呼び捨てで「コウ」と呼んでくれていた。


だから特別な存在だったことに間違いはない。


私は美貌以外の全てのものが平凡で全く面白味のない人間。


大学入試に失敗して高校卒業後から3ヶ月近く何もしてない。


高校卒業後ぐらいから悪口などで人を傷付けてばかりいる。


ナオは私が変わってしまったから愛想を尽かしたんだよね。


ごめんねナオ。











彼は死んだ。




私は泣いた。




事故だった。








気体で例えると私は一酸化炭素。


一酸化炭素の化学式はCOだが私の名前はコウ。


一酸化炭素は無色だが私も無職。


一酸化炭素は無味無臭だが私も面白味のない無味無臭。


一酸化炭素は不完全燃焼で生まれるが駄目な私は大学入試での不完全燃焼で生まれた。


一酸化炭素には毒があるが私にも少なからず毒がある。








私はこれからも彼のことを愛し続ける。


ずっとずっと永遠に。











一酸化炭素は時に人を死に至らしめることがあるが、私も……

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― 新着の感想 ―
[一言]  面白いです。
2018/03/06 08:36 退会済み
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