51、お子様エルフっ娘の名前は、サアシア
そして、サアシアは改めてクレスの方へ向き直った。
「旦那様これから宜しく頼むの」
古式の礼儀に乗っ取って一礼した。
「だ、だんな様ぁ~?
い、いやそれよりもその恰好を何とかしてくれ(汗)」
クレスは思わず視線をサアシアから逸らした。
「その恰好?」
サアシアは自分の姿を足元から太ももへ、そして腹から胸、その後左右の腕へと視線を走らせた。
「この恰好って可笑しいの?」
コテンとサアシアは首を傾げた。
“うっ”
何だか分からない衝撃を受けてクレスは思わず、呻いた。
(オレはロリじゃない!ロリじゃないんだ。
今のこの子の態度に思わず“クラッ”ときた訳じゃない。そうじゃないんだ!)
「そうだよ、完全に真っ裸じゃないか(大汗)」
「い、幾ら幼女だからって他人の前でする恰好じゃないぞ!」
クレスは思わずドギマギしている無意識の内心を誤魔化すかの様に思わず叫んでいた。
(幾ら幼女だからって、これはちょっとまずいよな…。
背格好は確かに小学生5~6年くらいでオレの理想の好みからは完全に外れている。
魅惑的な腰のくびれも殆どなくせいぜい太っていない位だ。
胸にしたって全然だ。せいぜい小さめのお椀が裏返しでくっついている位の膨らみだ。
バストなんて無いに等しいはずだ。
はずなんだが…そう言えば前世で誰かが言っていたな、二次性徴の始まるかどうかの寸前の少女はとても魅惑的である。
子供から大人に成り代わるひと時の儚い美しさを刹那的にほんの一瞬のときだけ具現化する。その様は文字通り“妖精”であると…。
いやまあ確かにこの子は妖精のエルフで間違いないし、ん?妖精には違いないからOKなのか?大丈夫なのか?姿かたちはサーシャ激似だし、…じゃあ、問題なし?OKなのか?)
そこでクレスは“ハッ”と我に返った。
(ちっが~~う。妖精だからOKとかの話は全然違う!
オレは何を勘違いしているんだ。あ、危なかった…)
そこでクレスは“はっ”と我に返って頭を“ブンブン”と左右に振って否定する素振りをした。
(イヤイヤ!オレはロリじゃない、ロリじゃないんだ!
オレの好みの女性はナイスバディのスタイルの良いお姉さんなんだ。
決して目の前にいるロリっ子エルフじゃないんだ!!)
「裸?」
キョトンとした表情を浮かべたサアシアは何かを思いついたかの様に自分の額にそっと右手を伸ばした。
すると一瞬で麗しい衣服を身にまとった。
その衣服はへその部分などを露にしつつ、ピッチピチに体にフィットして纏わりついて体のラインを見事に表している衣服である。
見る人によっては裸より色っぽい衣服であった。
(って、その衣服も火星に不時着したサーシャの来ていた衣服にほぼそっくりじゃね~か!
この世界のエルフとイスカンダル人は共通の種族かなにか関連性でもあるのかよ!!)
「これで良い?」
とサアシアは自分の姿形・衣服の着用を確認した後で、クレスに聞いた。
「なっ、なにしたんだ?」
クレスはその一瞬の出来事に訳が分からず、なぜ突然衣服を一瞬で着用できたのか分からなかったのでサアシアに聞いた。
「これを使ったの」
サアシアは自身の頭に装着しているサークレット(頭環)を右手の人差し指で指し示した。
「サークレット?」
クレスはマジマジと額を中心に頭に装着されている装備品にやっと目が向いた。
(今までの騒動のせいで、些細?な飾りの装備品なんかにはてんで気づきもしなかったぜ!
よく見ると…それなりに良いものなのか?デザインは金色の金属?ゴールドか?…金属を素材のメインとして幅3センチほどで厚みは殆どなさそうだな。
その金属が丸い環のように頭にすっぽりハマっている。
そして額の中心部には青い宝石?がはめ込まれているなあ…)
「そのサークレットがどうだって言うんだ?」
「このサークレットの機能の一つに衣装の脱着を一瞬でできる機能があるの」
「え?そのサークレットにか?」
「そうなの。本当は旦那様の前なんだから裸でも気にしなくても良いの。
でも旦那様が気にするみたいだから衣装を着たの」




