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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
27/88

27、ダンジョンとは?

「それでは、無事に下士官に昇進して、ダンジョンへの入場資格を得られたので、ダンジョンに関しての簡単な説明をしますね」


「お願いします。ライサスさん」


“コホン”とライサスは、姿勢を正して説明を始めた。

「当ラピス村にあるダンジョンは、地下5階にて構成されております。

入口は縦横15メートルのピラミッドのような形状の石?で覆われており、南にのみ入口があります。

そこから地下に階段が下がっております。

距離は大体20メートルほど続きます。

そこからは完全にダンジョン・迷宮のテリトリーとなっております。

尚、入口の構造は、このラピス村に限らず、大抵のダンジョンの入口が同じ構造をしております」


「では、話を続けます。

地下1階への入場料は5000ザガネです。

又地下1階はさほど強いモンスターは居りません。

とはいえ、人族のクレス君にとっては、十分に強いモンスターだと思いますので、決して無理をしないでください。

後の詳しい情報などは、情報部門が司っておりますので、もしも必要だと感じましたら、有料ですがそちらにて入手されて下さい。」


「5000ザガネもかかるの?」


「ええ。それも地下1階だけでね。地下2階だと更にプラス1万ザガネかかります。」


「ええ?さらに?」


「はい。そうです」


「きついなあ…。まあそれが決まりなら仕方ありません。了解です。ライサスさん」



するとライサスは、“ほう~”と軽くため息をついた。

「ダンジョンの説明をしておいて今更だけどね、クレス君は人族だから、できればダンジョンには行ってほしくないのよね。

人族はどうしても弱いからダンジョンを生き抜くのはかなり大変だと思うのよ。

だからもう暫くは村の外で狩りに専念して、経験を積んでから改めてダンジョンへの挑戦を考えた方が良いと思うわ。

それにほら、さっきのゴブリン三兄弟の様に人族のクレス君を狙っている連中も少なからず居るだろうし…、おねえ~さん、心配なのよねえ…」


(いや、おねえ~さんって、ライサスさん、いつからそういうキャラになったの?(苦笑))


「あ、あ~、はい。分かりました。

もうちょっとその辺を考えておきます。

色々ありがとうライサスさん。ではまたね」


「気を付けてね」

クレスはその場を後にした。


(仕方ないか、…。

ダンジョンの情報がないと何かと攻略が滞るだろうからなあ…。

ギルドの情報部門に行って有料でも仕方ないから購入しておくか…)

クレスは、そう思いつつ、その足先を情報部門へと運んだ。


(ここか、情報部門か…)


クレスは半ば独り言の様にご隠居に呟いた。


『ふむ?

クレスやどこに行こうというのかのう?

どうやらここはギルドの情報部門のじゃが、何か情報でも入手するつもりかのう?

フォフォ』


『ああ、やっと下士官の伍長になったのだから、様子見を兼ねて地下1階だけでも偵察でもしてみようかと思ってな。

ただ、そうなるとダンジョンの情報がやはりほしくてさ。

だから、有料でも可能な情報を入手しようと思って此処にきたんだ…』


するとご隠居は、念話で高笑いをした。


『フォフォフォ。

なんじゃダンジョンの情報が欲しかったのか?

ならば、ある程度の情報ならワシが教えてしんぜよう』

と、ご隠居は“ニヤリ”としつつクレスに言い放った。


『な?ご隠居!ダンジョンの情報を知っているのか?』


『フォフォ。な~に、伊達に長い事このグランルース世界にて精霊をやっておらんわい♪』


『マジかよ?だったらぜひ教えてくれ!』


『なー、焦るでない。ゆっくりと教えてやるわい。』


『ぜひ頼むよ。ご隠居』


『では、どうせじゃ。

詳しく教えてらるから、一旦家に帰ろう。

そこでじっくりレクチャーしてやるとしようかの♪フォフォ』


『了解だぜ!ご隠居♪』



村外れのクレスの自宅…


クレスはいつも食事をする粗末な食事用のテーブルに備え付けの木製の椅子に腰掛けつつ、対面にプカプカ浮かぶ、ご隠居に話を切り出した。


「じゃあご隠居。ダンジョンについて教えてくれ」


「フォフォ。まあ焦るでないわい」

そう言ってご隠居は、クレスと机を挟んで空中で対面するかの様に“よっこらしょ”と胡坐をかいて座った。


「このグランルースには様々なダンジョンが数多く存在する。

それらダンジョンはそれ相応に特色のようなモノを持っておる。

例えば、このラピス村にあるダンジョンは別名“毒ダンジョン”の二つ名でも知られておるのう。フォフォ」


「毒ダンジョン?」


「フォフォ。

その訳はのう、ダンジョンに出現するモンスターは毒を持つモノが多いからそう言われる様になってのう」


「毒持ちのモンスターが多い?」


「フォフォ。

例えば大ムカデ、ジャイアントスパイダー(大蜘蛛)、大毒蛾、毒蛇、大サソリ、キラービーなどじゃのう」


「うわ、随分と毒持ちのモンスター多いなあ…」


「フォフォ。

無論毒持ち以外にも色々なモンスターは出現するぞう。

ジャイアントバット、ジャイアントラット、ジャイアントアントなどなど、他にも様々なモンスターが出現するのう」


ご隠居は話を続けた。

「一方、様々な薬草も採集できるのじゃよ。

例えば、毒を中和する為の薬草のアサカオなどもそうじゃのう。

特に通称・薬草部屋では沢山採集できるのう。フォフォ」


「ああ、そういえば、ライサスさんも以前にそんな事を言っていたなあ!」


「じゃから、そういう薬草を採集して解毒薬なども作成・あるいは購入して毒ダンジョンに挑戦するのが、一般的な冒険者のスタンスと言えるかのう。フォフォ」


「なるほどなあ」


「あ、そういえば、ダンジョンのボスってどうなっているんだよ?」


「まだ、ダンジョンの地下1階すら突破していないクレスにはちと早い情報じゃのう。

まずは、地下1階を突破してからじゃ。

そんな慌てるでないわい。フォフォ」


「ぐっ」

クレスは言葉に詰まった。


「だったら、いずれ折を見て教えてくれるんだろうな!」


「勿論じゃて。クレスがボス部屋にたどり着く事を楽しみにしておるでのう。フォフォ」


「けっ、今に見ていろ!」

クレスは、幾分不機嫌そうにご隠居に啖呵を切った。


「それはそうとクレスよ。

お前さんにとっての一番の敵はダンジョン内のモンスターはあるまい」


「うん?どういう事だよ?」


「ライサス嬢も言っておったであろう?

人族であるクレスは他の種族。

取り分け暗黒神を信仰している種族に狙われていると言ってよかろう」


「あのゴブリン三兄弟のようにゴブリンとかにか?」


「そうじゃよ。

むしろ、ダンジョン内のモンスター以上に気を付けるべき存在・敵と位置づけたほうが良かろうのう」


「つまりは完全に敵の一部・モンスターの一部であり同一の存在と看做して考えた方が良いって事か?」


「そういう事じゃのう。フォフォ」


「ただのう。

このラピス村のダンジョンはダンジョンマスターの恩情なのかどうかは知らんが、地下一階限定で同じ冒険者同士の戦闘はご法度・禁止となっておるのじゃよ」


「確か以前にもライサスさんがそれらしい事を言っていたけど、もうちょっと詳しく」


「これは憶測にすぎんがの。

暗黒神を信仰している種族が強くて、中立神を信仰している種族、例えばダンジョンマスターと同じ種族のコボルト族などがどうしても弱いので、いわば同じ種族の保護と言う観点から地下1階だけでも戦闘を禁止したようなのじゃよ」



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