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21、美少女作家の告白

「うぅ、怖かった……」


 涙目になった幸那ちゃんが画面のエンドロールを眺めつつ、震える声で呟いた。


 容赦なく庇護欲をかきたてる表情で、可愛すぎ……。


 私は幸那ちゃんをぎゅっと抱きしめて、よしよしと頭を撫でてあげる。


 恥ずかしそうに頬を赤くしていたけど、なんだかんだ気持ちよさそうに目を細めている。



 ああ、こんなに可愛い妹がいて、私は幸せ者だなぁ……。


 

「鈴―。お母さん、帰ったよー。お友達が来てるのー?」


 突然、一階から声が聞こえてきた。

 どうやら、お母さんが仕事から帰ってきたみたい。


「お母さんですか?」


「うん、そうだよ」


 幸那ちゃんと話していると、階段を上る足音が聞こえてきた。


コンコン


 と、ノックの音が耳に届いて、私は「いいよー」と扉越しに声を掛けた。


 お母さんが扉を開けると、さっきまで私にしがみついていた幸那ちゃんが立ち上がり、


「こ、こんにちは! お邪魔しています」


 ぺこり、と頭を下げた。

 お母さんは幸那ちゃんを見てから、


「あら、お人形さんみたいで、すっごく綺麗な子! 初めまして、鈴の母です」


「は、初めまして。本部幸那と言います」


「あら、本部……さん?」


 幸那ちゃんが名乗ると、お母さんはニヤリと笑った。


「は、はい。そうです」


 幸那ちゃんは、ぴんときていないからか、不思議そうに首を傾げつつも、そう答えていた。


「それじゃ……」


 意味深な視線をこちらに向けるお母さんに、私は応える。


「うん、幸那ちゃんは……私の未来の妹!」


 ぎゅー、っと幸那ちゃんを抱きしめて、私はお母さんに紹介した。

 幸那ちゃんはというと、驚いた表情をしたものの、否定の言葉を言ったりせず、むしろ嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべていた。


 私はそれがすっごく嬉しくて、彼女の頭をまた撫でた。


 お母さんは「そっか……」と呟いてから、


「鈴の妹なら……私の娘ってことよね!」


 びしっと親指を立てて、宣言した。


「え、えっと……。そう言ってもらえると、嬉しいです」


 幸那ちゃんは私の腕の中で、幸せそうに微笑みながら言う。


「……ねぇ、鈴?」


「ん? どうしたの?」


 さっきまで幸那ちゃんをデレデレした表情で見ていたお母さんだけど、急に真剣な表情になって私に声をかけてきた。


「肝心の、鈴が大好きな本部君は……、いつ連れてきてくれるのかしら?」


 鋭い視線。

 ……私は視線を泳がせながら答える。


「……もうちょっと、先かなー?」


 私の応えに、お母さんは「はぁ」と大きくため息を吐いてから言った。


「鈴には、お母さんがお父さんを堕とした4つの恋愛秘儀の1つ、『ラブラブ♡耳かき』を教えたでしょう? 耳かきは、ちゃんとしてあげたの!?」


「し、したけど! ……ダメ、だった」


「そう、本部君は中々ガードの固い男の子みたいね。……それならいっそ、お父さんにプロポーズの言葉を言わせた7つの裏恋愛秘儀を教えるしか……」


 お母さんは何かぶつぶつと言っていた。

 ……お父さんはお母さんに何をされたっていうんだろう? 


「……耳かき?」


 お母さんを見ながら、きょとん、とした表情で首を傾げて呟いた幸那ちゃん。

 その呟きを聞いたお母さんが、ニヤリと口角を上げた。


「そう、耳かきよ、幸那ちゃん。そうだ、折角だし幸那ちゃんにも教えてあげるわ! 将来好きな男の子が出来たら、試してみなさい。一発でメロメロになるはずよ。……と、いうわけで、ほらこっちにいらっしゃーい♡」


 そう言って、お母さんは幸那ちゃんの隣にちゃっかり座って、自分の膝の上をぱんぱん、と叩いている。


「み、耳かき!? 恥ずかしいです……」


 顔を真っ赤にして、両手を耳に当てて隠す幸那ちゃん。

 助けを求める様に私に視線を送ってきた。


「お母さん! 幸那ちゃんに変なことするの禁止!」


 私はお母さんの魔の手から、幸那ちゃんを庇う。


「あら、変なことじゃないわよ、耳かきよ。あなたにもしてあげたし、あなたも大好きな本部君にしてあげたんでしょ?」


「べ、別に……そういう意味で言ったわけじゃないよ!」


 揚げ足を取るようなお母さんの言葉を、私はムキになって否定した。

 そんな私の様子を、おかしそうに見ていたお母さん。


「でも、そうね。鈴より先にしちゃったら、怒られちゃうわね」


 そして、お母さんは私にウィンクをしてから、立ち上がる。


「それじゃ、お夕飯の支度をするから。幸那ちゃん、嫌いな食べ物はない?」


「は、はい。好き嫌いは、ありません。ありがとうございます」


「そ、良い子ね。それじゃおばさん……じゃなくって。お母さん、娘たちのために、腕によりをかけてご飯を作るわねー!」


 ぐっと拳を握って宣言したお母さんは、部屋を出た。


 お母さんは、ものすごく幸那ちゃんを気に入ったようだ。

 残った私たちは、顔を見合わせてから、言う。

 

「鈴ちゃんのお母さん。すっごく綺麗で、優しいですね」


「幸那ちゃんのお母さん……というか、お義母さんも。綺麗だよね」


 お互いのお母さんを褒め合う私たち。

 なんだか無性にくすぐったくなって、お互いに笑い合った。


 そして、しばらくの間見つめ合った後に、私は幸那ちゃんに問いかけた。




「耳かき、しよっか?」




 私の言葉に幸那ちゃんは小さなお口を大きく開いた。

 そして、顔を真っ赤にしてから、目をギュッと瞑って、慌てたように大声で言った。



「も、もう! しませんから!」




 お母さんが気合を入れまくった晩御飯をみんなで食べてから、順番にお風呂に入った私と幸那ちゃん。


 ……一緒にお風呂に入れるかも、とちょっとだけ期待していたけど。

 お家のお風呂はあんまり大きくないので、流石に止めておきました。


 一緒にお風呂に入れたら、きっと楽しかったのになぁ、と残念に思っていたけど、お風呂上りのパジャマ姿の幸那ちゃんを見ると、その気持ちは吹き飛んだ。


 幸那ちゃんのお家でお泊りした時も思ったけど、お風呂上がりのこの娘は……本当にクラクラする位、魅力的。


 髪の毛を上げていて、時折見えるうなじがセクシーで可愛い♡




 ……そして、そんなお風呂上りモードの幸那ちゃんと、もう一本ホラー映画を観てからのこと。




「う、うぅ~。この映画も、すっごく怖かった……」


 私の腕にしがみつきながら、幸那ちゃんは呟いていた。


「えへへ、そうだねー、すっごく怖かったね♡」


 まっとうに怖いホラー映画だったおかげで、私は可愛い幸那ちゃんを堪能できました♡

 今日観た二作品の映画監督が、再びホラー映画を製作した時は、幸那ちゃんと一緒に劇場に足を運ぼうと心に決める。


「……嘘、鈴ちゃん全然怖がってなかったです」


 不満そうな表情で、幸那ちゃんは言った。

 私はそんな幸那ちゃんの前髪を、指先で梳きながら言う。


「だって私は、幸那ちゃんのお姉ちゃんだから。妹が怖がっていたら、お姉ちゃんが傍で安心させなくちゃ、だし!」


「鈴ちゃん……」


 蕩けた眼差しで、私を見つめる幸那ちゃんが私の肩に首をとん、と預けながら続けて言う。


「早く、鈴ちゃんが本物のお姉ちゃんになったらいいのになぁ……」


 その言葉に、私は少し、胸が締め付けられた。

 私が幸那ちゃんの本当のお姉ちゃんになるには、に認められる小説を書かないといけない。


 それが、いつになるかは分からない。

 だから、自分に言い聞かせるように、私は呟いた。


「幸那ちゃんのお姉ちゃんになれるように。私、頑張るね」


 決意の滲む私の声から、幸那ちゃんは何かを察したんだと思う。

 真剣な表情でこちらを伺いながら、彼女は口を開いた。


「……ねぇ、鈴ちゃん聞いても良いですか?」


「何、かな?」


「その、兄さんに聞いたんですけど。鈴ちゃんには目標があって。それを達成するまでは、二人は恋人にならないって」


「うん、そうだよ。……私が、彼を待たせちゃってるの」


 私の言葉に、幸那ちゃんは「ふふっ」と、柔らかく笑った。

 どうしたんだろう? そう思っていると。


「兄さんは、『自分が意地を張っている」って言ってたから。なんだか、お互いに想い合ってるんだな、って感じて。……すっごく、嬉しいです」


 幸那ちゃんの言葉を聞いて、私も嬉しくなって思わず笑ってしまった。


「良かったら、鈴ちゃんのその目標が何なのか、聞きたいです。……私にできることがあれば、お手伝いしたいから」


 優しい幸那ちゃんの眼差しを受けて、私は彼女にも、ちゃんと小説家であることを説明しようと思った。


 私は立ち上がってから、本棚から一冊の本を抜き出す。

 そして、幸那ちゃんに差し出した。


「『奇跡』……この本が、どうしたんですか?」


 私が差し出した本のタイトルを呟いた幸那ちゃんは、不思議そうな表情を浮かべて、問いかけてきた。


 私はゆっくりと深呼吸をしてから、幸那ちゃんの目をまっすぐに見つめて、答える。


「実は私、小説を書いてて。三鈴彩花っていうペンネームで活動してるの」


「三鈴……えっ!? 三鈴、彩花!??」



 幸那ちゃんは手にした本を二度見、そして三度見してから、驚いたような声を上げた。

 そんな混乱する彼女に、私は続ける。




「うん、その本は私のデビュー作で。……私と彼を巡り合わせてくれた作品なの」

【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳【可愛い】だよん♡


愛花ね、鈴ちゃんがやたら長くて変なペンネームじゃなくって、良かったなって思うの(*'ω'*)

きっと恥ずかしくって、幸那ちゃんに告白できなくなってたもんね(´Д⊂ヽ

それどころか、もとべぇにも言えなかったかもだよぅ……(´;ω;`)

良かった、良かったよぅ……(/o\)

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新作投稿!主人公のイケメンを差し置いて、友人キャラの俺がモテまくる!?!
友人キャラの俺がモテまくるわけがないだろ?
ぜひ読んでください(*'ω'*)

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