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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
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69、クレスの暴走とサアシアのお仕置き

9月1日 午前8時過ぎ…


クレス達はダンジョンの入口そばに来ていた。


「結構色々な種族の冒険者がいるなあ…」

クレスは感心するように周囲を眺めつつ呟いた。


すると辺りには、様々な種族を目にする事ができた。


コボルト族・ゴブリン族は、勿論の事。ホブゴブリン族、オーク族、ドワーフ族、リザードマン族、獣人族など多くの種族が入口近くにたむろしていた。


「多くの種族がいるなあ…。

あそこに居るのはちょっとガタイの大きいゴブリンみたいだからホブゴブリンか?

あ、向こうに居るのはオーク族か…ほんとに普段は見かけない種族が至る処に居るなあ…」


クレスが物珍しそうに辺りをキョロキョロとみていたその時である。


「あ、あれは♪♪」


クレスの眼に入ったのは、一人の女性の獣人族であった。

それは頭にチョコンと黒いネコミミを付けており、お尻からは黒い尻尾がピコピコと動いていたのであった…。


そのネコ族?らしき女性は年齢が大体10代後半、黒い髪をショートにしており、顔つきは小顔でとても愛らしい容姿をしていた。

身長は160センチほどあり、スタイルは出る処は出ており、引っ込んでいる処は綺麗に引っ込んでおり、要するにクレスからして見たら、まさに理想のナイスボディの綺麗なお姉さんが具現化していたのであった。


それを見たクレスは、もはや瞬間移動の域に達したような超人的速度で事をなそうとしていた。



「おねえちゃ~~~~~~ん♪」



そう叫びつつクレスはそのネコ族の女性に抱き着こうとした。

とその時である、女性からの距離が50センチほどにまで接近した、正にそのときである。

クレスの体が一瞬光ったかと思うと、クレスの体が強張ったかの様に動きが止まった。

同時にクレスは“ウギギギッ”と苦し気が呻き声を上げた。


“ドスン!”

クレスはネコ族の女性に跳びかからんとしていた空中から地面に強かにその体を打ち据えた。


「キャ~、な、何にゃの?」

ネコ族の女性はびっくりして思わず叫び声を上げた。



「な、なんなんだ…」

クレスは顔面からしとどに地面に打ち付けたが、力を振り絞る様にして両手を地面について、上半身を持ち上げた。


「な、何だか急に体が強張って、動けなくなったような…」


そこにご隠居が話しかけてきた。

『はあ…。まさかクレスが加害者の立場でダンジョンの目の機能を経験するとはのう…呆れたモノじゃわい』

ご隠居が、呆れた表情を浮かべつつ、クレスとサアシアにのみ見える様に出現した。


『だダ、ダンジョンの目…だと…』

未だ、金縛りが完全に解けていないのか、クレスはたどたどしく念話でご隠居に言った。


『そうじゃ。例え、領主・ダンジョンマスターが死亡・不存在となったとしても従来設定してあった昨日は新たに設定されるまでは維持されるのじゃよ。

つまりクレスはダンジョンマスターの目の裁きを受けて、金縛りを受けたのじゃよ』


ご隠居は尚も話を続けた。

『はあ~。普通は貧弱・弱体化されている人族などを守るために、ダンジョンマスターの目が光っているのじゃが、よもや、守られる事を想定していた人族が暴走して、人族のクレスを罰するとはのう…まるであべこべじゃのう。ヤレヤレ』


それを聞いたクレスは思わず反論した。

『オ、オレはあの綺麗なナイスバディのお姉さんをお茶にでも誘おうかと思っただけじゃないか!それが何で…』


『勢いよく抱き着いて、その場に押し倒す言動は十分に犯罪じゃよ』

ご隠居は呆れた様に首を横に振った。



「ねえ~クレスぅ~」

と、呼ぶサアシアの低いドスの聞いた声がクレスの耳に届いてきた。


クレスが慌ててサアシアの方を振り向いた。


するとそこには、体全体からドス黒いオーラを燃え上がらせており、瞳の奥は光りを失い漆黒の闇が広がる鬼の表情を浮かべたサアシアの姿があった。


「シ…シア…(汗)」


「ど、どうしたんだ、シア…」

クレスは、サアシアのその姿にいつになく動揺していた。


「クレスは今何をしようとしたのかしら~~~(怒怒怒)」

サアシアの口元は三日月を形取り、ニッコリとほほ笑んでいた。

然し、目の奥は依然として光を吸い込む様なブラックホールの様な深淵の闇が広がっていた。


「シ、…シア……」

クレスはサアシアの様子がいつもと違う事になにやら背筋に巨大なツララを入れられた様な寒さを感じた。



「クレスは私の将来の旦那様よね…そうよねえ…。一夫一妻の婚姻の契約を交わしたのよ。そうよねえ…」


「あ、いやだから、そ、それは将来のこ、事で…だ、だから、今はまだ関係ないと言うか…、そ、そうだろ。ま、まだ関係ないはずだ、だろ?な!な!」

と、クレスは何かに縋る様にサアシアに同意を求めた。


「ねえ~クレスぅ~、クレスは私を“待ってくれる”て約束してくれたわよねえ~そうよねえ~~?」

サアシアは低くドスの聞いた声で静かに問いただした。


「い、いやだからよ、“待つ”間は厳密には伴侶でもシアの旦那様でもないし…。

そ、そのなずだよなあ~な!な!」

クレスは半ば自棄の様に言った。



「ねえ~~クレスぅ~~。

実はねえ、私のご先祖様の中にもクレスの様に浮気性の男が居たのぅ~~。

それでねえ。幾ら諫めても浮気性の直らない旦那様に業を煮やした妻がねえ~、とうとうスキルを新たに作りだしたのぅ~、ウフフフ」


その途端に、クレスの体の周りにグルグルと何重にも巻き付く様に銀色の縄?らしきモノが出現した。


「な、なんだこれは…シア、これは一体何なんだ?!」


それを聞いたサアシアはさも嬉しそうに満面の笑みを浮かべてこう言った。

「それはねえ…“呪縛”若しくは“縄縛”と言われている私の一族に伝わるスキルなのぅ~」


「じゅ、呪縛?」


「そうなのぅ~、どうやら私の一族、それも女性の伴侶はなぜか浮気性の男性と結ばれるのがとても多かったのぅ~。

それでえ~ご先祖様の女性わぁ~、旦那様が浮気できない方法を編み出したのぅ~。

それがあ~“呪縛”なのぅ。ウフ。ウフフフ」

サアシアは心のこもっていない乾いた声で笑った。


「う、浮気できない方法?」


「そうなのぅ~、例えば、今回のクレスの様に浮気をしたら~~、こうなるのぅ~~」


その途端、クレスを縛っている縄が赤くなったかと思ったらメチャクチャ熱くなった。


“アチ、アチ、あちい~”


クレスは熱さのあまり、地面を転げまわった。


「あ~ら~~、こんなのはま序の口よぅ~~、ウフフフ」


「熱いって、シア本当に熱いから止めろってえ~~」

クレスは熱さに七転八倒しながら、叫んだ。


「じゃあ、もう浮気しない?シアだけのもの?」

光りのない黒い瞳の表情のまま、サアシアはクレスに問いかけた。


「し、しない。浮気しない。だから早く何とかしてくれ~~!」


そえを聞いたサアシアは“パア~~”と表情が綻び、瞳に光りが戻り嬉しそうにほほ笑んだ。


「やっと、シアのクレスに戻ったの」


するとクレスを縛っていた呪縛が途端に消え去った。


“はあはあ~”

クレスは荒く呼吸していた。


そこにサアシアはクレスの下に駆け寄り、クレスの頭を“いい子いい子”とばかりに撫でた。


「クレスは、シアの旦那様なの。シアだけをしっかり見ていて欲しいの♪」

そう言ったのであった。


(と、とんでもねえ~~。

何なんだ、あの呪縛とやらは、サアシアのご先祖が編み出したって?!

浮気性の男と結ばれ易い血筋だから、編み出した?

んなモンワザワザ編み出すんじゃね~よ!)


その時にサアシアがボソっと囁くのがクレスの耳に聞こえてきた。

「どうやらクレスは浮気癖があるみたいだから、折を見ては躾けるの。

私だけを見てくれるクレスに育て上げるの。

ご先祖様を見習って“葵の上計画”を推し進めるの。フフフフ」


それを耳にしたクレスは何やらゾワリと感じた単語に背筋が寒くなった。

(“葵の上計画”?育て上げる?何だかすっげえ~嫌な気配を感じた。何なんだ一体…)

“ブルルっ“と、クレスは身震いした。


(これじゃあまるでヤンデレじゃないか!

シアとの関係?………少し早まったか?…


いや、然し、前にも思ったが、シア以上の条件を満たすエルフっ娘に出会えるか?!となると……難しいだろうなあ。

何せ年齢以外は…スタイル以外はドストライクのど真ん中だからな…。


ここは初心に戻って何とか光源氏計画を進めて、オレ好みに育て上げてヤンデレを修正して、ハッピーエンドに持って行くんだ!それしかない!!)

とクレスはクレスで、野心(邪心?)を募らせるのであった……。



一方、二人の騒動を見ていた周りの

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