22、初めての同衾
私の言葉に、幸那ちゃんはポカンと口を開いて、驚きの表情を浮かべていた。
そして、もう一度手元の文庫本に視線を落としてから、
「ウソじゃ……ないんですよね?」
と、確認してくる。
「うん。信じられないとは思うんだけど。嘘じゃないよ。私は三鈴彩花として活動している、作家です。証拠にはならないけど……ほら見て! 見本誌があーんなに!」
私は本棚に9冊並ぶ自著を指さした。
幸那ちゃんが持っているのも含めて、10冊も同じ本があるのは、出版社から見本誌として送られていたから。
流石に、同じ文庫本を何の事情もなく10冊も持っている人は、いないんじゃないだろうか?
幸那ちゃんは、本棚と、手元の本に視線を向けて、最後に私を見つめる。
「……すごい、本当に小説家なんだ」
私が小説家だということを信じてくれたようだ。
尊敬のまなざしを送る幸那ちゃんに、私は視線を伏せて答える。
「……すごくなんかないよ。全然売れなかったし、買って読んでくれた人たちの感想も、酷評ばっかりだったし。才能がないのに、たまたま編集の人にウケちゃっただけの、才能のない作家の作品だから」
苦笑を浮かべて、私は言う。
「さっき言った、私と彼を巡り合わせてくれたっていうのも、……彼に、作品を思いっきり批判されちゃったからだし」
「あー、兄さんの変な趣味……。でも、それだと。鈴ちゃんはどうして兄さんのことを好きになったんですか? 普通は、自分の作品を悪く言う人なんて……嫌いになる、と思うんですけど」
幸那ちゃんの質問に、私は答える。
「彼はね、私の作品を、作者の私が負けちゃったなって思うくらい、真剣に読み込んでくれたの。その結果悪く言われちゃったけど。それでも、誰よりも真剣に本と向き合う彼のことを、私は好きになっちゃったの」
「……鈴ちゃんも、変」
幸那ちゃんは複雑そうな表情を浮かべて、呟いた。
「そう、だよね。変かも。……だけど、彼のことを好きになって、私は良かったなって思うの」
私の言葉を聞いた幸那ちゃんは、びくりと肩を震わせた。
「……わ、私も。理由はどうあれ、鈴ちゃんが兄さんを好きになってくれて……良かったです」
恥ずかしそうに俯きがちになりつつ、続けて言う幸那ちゃん。
「私も、鈴ちゃんのことが、大好き……ですから」
「私も幸那ちゃんのこと、大好きだよー♡」
私は、ぎゅっと幸那ちゃんを抱きしめる。
強く抱きしめすぎたせいか「うぅ……」と苦しそうに呻いた幸那ちゃん。
だけど、私の背中にしっかりと背中を回していて、なんだか、すっごくトキメキます!
「そうだ、鈴ちゃん。この本。読んでも良いですか?」
私の胸の中で、上目遣いに問いかける幸那ちゃん。
「……え、と。あんまり、面白くないかも、だよ? 時間の無駄になっちゃうかも、だし、読まない方が……」
「鈴ちゃんの書いた小説。読みたい、です」
力強く言い切った幸那ちゃん。
「そっか。それじゃ……その本はあげるから、いつでも読んでください」
私は幸那ちゃんの肩を捕まえてから、まっすぐに彼女と見つめあう。
幸那ちゃんに自分の書いた小説を読まれるのは、恥ずかしいし、緊張するし、「ナニコレ滅茶苦茶つまんないんですけどー」なんて思われたら泣くと思うけど。
それでも、幸那ちゃんが読みたいと言ったら、仕方ない。
「うん、ありがとう、ございます」
幸那ちゃんは、大事そうに私の渡した文庫本を抱きしめた。
そして、「ふぁ」と、可愛らしい小さな欠伸をした。
私とバッチリ目が合ってから……真っ赤に頬を染めて、俯いた。
「もう、遅いし。寝よっか?」
私の言葉に、幸那ちゃんは無言で頷いた。
☆
そして、手際よく布団を敷いて、眠る支度を整えた私たち。
「じゃ、電気を消すね」
「……はい」
幸那ちゃんは頷いて、私は部屋の照明を消した。
……
眠気に意識が沈みそうになったころ。
「鈴ちゃん、まだ起きてますか?」
幸那ちゃんに、不意に声を掛けられた。
「んー、まだギリギリ、起きてるよ……」
私が返事をすると、幸那ちゃんが立ち上がった気配がした。
うーん、どうしたんだろう?
「あ、あの……一緒に眠っても良いですか?」
固く強張った幸那ちゃんの声。
私は寝ぼけた頭で、「良いよー」と答える。
「お、お邪魔します……」
そう言ってから、ベッドに入り込んできた幸那ちゃん。
私は彼女が窮屈にならないように、ほぼ無意識に体を端に寄せた。
幸那ちゃんの香りが、鼻腔をくすぐり……
「……はれ?」
「……ホラー映画観た後だから。一人だと怖くて、寝付けないです」
そう言ってから、私の腕に抱き着いてくる幸那ちゃん。
暗がりの中、窓から差し込む僅かな月光に照らされる彼女の顔は……幸せそうだった。
「鈴お姉ちゃんに……甘えさせてください」
甘い声が、私の耳に届いて……。
……
…………
はれぇーーーーーーーーーー!!??!?!?!?
何で?
どうして?
これは……え?!??
私は今、夢を見ているの!?
そっか……私、夢を見ているんだ。
じゃないとこんなに可愛い女の子が私のベッドで無防備に寝顔を晒すなんてことがあり得るわけがない。
錯乱した私は、とりあえず幸那ちゃんの唇を人差し指で、つんと触る。
すると、「っん……」と短く呻いた幸那ちゃん。
ぷにぷにしてて、艶やかで……ドキドキする。
幸那ちゃんの温もりが、彼女と接する全身から伝わって、これが夢じゃないのだと気づく。
これが、彼が言っていた怖がり可愛い幸那ちゃんなの!?
破壊力が高すぎるよぅ!
心中で悶えてから、私はもう一度幸那ちゃんを見る。
安心したからか、すでにすやすやと、寝息を立てて眠る幸那ちゃん。
私の腕に抱き着いて、安心しきった幸那ちゃんの寝顔を見ていると。
ドキドキする気持ちもあるけれど。
――それ以上に。なんだか優しい気持ちになる私なのだった。
【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳【可愛い】だよん♡
ここまで読んでくれて、愛花とっても嬉しいです(>_<)!!
ありがとねっ\(^^)/
主人公の霊圧が感じ取れない今日この頃(≧◇≦)!
お泊り編は次回更新でラストだよん!
楽しみにしていてくださいっ♡
そして!
この物語を読んで、「面白い!」とか、「ヒロイン可愛い!」って思ってくれた人!
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