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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
61/88

61、PT(パーティ)結成とサアシアの疑問

今までの話をサアシアは、クレスの方に向き直って、話を切り出した。


「クレス!このシアと一緒にパーティを組んで欲しいの。お願いなの」

と真剣な表情で話し始めた。


「おっと、急に真剣な表情になっってどうしたんだ?」

クレスは急に話を振られて、少しまごついてしまった。


「今の世の中は以前と違って、想像以上に変化している事を理解できたの。

そして“強さとお金と地位”を得る一番の早道は、冒険者になってダンジョンを冒険する事だと理解したの。

そのためには信頼できる仲間が必要と判断したの」


「その信頼できる仲間ってのがオレって訳か?」


「うん。そうなの。さっき、奇しくもクレスはパーティ編成時の心構えを語ってくれたの。

そして、実際に戦利品もシアと等分分けしてくれたの。

ああいう考え方、そして実際に不満の出ない様に戦利品を分けてくれたクレス。

初パーティ編成時にああいう采配はちょっとできないはずなの。それに…」

サアシアは何だか続きを話すのを少し躊躇っていた。


「それに…何だい?」

クレスが先の話を促した。


「クレスは人族は弱体化されていて貧弱な種族と言っていたけど、変なの」


「変?何が?」


「その前に一つ確認したいの。クレスは実際に冒険者になって何年くらい経つの?」


「え~と…今年の5月1日に冒険者登録して、今が8月6日だから、3か月ちょっとかなあ?」

クレスは指折り数えて答えた。


「冒険者に登録したての頃のクレスの実力ってどれくらいだったの?」


「そうだなあ……砂漠に棲む一角ウサギにすら負けて這う這うの体で逃げ出す貧弱な人族だったなあ…(苦笑)」

当時の事を思い出して、クレスは思わず苦笑いを浮かべてしまった。


「3か月前には一角ウサギにすら負けていたのね?クレスは?」


「そうだな…」


「そして、3か月後の現在では、ダンジョンに潜ってキャリオンクローラーをザコ呼ばわりして恰好の狩り相手としてカモにして稼いでいる!と言うのね?」


その極端な事例を聞いて、クレスもちょっと顔を若干引き攣らせながら、頷いた。

「そ、そういう事になるかなあ…」


「帰りのダンジョンで見せてもらったけど、ダンジョン内部のマップをスキルを使って全て把握できていた!隠し部屋や隠し扉や罠の存在も全て?そうなの?」


「あ、ああ…」


「スキルを使って、敵モンスターの配置や通路を徘徊しているモンスターの位置も常時掴めていた。そうでしょう?」


「ま、まあな…」


「宝箱を発見したら、罠感知と罠解除と開錠もできる?そうなの?」


「そ、それもそうだけど…」

クレスは右手の人差し指で右の頬を“ポリポリ”と掻いた。


「それから、さっき、見せてもらったけど、ドロップアイテムの鑑定も私の為にしてくれたよね?鑑定してくれたよね?そうよね?」


「う、う うん…」

クレスは徐々にサアシアの声が低くなり、背後に“ドロドロした黒い炎”が湧き出しているかのような錯覚をして、内心引けていた。


「他にも色々あるけど、一番気になったのは“あの傘”なの。ねえアレってなになの?」

“ズイ”っとばかりにテーブルの上に身を乗りだしてきて顔をクレスの顔近くまでサアシア自身の顔を接近させて、もの凄い気迫で詰め寄ったのであった。


「い、いやあ~あれは、まあタマタマ手に入った傘なだけだぜ(汗)」


「タマタマ?なの?」


「あ、ああ、タマタマだぜ…」


「この3か月ちょっとの間で今挙げたスキルやアイテムを入手したの?」


「あ、ああ…」

さすがにクレスも具体的に詰め寄られると、“ちょっとこのペースでの入手はハイペースで可笑しいのか?”などとチラリと思った。


「そう…。………分かったの」


「え?分かってくれたのか?理解してくれたのか?」

クレスは今までのやりとりからサアシアが理解してくれるとは思わなったので、思わずビックリして問い返した。


すると、サアシアはゆっくりと深く一度頷いてこう喋った。


「クレスは変なの・おかしいの・異常なの・規格外なの・変態なの!と言う事が分かったの」

と言い放った。


“ズルっ”

クレスは思わず、テーブルに突いていた頬肘を滑らせて顎をテーブルに打ち付けた。


「お、おいおい。変態はないだろう、シアよ(汗)」

(まるで、前世で想定外の事を成す日本人を“規格外”国家日本だと…、ひいては“変態”国家日本と言われた様な心境だなあ…)


「これまでの話によると、人族の弱体化は著しいの。

普通に考えたら人族のクレスは普通の生活・生存すら危ういの。

ましてやダンジョンでの冒険だなんて規格外なの。

でも…クレスは少なくても今の処は問題なく冒険しているの。

それもたった3か月ちょっとの冒険者の経験だけで…。

大体普通はそんなスキルは持っていないの。

だから普通じゃないの。可笑しいの。規格外なの。だから変態なの」


「変態言うなし!!」

クレスは思わず叫んでいた。


「だ、だからさあ、タマタマ偶然・というか幸運が重なったんだよ」


「だとしたら、その幸運が凄すぎる。おかしすぎるの」


「そう言われてもなあ…。なあシア?結局何が言いたいんだよ?」


「クレスは普通じゃない。それはこの3か月の経過が物語っているの。

クレスはすぐに強くなるの。成長が半端じゃないの」


サアシアは言葉を続けた。

「今はまだ冒険者のトップではないと思う。

けど、将来は名だたる冒険者として輝かしい二つ名を馳せると思うの。

性格も公平で悪人ではないの。

シアは苗木を育てたいの(青田買いしたいの)。

だから、シアはクレスとパーティを組みたいの。お願いしたいの」


サアシアは真剣な表情で再びパーティを組んで欲しいと頼んでいた。


するろクレスは視線をあさっての方向に向けつつ、何だか照れている様な表情を浮かべつつ、右手の人差し指で右頬を掻いていた。

「いや、まあ…変態とか言われたのはちょっと想定外だったけど、オレとしてはあの水晶のい部屋?から、シアを連れ出した時から、一緒に冒険するつもりだったんだぜ…。

オレとしてもこんな世界で人族が目の敵にされているからさ。

きちんと状況を説明した上で一緒に冒険しないか?と提案するつもりだったんだ」


「まあ、オレとしても信頼できる仲間は欲しかったし、中立族のエルフ族のシアなら、人族のオレの事も差別せずに付き合ってくれるかな?とか思ってたしなあ」


その話を聞いたサアシアは“では…”と小さな声を言った。


「ああ、これから一緒のパーティをこちらからお願いしたい」

とクレスは右手を差し出した。


それを見た、サアシアもおずおずと右手を差し出して、二人は握手を交わしたのであった。




クレス思考………クククッ、やったぜ。表面上は爽やかなちょっと頼れるお兄さん風冒険者を演じて、“オレは君を冒険者として欲しい!”とアピールしたが、実際は後6年、身近に繋ぎとめておいて、自分好みの女性に育て上げるんだ♪

フフフ、光源氏計画の第一歩だぜ!クククッ、ハハハハッ

をっと…、けど、今はお子ちゃまだからてんで食指が動かんけどな…。



サアシア思考……ウフフ、容姿、ロストロイヤルと言う出自、裁きの妖精憑き、ショタ属性、更には、稀に見る他に類を見ない成長率の高さ、ここまでの超優良物件はかつて1200年の人生でもお目にはかかれなかったの。  

このクレスを離してなるものか、どんな女も決して近づけされるものか!なの。 ウフフフフ



ご隠居の思考…何やら二人から怪しげなどす黒い想いが滲みだしておるのう。

いいかげん、この気配からは抜け出したいのう…




「のう。二人とも夜も遅いからこんばんはそろそろ寝たらどうかのう」


それを聞いたクレスとサアシアは“それもそうだな”と言う感じでお互い頷いた。


「じゃあ、悪いはサアシアは隣の部屋にあるベッドを使ってくれ。

その部屋はオレのばあちゃんの部屋だったけど、遠慮なく使ってくれ。

オレはすぐ隣の部屋で寝ているからさ」


「分かったの」とサアシアが頷いた。


「ではお休み」


「お休みなの」


二人は床についたのであった。


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