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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
78/88

78、初のダンジョンボスとの対戦

暫し、考えに耽っていたクレスであったが、いつまでもこうしていても仕方がないと判断してサアシアに声を掛けた。


「幸いにして、どうやらオレ達がボス部屋一番居りの様だ。

でだ、ボスの攻略に関してだが、昨晩に話し合った方法で問題はないと思う。

もしも、勝てそうになかったら、撤退エリアにまで逃げて出直そうと思うが、どうかな?」


それを聞いたサアシアも同意する様に頷いた。

「その方針で問題ないと思うの」


「では、それで決まりだな!」


そうして、クレスは口頭でボス挑戦への意思表示をなした。


「オレ達エンシェントはボスに挑戦したい!」


するとそれに答えるように声が天井より聞こえてきた。


「では、扉を開門する。グッドラック!」


すると、大きな金属製の観音扉が重厚なゆっくりとボス部屋の方へと開いていった。


“ギギギギギギギィィ~~~~~~”


クレス達がボス部屋に入ると今度はゆっくりと同様の音を立てて閉まっていった。



部屋の中は事前にマップで確認した情報と誤差がなく、100メートル四方の大きめの部屋であった。


「改めてみるとやっぱ広いなあ~」

そう、クレスは感想を述べた。


そう言いつつもクレスが部屋の中を観察していた時であった。


部屋の中央部分が何やら光り始めた。その後、何かを形作り始めた。


そして、やがて、次第にはっきりと形に成った。

それは、多少の違いは或るものも、凡そ3メートル四方はありそうな大きな石のブロックが沢山現れたのであった。


「なんだ?」

クレスは一瞬訳が分からずに、口に出した。


やがて、その石のブロック体は、それぞれ意思を持っているかの様に、積み木の如く積み上がっていった。


“ズシン ズシン ズシン ズシン”


重そうな音を立てつつ、段々と形を成していった…。


やがて、その大きな石のブロック体は一つの大きな人型の模型?を作り上げた…


クレスは一歩下がって、怯んだ様な声を小さく上げた。


「な、…なんだ…これは…」



ついに、それは完成した。


完成すると共に部屋を壊さんばかりの大きな雄たけびを上げた。


“グオオオオオオ~~~~~~”


それは高さが50メートルはある巨大はストーンゴーレムであった。



クレスは慌ててサアシアのそばに寄りつつ、傘を開いた。


「な な な なんだよアレは?!(汗)」

クレスはいつになく、焦った口調で早口で喋った。


「あれがこのダンジョンのボスモンスターかよ!」

「おい。ご隠居。シア。ゴーレムってあのザイズが普通なのか?」


「い、いや…ワシもとんとあのサイズのゴーレムは耳にしたことがないのう(汗)」


「シアも、見たり聞いたりしたことがないの。

普通のゴーレムのサイズは比較的大きめでも5メートルあれば結構立派なほうなの(汗)」

心なし、サアシアも目の前のゴーレムのサイズには安穏としていられない様である。


「そ、そうか…(汗)。これって結構やばいのか?」

そう、クレスが言っていた時である。


ボスゴーレムがクレス達の方で“ズシン ズシン”と地面を揺らせつつ、思ったよりも速い速度で近づいてきた。

目算だが、時速40キロくらいはでているスピードであった。


「結構はやい(汗)」

クレスは冷や汗を流した。


ボスゴーレムは、右足を大きく持ち上げるとクレス達を踏みつぶさんと大きな右足を地面に大きな地響きを立てるような勢いで踏みつけてきた。


“グオオオ~~”


その巨大な右足がクレス達を踏みつぶそうとした瞬間である。

一瞬白い傘が光ったかと思ったら、その巨大なゴーレムが後方ではじき返されて30-メートルは吹き飛ばされてバラバラに飛び散ったのであった………



それを見たクレスは、一瞬呆けた表情を浮かべたが、“そうだよ♪そうだよ、そうだよなあ♪”と言わんばかりの表情を浮かべて、安堵の息を吐いたのであった。



「そりゃそうだよ。幾ら巨大なゴーレムと言えども、この傘でそっくりそのまま自身の自重の踏みつけ攻撃を反射されたんだから、そりゃあ壊れるに決まっているさ♪

自身の攻撃力が高ければ高いほど、カウンター攻撃が決まった時は、きついからな♪」


「それじゃあ、やったの?」とサアシアが恐る恐る聞いてきた。


「ああ、見ての通り“やった”さ♪」と、クレスは嬉しそうに告げた。



一方、クレスとサアシアのやり取りを聞いていたご隠居は、思わずボソッと呟いた。

「“やった”とか、…それがフラグにならねば良いがのう…」



と、その時である。

バラバラになったゴーレムの石が一瞬光ったかと思うと徐々に集まり始めて、やがてドンドン積み木の様に積み重なっていき、元の完全体のゴーレムの姿へと復元していったのでった。


そして…“ゴ~~~レキ~~~!”と大きく叫んだ。



「いいい~~~」

クレスは目の前でゴーレムが完全復元したのを見て、思わず素っ頓狂な声を上げた。

「なんでゴーレムが再生するんだよ!」


サアシアはサアシアは、「これが…フラグっていうヤツ?」とコテンと可愛らしく首を傾げつつあどけない表情で聞いてきた。


ご隠居も「やはりフラグとなったか…」と、何やら達観した表情を浮かべつつ沈痛な面持ちで言葉を紡いだ。



「二人共、何フラグごっこで盛り上がっているんだ(汗)」

クレスは自棄になりつつ、二人に突っ込みを入れた。



一方、…


“ゴ~~~レキ~~~”

そう叫びつつ、ボスゴーレムが今度はクレス達に殴りかかってきた。


だが、傘の効果は健在である。

殴りかかったボスゴーレムは、はるか後方に弾き飛ばされて、バラバラに壊れた。


それを見たクレスは

「でも、やっぱ再生するんだろう?」

と半ば諦め切った表情で呟いた。


クレスの予想通りに、バラバラになったゴーレムはやや暫くした後に再び集結してゴーレムの完全体となり、再びクレス達へ攻撃してきた。



………30分後………





「こりゃあ、千日手だな…」

クレスは独り言ちた。



クレス達は自分たちでできる手段を可能な限り取ってみた。


とは言うものの、専ら取れた手段はサアシアによる精霊魔法による攻撃がメインであった。


サアシアは、精霊魔法を駆使して可能な限りの攻撃を繰り返してみた。


石の矢・風刃・大地の泥沼などなど


直接攻撃魔法は元より、足止め魔法など色々と試してみたのだが、いずれも効果を得られなかったのである。



「どうにも困ったなあ…。

傘の防御のお陰でダメージを負わずに安全だけど、傘が無かったら完全に即死パターンで無理ゲーだぜ…。ご隠居、シア、何か妙案でもないか?」


「悪いがクレスよ、ちとワシも良い手を思い浮かばんのう…」


「シアは何も思い浮かばないの」


「そうかあ…」

クレスは二人の答えを聞いて、(やっぱりな!オレもだからなあ…)と思った。


と、その時である、クレスにとって嬉しいチャイム音が聞こえてきた。




“ピンポーン”


§§§

【個別指令の発令】

詳細

アイテム:傘の変化の習得

クリア条件:現在受けているボスボーレムの攻撃を100回受ける事。

その際に、意識してダメージを“反射”するのではなく“吸収”をイメージする事。



“傘の変化の習得”の効能:


1、バージョン1:ダメージ反射バージョン~現在の仕様であり、敵が攻撃してきたダメージをそのまま反射する。


2、バージョン2:ダメージ吸収・放出バーション~受けたダメージを反射せずに、傘に吸収する。

その後、吸収したダメージをエネルギーに変換して傘の先端から放出する。

尚、その際、傘の形状は若干変化して先端部分がデスラ〇砲の様な形状になる。


ただ、バージョン2のレベルが未成熟なので、今回の解放・入手だけでは、充填率は10パーセントが上限となっている。

又、充電したエネルギーは、24時間経過と共に自然消滅する。


尚、バージョン2の放出エネルギー砲は便宜上、傘の所有者の名を冠して称される。

例:クレス砲。


範囲:視界内。

基本消費MP:充填率1パーセントの消費毎に10。

基本消費ザガネ:充填率1パーセントの消費毎に10万ザガネ。

§§§





“ピンポーン”


§§§

【個別指令の発令】

詳細

スキル:“急所”の入手

クリア条件:100匹の砂漠の一角ウサギの首を刈り取って即死させる事。



“急所”の効能:敵の急所を視認・攻撃できる様になる。

攻撃に成功すれば、クリティカルヒット扱いとなり一撃死させられる。


範囲:視界内。

基本消費MP3。持続時間:1時間

§§§



クレスにとって、正に救世主の様な個別指令の到来であった…


「来た来た来た~~~~~♪♪♪」


クレスは欣喜雀躍を成さんとばかりに喜び勇んでいた。


(恐らく、このボスゴーレムは急所を突いて破壊しないといつまでも再生し続けるタイプに違いあるまい。今、この段階で“急所”スキルの入手指令が到来したのが良い証拠だぜ!)



「クレス、どうしたの?」

一方、サアシアはクレスの態度の急変にキョトンとなりつつ、質問した。



「ああ、目の前のゴーレムを何とかできそうな算段ができたんだよ♪

まずは、目の前のゴーレムから合計100回の攻撃を受ける。

その後は、一時撤退して出直しだ♪」


その様子を見ていたご隠居は察した様である。

「フォフォ。クレスやアレか?」



「おおよ♪今は無理でも出直して準備すれば次こそこのゴーレムを攻略できそうだ♪」


「そうか…。良かったのぅ。フォフォ」



約2時間後…クレスは合計120回のボスボーレムの攻撃を受けた。

120回の攻撃に至ったのは、ときどき、吸収攻撃を意識できずに失敗したからであった。



そして、例のファンファーレがクレスの耳に聞こえてきた。

「おめでとうございます。クレスは、“傘の変化“を入手しました」


それを聞いたクレスは「をし!」と一声叫んだ。


「シア。ご隠居。一旦撤退だ。ゆっくり移動するぞ。

な~に、この傘の効果があるからダメージは受けない。行くぞ!」

とクレスは声を掛けた。


「分かったの」

サアシアは相槌を打った。



その後、クレス達は、ゆっくりと撤退エリアに入りボス部屋の外に出た。




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