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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
43/88

43、地下5階への初挑戦

クレスはダンジョンの地下5階への入口の前まで来ていた。


「のう、クレスよ。何で一直線で地下五階まで来たのかのう?

先ほどの個別の指令は必ずしも地下5階を探索せよ!とは言っていなかったと思うがのう?」


「曲りなりにもこの毒ダンジョンの地下1階から地下4階まではオレのスキルの探索と索敵で隠し部屋も含めて隈なく調べたつもりだ。

後大々的に調べていないのは未踏破の地下5階だけなんだよなあ…。

だからオレとしては地下5階をまずは優先的に調べたい心境なんだ。

それでどうしても地下5階で手掛かりを得られなかった場合には改めて地下1階から調べ直そうと判断したんだよ」


「なるほどのう。フォフォ」


「それに、何だかオレの勘が地下5階を怪しいと囁いている気がしてさ(苦笑)」


「そうかそうか。まあ勘と言うのもなかなかバカにできない事もあるからのう。フォフォ」


「と言う訳で地下5階にいよいよ突入だな♪」


それを聞いたご隠居が話しかけてきた。

「地下5階に入る前にモンスターに関しての助言をしておこうかのう」


「助言?」


「地下5階にいるモンスターの中で一番厄介なモンスターがおるので、それを教えておこうと思ってのう。フォフォ」


「一番厄介なモンスター?」


「そうじゃ。その名を“キャリオンクローラー”と言う。フォフォ」


「キャリオンクローラー?それってどんなモンスター?」


「フォフォ。キャリオンクローラーとは体長5メートルはある大きな芋虫のようなヤツでのう。大口を開けて獲物を一飲みにしてしまう」


「一飲み?そのキャリオンクローラーって大きいのは脅威かも知れないが、飲み込むにしたって、オレ達の様に武器など持っていたら、内部からナイフなどで突き刺されて逆にピンチになるんじゃないか?」


「フォフォ。普通はそうなのじゃやのう。ヤツは強力な武器を持っておってのう」


「強力な武器?それって何だい、ご隠居?」


「フォフォ。触手じゃよ」


「触手?」


「そう、触手じゃよ。その触手で攻撃されてダメージを負ってしまうと、麻痺してしまう。フォフォ」


「麻痺?」


「そう、麻痺じゃて。それもその触手は8本もあってのう。

だから攻撃を凌ぐのは熟練の冒険者と言えども容易ではなくてのう。

じゃからその触手攻撃をかわし切れずに麻痺状態に陥ってしまい、その後でクローラーに一飲みにされた後で、麻痺したままヤツの体内の消化液で溶かされつつ喰われてしまうのじゃよ」


それを聞いたクレスは“うげえ~”と顰め面をした。

「なんつうエグイ攻撃をするモンスターなんだ」


「特にクレスはソロだからのう。

8本の触手による攻撃は驚異的なはずだのう。

よってくれぐれも用心するのが肝要じゃのう。

もしも危ないと思ったら、お金の消費を惜しまずに遮蔽2を使う事が肝要じゃのう。フォフォ」


「分かったぜ、ご隠居。十分注意するぜ」


そう言ってクレスは気持ちを引き締めつつ、地下5階へと潜って行った。


“ギギギィ~~”地下5階に通じる金属の扉が鈍い音をたてながらゆっくりと開いていった。


「ここが地下5階か…」

感慨深げにクレスは言った。


「では、いつも通りに…」


そう言ってクレスは改めてスキルの“暗視+探索+索敵”を使用した。


マップを確認しつつクレスは暫し熟考した…


「う~~ん、いつも通りに隠し部屋も見えるし、他の通常の部屋の宝箱の配置状況も分かるんだけど……う~~ん…やっぱ、怪しいのはあそこかな?」

とクレスはマップを確認しつつ北西の角部屋の様な場所に隠し部屋のある事を発見できた。


「それらしい怪しい場所の手がかりは掴めたんだけど、…やっぱその隠し部屋にいるよなあモンスターが…」


クレスは目星をつけた北西の隠し部屋にモンスター反応が3体存在する事を確認できた。


「フォフォ。クレスよどうするのかのう?」


「折角、麗しいエルフの女性と知り合えるチャンスなんだ。行くしかないって♪」

クレスは障害のモンスターも関係ない!とばかりに目的の隠し部屋に近づいていくのであった。


隠し扉の前に立つクレス


「さて、いよいよモンスターとご対面か…」


「クレスよ。気を付けるのじゃぞ。モンスターは恐らくキャリオンクローラーであろうからのう」


「分かっているって、ご隠居」


クレスは左手に竪琴を構えつつ、隠し部屋の中に入って行った。


部屋の中は不気味な呼吸音が複数聞こえてきた。


“シュ~~、   シュルルル~~ ハア~~シュルル~”


隠し部屋は25メートル四方の部屋で、中には3匹の大きなキャリオンクローラーが蠢いていた。

全長4メートルはありそうで、大きな口周辺から生えた8本の触手を辺りに動かしていた。


(くそう、やっぱキャリオンクローラーか!仕方ない、いつも通りに子守歌2で眠らせてやるとするか!)


クレスは、竪琴を奏で始めてた。


“ポロ~~ン♪ ポロ~~ン♪ ポロロ~~ン♪”


クレスの竪琴の演奏は部屋の隅々にまで響き渡った。


いつもであれば、即座にモンスターは寝入るはずである。

然し、3匹のキャリオンクローラーは、3匹全てがいつまでも触手が動いており寝入る様子を微塵も感じさせなかった。


それどころか、竪琴の音源をクレスと見定めたのか、大きな巨体を半ば持ち上げて3匹全てが大きな口と触手を蠢かせつつとても素早く接近してきたのであった。


“シュルルル~ シュルシュル~~”


『まずいクレスよ急ぎ遮蔽2を使うのじゃ!』


『あ、ああ“遮蔽2”発動!』

クレスは子守歌2が聞かない事に驚き呆然としていたが、ご隠居の掛け声で我に返り、半ば条件反射的に遮蔽2を発動させた。


“シュルル~~、ギャ ギャ シュルル~~”


3匹のキャリオンクローラーは、突然クレスを見失ったので、大きな口を左右に振りつつ触手を動かして辺りを探っていた。


その一方、クレスは急ぎ踵を返して隠し部屋を後にしたのであった。


“ハアハアハア~”

クレスは荒い呼吸をさせつつ必死に駆けていた。


「はあはあ…こ、ここまで来れば大丈夫か?…」

クレスは地下5階の入り口まで遁走していた。


「クレスよ、危なかったのう…」


「ああ、まさか子守歌2が3匹全てに聞かないとは思わなかったぜ…」


「恐らく、あのキャリオンクローラーは魔法抵抗力が高いのであろうのう?」


「魔法抵抗力?」

クレスは問い返した。


「ああ。モンスターに中には、魔法に対して強い抵抗力を発揮できる種類がおるのじゃ。3匹全てに子守歌2の効果が作用しなかったのは、そうとしか考えられんのう。

普通ならば、1体くらいには子守歌2が成功するであろうからのう…」

そうご隠居が言いにくそうに言葉を綴った。


それを聞いたクレスは極めて大きなため息をついた。

「はあ~~~、マジかよ。

オレの最大の武器の子守歌2が通用しないのであれば、殆どお手上げだぜ!

加えて、あの触手!あの素早い動きから避けるのが至難の業である事くらい容易に想像がつく…。

それが8本も迫ってきた…。正直もうどうしたら良いのか完全にお手上げだぜ……」


「参ったなあ…」

と、クレスが意気消沈しているときである。

例のチャイム音が聞こえてきた。






§§§

【個別指令の発令】

詳細

アイテム:防御効果の高い盾の入手

クリア条件:1日10時間、連続で合計10日間の滝行を行う事。

さすればキャリオンクローラーの攻撃を完全に防御できる盾を獲得できる。



“〇〇〇〇〇〇”の効能:?????

その他、現時点では不明。入手した者のみ知る事ができる。

§§§



この個別指令を見たクレスは思わず“天から恵みの到来だぜ!”と叫んでいた。


「然し、クレスよ!今回の個別指令はいつになく情報が不明瞭だのう…」

と、ご隠居がやや訝しげに言った。


「まあ、そうかも知れないが……現状ではどうにも対策が思いつかないからなあ。

だったらここは、この指令に運を天に任せてみるしかないぜ!」

クレスは半ば開き直り気味に言った。


「そうか、…ではこれからどうするのかのう?」


「そうだな…。ここ地下5階のキャリオンクローラーには歯が立たない事が分かったからこの地下5階は脱出する。

だが、本日はダンジョン入場料だけで7万5千ザガネも既に出費している。

よって、地下4階から順繰りにお宝の探索をしてみて、少しでも赤字を埋めようと思っている」


「だがクレスよ、昨日の今日では地下4階の隠し部屋のお宝は期待薄と言えよぅのう…」


「確かにご隠居の言う通りだ。

まああくまでも可能な範囲で赤字を埋めて見よう!と言うスタンスだな。

決して無理はしないさ!」


「だったら大丈夫そうじゃのう。フォフォ」


そう言いつつ、クレスは地下5階を後にして順繰りに地下4階より上の探索をしつつ地上へと脱出の道を歩いていった。



当日の午後6時頃のクレスの自宅……


「ふう~、やっと自宅についたか…」


「そうじゃのう。何はともあれ無事に帰宅できて良かったと言えようのう。フォフォ」


それを聞いたクレスは不満げに口を尖らせつつ言った。


「ご隠居はそうは言うがよ。あれからダンジョン内で稼げたドロップアイテムを全てギルドに売り払った利益は〆て5万ザガネだったんだぜ。

つまり差し引きマイナス2万5千ザガネの赤字って事になるんだぜ!

やっぱこれってガックシ来るぜ…」


「まあ、いつもいつも黒字とはなるまい。これも良い経験と割り切るのじゃな。フォフォ」


「ちっ、言ってくれるぜ!ご隠居はよ」


「まあ、それはそうとクレスは明日どうするつもりかのう?」


「そうだな…。やっぱ、先ほど得られた個別指令の完了が先決だな」


「フォ。と言うと?」


「村外れの森に流れる小川の源流近くにちょっとした小さめの滝があるだろ?

そこで連続10日間を滝行で過ごすつもりだ!」


「フォフォ。滝行か?」


「ああ。10日間の無収入は少しきついが、これも割り切って滝行して個別指令の完了をこなす事を優先すべきと判断したよ」


「なるほどのう。フォフォ」


「1日10時間の滝行だしな。

本日は早めに体を休める事にするぜ!じゃあな、ご隠居、お休み  ZZZ  」


「ゆっくり休むがよいのう。クレスや」




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