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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
88/88

88、チュートリアル編の終了

クレスは自宅への帰路についていた。

そろそろ村外れの自宅近く迄来た頃であった。


「クレスよ、報復に関してひと段落ついたようじゃのう。」

と、ご隠居が声を掛けてきた。


「なんだ、ご隠居憑いて来ていたのか?」


「フォフォ。ワシはクレス憑きの精霊じゃからのう。して、シアの嬢ちゃんを連れて来なかったのは…」


「ああ…、曲りなりにも報復と言う負の感情をぶつける場面にワザワザ、シアを晒す必要もあるまいと考えてな…」


クレスは言葉を続けた。

「オレにとっては“一種のけじめ“の様なモノだったからな。避けては通れなかったからな…」


「フォ、そうか…まあ、そう言う事なら仕方あるまいのう。

して、クレスとしてはこれからどうするつもりなのかのう?」


「うん?これからの予定か…。

そうだなあ、ひとまずは明日にでも再度ダンジョンのコントロール室に出向いて、もう少し領主の運営というか、このラピス村の状況とか把握でもしようかと思っている処かなあ?」


そう言いつつ、クレスは久々に晴天となっている空を見上げた。

「そろそろお昼頃かあ…。

こういう天気の良い日は外でピクニックみたいにして弁当でも持参して食事をしたいものだなあ…」


と、クレスが呟く様に話していたときである。

クレスの視界にあるモノが捉えられた。


「なんだ!アレは??」


クレスの眼は、遥か先の上空に存在する“或るモノ”を捉えた。


「まるで…ラピュタの城じゃね~か…」


クレスは目の錯覚か幻でも見てしまったのかと思って何度も瞬きをした。

然し錯覚ではなく、はるか先の上空に空高く浮遊する巨大な大地の上に荘厳であり華麗でもある優美な城が聳え立っているのがなぜかはっきりと見えた。


「ぱっと見の雰囲気はラピュタの城っぽいけど、巨大な大地?陸地が天空にあって、その上にある城は、……どこかで見たことがある様な……


“そうだ!”〇戦士ダンバ〇ンに登場したグランガラ〇にそっくりじゃね~か!!」


クレスは、ようやく合点が行ったのか思わず大声で叫んでいた。



すると、ご隠居が話始めた。

「フォフォ。そう言えば、クレスが15歳で覚醒してからだとアレを見るのは初めてじゃったのう。

形もクレスの言う通り、クレスの記憶にあるアニメに出て来たグラ〇ガランにそっくりではあるのう♪」


「おい、ご隠居!アレが何なのか知っているのか?」

クレスは思わず食いつく様にご隠居に聞き返した。


「フォフォ。アレは巷では“天空城”と呼ばれているのう」


「天空城?天空城って何だよ?」


「フォフォ。天空城とはのう…あくまでも一説ではあるがな…あの天空城のあるじとなった者は、この世界の全てを統べる存在になれる!と言われておる。


なぜなら、天空城の主となった者はこの世界の気候・天候・天変事変全てを操る事ができると言われておるのじゃ。

その効果は地上にあるダンジョンの支配地域範囲と言えども、問答無用で上書きされてしまうそうじゃ」


「え?全ての気候や天候を操れる?

その上、地上のダンジョンマスターの支配効力よりも上位の効果が及ぼせるのかよ?」


「そう言う事になるのう。

例えば、このラピス村付近の様な砂漠に雨を絶え間なく降らせて水の豊かな土地へ変貌されるとか。或いは凍土の気候を温帯気候にして人が生活し易い環境に変更するとか。

逆に絶えず雨が降っていて、洪水の絶えない地域の場合は雨を減らして過ごしやすい環境にするとか。

などなどが可能になると言われておるのう」


「それって、完全に昨日オレが攻略したダンジョンの超上位互換タイプじゃね~か!」


「そう言う事になるのう。

じゃから、例え地上で男爵のダンジョンマスターでございとか、伯爵のダンジョンマスターでございとか、勢威を張っていても天空城の主の意向の前にはひれ伏すしかないのじゃよ。

なぜなら、天候を操れると言う事は逆の操作もできるのじゃよ」


「逆の操作?」


「例えば、ダンジョンマスターの支配地域内の肥沃な土地の上から、1年中大雨を降らせるとか、雹を降らせるとか、或いは極寒の気温にまで下げるとか、或いは、摂氏50度を超える過酷な気温に1年中するとか、などじゃな」



「それって、天空城の主の前には、逆らい様が無いじゃないかよ…(汗)」


「フォフォ。その通りじゃ。

ただ、天空城は地表のダンジョンと同様の構造になっていて、そのダンジョン攻略は困難を極める!と言われておるのう。

加えて、天空城に辿り付くには数多のダンジョンを攻略してダンジョンマスターになる必要があると言われておる。

そうして、数多あるダンジョンを攻略する事によって、ようやく天空城へ至る道が開かれる!と言われておるのう」



「あの空高くある城、天空城には直接乗り込めばいいんじゃないのか?

例えば、ペガサスに乗って、直接上陸するとか?」

クレスは素直に直球の質問をご隠居にした。


「フォフォ。誰もが最初にそう考えるようじゃのう。したが、ダメなのじゃよ」


「ダメ?何で?」


「クレスに分かり易く言うと、一種の蜃気楼の様なモノでのう。

視る事はできるが、実際にその場所まで飛んでいっても存在しないのじゃよ」


「マジかよ、ご隠居?」


「少なくとも、巷ではそう言われておるのう。フォフォ」


「と言う事は、天空城の主がこの世界の頂点に君臨する支配者って事か?」


「まあ、そうとも言えるのぅ。フォフォ」




「そうかそうか…天空城の主に成れたら、人族のオレでもこの世界で安全且つ優雅に暮らせるって寸法になるな……」


クレスは、なにやら天空城を見上げつつ何やらブツブツと呟いていた。

「やってやるぜ!多くのダンジョンを攻略してダンジョンマスターになってやるぜ!そして、いつかは………

見ていろよぅ。天空城。いつかきっと主になってやる」



やがてクレスは何かを決意したかの様に両手で握りこぶしを作りつつ、両腕を頭上に精一杯伸ばしたかと大きく叫んだ。




「そして…   天空城の主はこのオレだ~~~~!   」




クレスは、天に向かって大きく絶叫したのであった……。


これにて、私のイメージした小説の主人公クレスの冒険の端緒であるチュートリアル編が終了しました。


如何でしたでしょうか?


できますれば、感想や評価を頂けましたら執筆の励みになります。

どうか、忌憚なくお書き頂ければ幸いです。

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