5、クレスとロストロイヤルと裁きの印籠
クレスはしばし考え込むだが、何かを思い出したように顔を上げた。
「そうだ。
そもそもの話のとっかかりは“出自とやらのロストロイヤル”だったよなあ?
今までの話とロストロイヤルとどういう話のつながりがあるんだよ?」
それを聞いたご隠居はゆっくりとしかし確実にはっきり聞こえる口調で話しだした。
「フォフォ、それはのうクレスのこれからの転生先の出自が1200年以上前に人族を率いていた王族の末裔として転生するからじゃ」
「はあ?どういうことなんだ?」
「ワシこと裁きの印籠を憑いておるということは、これから転生するのがかつて人族を統べた王族の末裔であり人族の男子であるという事なのじゃよ。」
それを聞いたクレスは慌てたようにかぶりを振った。
「ちょっと待てよ。
今までの話から、人族っていうのは完全に地雷種族じゃないか!
そんな種族に転生したくないって。
勘弁してくれよう。
チェンジ、チェンジを要求する。ご隠居なんとかしてくれよう。
ほんとマジで頼むって…」
「そうは言うが、クレスよ、前世での地球での種族は人間で性別は男性だったのじゃろう?」
「あ、ああそうだけど…」
「じゃったら諦めるんじゃのう。
このグランルース世界での転生のルールとして“前世の種族と性別は引き継ぐ”という絶対遵守の掟があるのじゃよ。
じゃから、いくらクレスが変更を希望してもそれは不可能なのじゃよ」
それを聞いたクレスはヘタヘタと地面?にへたり込んだ。
「そ、そんなあ~~」
「フォフォ、じゃがのう。
クレスはまだしも救いがあると思うがの。
他の人族男性の転生の場合だと問答無用で転生一直線じゃ。
然し、クレスの場合は最低限ワシという裁きの印籠も一緒に転生に付随する事になる。
それにどうやらキャラクター作成とやらの続きがあるようだしのう。
ある程度自分の中身を決められるのではなかろうかのう?」
それを聞いたクレスは半ば諦めきった表情を浮かべつつ背後の大型のモニター画面へと振り向いた。
「ああ、もういいよ、人族で…」
「了解しました。人族に設定します。性別はいかがされますか?」
「どうせ男性しか選べないんだろう?男性で」
「了解しました。性別を男性に設定します。続いて、外見の容姿は如何されますか?」
容姿ねえ…
暫し考えたクレスは背後にいるご隠居に質問した。
「グランルースの世界ってオレの想像通り、中世のヨーロッパ風?」
「そうじゃな。加えてお約束通り“魔法”や様々なスキルや不思議現象があるのう♪」
「ふむ。そうか…」
クレスはモニター画面に振り向きかけたが、ご隠居が何かを思い出した様に話を切り出した。
「そうじゃ、すっかり忘れておったのう。
ロストロイヤルの特徴として金髪で瞳の色が青色で美形キャラと決まっておったのう。
フォフォフォ。」
「はい?何そのキャラ設定は?」