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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
31/88

31、二度目のダンジョンへ

翌日7月20日の早朝・ダンジョン出入口前



クレスは昨日と同じ要領で列に並んだ。

じきにクレスの順番が来た。


で、出入口の担当者は促してきた。

「次の者は前に」


「あ、ああ…もう順番か」

クレスは慌てて前に行った。


「入場料5000ザガネを支払う様に」

と言われた。


クレスは昨日体験した要領でカードを受付カウンターに置いた。


「よし。支払いを確認した。通ってよし!」

と担当者が先に行く様に促した。


「では、入りますね」


クレスはそそくさとダンジョンの中に入って行った。


「昨日と変わり映えしないなあ」


「フォフォ。そうそう1日で劇的な変化は起こるまいのう」


「そりゃそうだ。では最早定石となった“探索”と“索敵”スキルの発動!だぜ♪」


クレスはマップを見て独り言ちた。

「まあ、昨日の今日で同じ隠し部屋に宝箱があるとは思えないし………」


クレスはじっくりとマップを確認した。

「やっぱ存在しないか…。となると、やっぱ通路などに設置されている罠の解除だな…」


「どうじゃクレスよ。罠はあるのか?」


「ああ。この通路を突き当りまで行ったら、左に折れたらすぐの場所に1つあるな…。

ま、行ってみるか。

幸いにしてその周辺には徘徊しているモンスターはいなそうだし。大丈夫だろう」


クレスは件の罠のそばまで行った。


「う~~ん…罠感知は出来るけど、どうすれば罠を解除できるのやら……。

まあ、当たって砕けろ!の心境だなあ(苦笑)」


「おいおい、大丈夫なのかのう、クレスよ?」


「あんまし大丈夫じゃないけど、こればっかりは現状だとどうしょうもないわ(汗)」


……10分経過……


(これで、後はこのロープを切ればOKのはずだな…。よし!これでおわりだ!)

クレスはロープを切った。すると…


“ビービービービー”と警報音が辺りに響きだした。


「やっべえ~。失敗したぁ~」


警報音を聞きつけたらしいモンスターの集団が途端に集合し出した。


確認できただけでも、ジャイアントバット5匹、ジャイアントラット8匹、毒蛇4匹がクレスの方向へ寄ってきていた。


「ちょ、ちょっと待ってくれよ。こんなの今のオレが勝てる訳ないだろうに(滝汗)」


「さすがにこれはシャレにならんぞ。

クレスよこうなっては命には代えられん。

1万ザガネは惜しいが“遮蔽1”を使うのじゃ」


クレスは一瞬躊躇う表情を浮かべたが、

「そ、そうだな。ご隠居の言う通りだな。仕方ない。“遮蔽1”発動」


するとクレスの存在は瞬く間に周囲から確認できなくなった。


モンスター共は、警報音が鳴り響いている間は、周囲を伺っていたが、警報音が鳴り止むと何事もなかったかの様に元来た道へと引き返していった。



10分後…“ふっ”とクレスの存在が露になった。


「な、何とか急場を凌げたか…」


「危なかったのう。クレスよ、フォフォ」


「まあ確かに、遮蔽1はピンチの時にはかなり有効だけど、1万ザガネの出費は痛すぎるぜ…」

クレスは“はあ~~”と嘆息したのであった。


1分ほど、黄昏れていたが、気を取り直し、ダンジョンの冒険を続ける事にしたのであった。


「そういえば、まだ未調査の隠し部屋もあったし、そちらの調査も行いつつ、隠し部屋以外の罠の解除などにも挑戦してみるとするか…」


そうクレスは独り言ちると、冒険を再開したのであった。


3時間後…


「や、やっと罠の解除10回に成功したぜ…」


クレスは肩で大きく息をついていた。


そして、コンピュータ声で

「個別指令完了。クレスは“罠解除”スキルを入手しました♪」

と聞こえてきた。


「やっとか…」

クレスは呼吸を整えるように大きく息を吸った。


そしてクレスは思い出す様に…


「結局はもう一度警報音の罠を作動させてしまって、やむなくもう一度“遮蔽1”を使ってしまったのは痛かったなあ…」


「フォフォ。然し、無事に“罠解除”を入手できたのはよかったのう」


「ああ、なんだかんだ言っても今後は罠解除に苦しまなくて済みそうだしな♪」


「それに戦利品も色々あるからなあ。まあ詳細は家に帰ってからの鑑定頼みだがな♪」


「それはそうと…」

クレスは今回の戦利品を見て、軽く嘆息した。


「お宝を入手できるのは嬉しいけどよう。さすがに嵩張りすぎて困るんだよなあ…」


クレスは困る様子ではあったが…

「何とか、背負っているリュックに詰め込むか…」


そう言いつつ、“どっこいしょ”とリュックを背中から下ろして“ああでもない・仕舞う向きはこうでもない!とか言いながら、四苦八苦しつつ戦利品をリュックに何とか収納したのであった。


「よし!何とか収納できたか♪」

クレスは“ホウ♪”と幾分嬉し気に一息つくと“よっこらせ!”と掛け声と共にリュックを背負った。


「して、クレスよこれからどうするのかのう?薬草部屋でも探すのかのう?フォフォ」


「いや。本日はもう引きあげる。

地下1階の詳細に暴いたマップを丁寧に見たが、どこにも薬草部屋らしき表示はなかった。恐らく、地下2階以降の下層にあるんだろう。

だから無理せずに引き上げる事にしたぜ。

結構MPも減ってしまって残り少ないみたいだからなあ…」


「そうか。ま、引き際を間違えぬ事も肝要だからのう。フォフォ」


クレスは、ダンジョンを後にして自宅へと踵を返したのであった…



クレスの自宅…


クレスは食事用のテーブルに本日の戦利品を置いた。


「まずは、鑑定だな。スキル発動!」


今回の戦利品の詳細が明らかになった。


名称:手斧

品質:平均的な中古品

ギルド買い取り価格:3万ザガネ

ギルド販売価格:30万ザガネ

合計:1本


名称:解毒薬1

品質:平均的。

ギルド買い取り価格:8000ザガネ

ギルド販売価格:8万ザガネ

合計:3本


名称:回復薬1

品質:平均的。

ギルド買い取り価格:4000ザガネ

ギルド販売価格:4万ザガネ

合計:3本


以上の通りとなった。


「ふ~~ん…。トータル的な儲けは昨日とさほど変わらないなあ…」


「その様じゃのう。フォフォ」


「まあ、それは良いんだけど…」

クレスは幾分悩まし気に首を横に振った。


「どうしたのじゃ、クレスよ?」


「いや。今日は何とか戦利品をリュックに収められたけど、今後どうなるのかな?と思ってさ…」


「まあ、捕らぬ狸の皮算用だけども、もしも今後戦利品が増えたら、どうしたらいいのかなあ?と思ってしまって…」


「なるほどのう」


とその時に最早救いの神の様なチャイムが聞こえてきた。


“ピンポーン“



§§§

【個別指令の発令】

詳細

スキル:時空の“収納空間1”の入手

クリア条件:遮蔽1を合計5回使用する事。

既に3回使用しているので、残り2回の使用でクリアとなる。



時空“収納空間1”の効能:術者は己が認識する場所(空間?)に縦30メートル、横30メートル、高さ30メートルの空間を設定できて、その空間内に荷物を収納できる。

中に収納されている荷物は、時間が停止状態となる。

但し、生物を収納できない。


範囲:術者の周辺

収納方法・取り出し方法:術者が思い描けば、一瞬で出し入れ可能である。

基本消費MP0。

持続時間:無期限

§§§


「ををう。便利アイテムの4次元ポケッ〇の登場だぜ♪」


「これはまた何とも極めて使い勝手の良いスキルだのう。フォフォ」


「ああ。それに収納空間1と銘打ってあるから、上位バージョンで2も将来的に登場しそうだしな。今から楽しみだぜ♪」


それこそクレスは欣喜雀躍したのであった。




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