9、15歳と金の価値
結果、オレは毒の死の淵から辛うじて救われてリアンばあちゃんは一気に82歳まで老け込んでしまった。
そしてオレが冒険者登録できる年齢の15歳、つまり一人前の成人15歳になった事を見て安心したのか、3日後の早朝に眠るように息を引き取っていた。
「生前のばあちゃんは言っていたなあ…」
「なあ、ばあちゃん。何で人族のオレにここまで優しくしてくれるんだよ?」
と質問したら…
リアンばあさんは
「なんでだろうねえ…」
と暫し空を見つめて何かを思い浮かべるようにしていたが…
「これはあたしに限った事ではないんだけど、どうにもコボルト族というのは人族を無下にできないんだよねえ…。
なんて言ったらいいのか上手い言葉が見つからないけど、放っておけないと言うか、何だか人族を“家族”の様に思えてならないのさねえ…」
「と、言っていたんだよなあ」
とクレスは呟いた。
「8千万ザガネ…今なら分かるよ。その価値が…」
「8千万円に相当するんだよなあ…。当時も今も途方もない金額だよなあ。」
それに相槌を打つようにご隠居は言葉を続けた。
「そうじゃのう。要するに1ザガネ=1円じゃからのう…」
暫しの沈黙の後、クレスは墓前の前から立ち上がった。
「ばあちゃん。人に誇れる冒険者になったらまた来るよ…」
「クレスよ、これからどうするんじゃ?」
とご隠居が話しかけた。
「そうだな、やっぱまずは冒険者ギルドに正式登録してランク上げかなあ?
でもまずはコツコツと冒険者ギルドのクエストをこなすとするかな!」
「まあ、それが無難じゃろうのう…」