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天空城の主はこのオレだ!  作者: 日神 衛
20/88

20、怪我と教会と瞑想

村の冒険者ギルド


ラサイスはいつも通りにカウンターで受付業務をこなしていた。

するとそこにクレスがふらつきながらカウンターのそばにやってきた。

見ると右腕を布で止血しており、その上からジンワリと血が滲み出てきているのが分かった。


「ど、どうしたのクレス君?」


「む、村の外の砂漠で一角ウサギを倒そうとしたら反撃されて、…腕を怪我しました…。ライサスさん。

怪我を治療したいのですがどうすれば?やはり、回復薬1を飲んだら良いのかな?」

“はあはあ”とクレスは荒い息を吐きつつ、ライサスに聞いた。


それに対してラサイスは心配そうにしつつ、言葉を綴った。

「ギルドでは回復薬1を売っているけど、回復薬1は、1本4万ザガネと高いわ。

それよりは、教会に行って、僧侶さんに回復魔法をかけてもらった方がいいわ。

1回の回復魔法1のお布施が2万ザガネだから、薬の半額で済むの。

だから急いで行ったら良いわ」


「わ、分かりました。」


クレスはふらつきつつ、ギルドを後にして教会への向かった。

教会は幸いにしてギルドのそばにあった。


「え、えと…ごめん下さい。」


すると、クレスの声を聴いた僧侶の見習いらしき服装をしたゴブリン族の男性が出てきた。


「何か御用でしょうか?

我が暗黒神様は神の子たる貴方達に等しく安全と安寧をもたらしておりま…」

と言葉を続けていたが、クレスの容姿を確認すると、


「なんだ、人族か!人族が一体何のようだ。」


クレスは内心、その物言いに腹が立ったが、この緊急事態にそれを表面に出す余裕もなかったので…

「回復魔法の癒しをお願いに参りました。

お布施として、この通り2万ザガネも収めますので…」


それを聞いた僧侶見習いのゴブリンは、…

「それは人族以外を癒す場合のお布施だ。

何の因果で大いなる我らが暗黒神に逆らった人族に回復魔法を使ってやらねばならないんだ。

もし、どうしてもというのならば、10倍の20万ザガネをお布施として納めるのだな。」

と見習い僧侶は、人族のクレスと話すのが嫌だという様に大きく吐き出す様に言葉を言い放った。


「2、20万ザガネ?」


「ああそうだ。20万ザガネだ。

それだけ寄進するのなら、僧侶様に回復魔法を施して頂けるようにお伝えしてやろう!」


(じょ、冗談じゃない。それならまだしもギルドで回復薬1を買って回復した方が良い)


「い、いやそれでは止めておく。」

クレスは内心の憤りを隠しつつ、そう言って教会を後にした。


そして、急ぎクレスはギルドの販売コーナーへと足を急いだ。


販売コーナーのカウンターの前に進んだクレスは

「か、回復薬1を下さい」


それを聞いたカウンターにいるコボルド族の20代後半?らしき男性は

「はい。いらっしゃいませ。回復薬1ですね。1本2万ザガネです。」


「では、ギルドカードにある預金から差し引いて下さい」

とクレスはカードを掲示した。


「では、そのカードをカウンターの上に置いて下さい。

……はい。確かに、では商品をお受け取り下さい。」

そういって、販売員のコボルド族の若い男性は、薬をクレスに差し出した。


「ありがとう。」


そういって、クレスは、カウンターが急ぎ離れて、ひと気のすくない場所で大急ぎで薬を飲み干した。


薬の効果は覿面であった。

みるみるうちに痛みが引いていった。

どうやや患部も完全に回復したようであることは、布を巻いていて見る事ができなくてもすぐに分かった。


「ふう~~」

クレスは大きく息を吐いた。


『何とか助かったか…』


『そうじゃのう。然し危なかったのう。

よもや、教会ですら人族のクレスにこうまで厳しく当たるとは…』


『だなあ…。

でも暗黒神の教会である事を踏まえたら、ようよく考えたら十分に思いついた事ではあったよな。

これはオレの熟慮が欠けていたと言えるな…。しっかし、教会めえ…』




クレスは、深く反骨神を滾らせるのであった…

 ひとまず、家に帰ったクレスは、本日はもう真夜中であったので寝る事にしてベッドに急行したのであった。


「ひとまず寝るか。これからのことは明日考えよう…」



6月10日の早朝


「さてさて、昇進試験だけどどうしたら良いものだろうか?」


「準備もせずにこのまま狩りに向かったら昨日と同じ二の舞となろうからのう。フォフォ」


「だよなあ。どうすべえ…」

と、クレスが頭を抱えていた時に例のありがたいチャイム音が聞こえてきたのであった。


“ピンポーン”


§§§

【個別指令の発令】

詳細

魔法:“回復魔法1”の入手

完了条件:“魔法とは何か?特に、回復魔法とは何か?“と言う事を自分なりに考えてみる事・考察する事・瞑想する事。

とにかく、どんな考え方・発想でも構わない。

自分なりに”魔法“の概念・観念を熟慮してみる事。



“回復魔法1”の効果:対象者のHPを10点回復する。

但し、術者の魔法知性によって回復の数値に差を生じる。

但し、最低5点、最高20点のHPを回復する。


範囲:視界内且つ、患部に直接手を添えている事。

基本消費MP1。

§§§



指令の完了条件を確認したクレスは思わず“不満げ”な言葉を吐いた。

「うわぁ~なんだよ、今回の指令のの完了条件は!」


「フォフォ。随分と漠然とした内容じゃのう。」

そうご隠居は相槌を打った。


「だろう?!これってどうすれば、いいのかさっぱり見当がつかないよ…。はあ~」

クレスは思わず大きなため息をついた。


「魔法とは何か? かあ…」

クレスは自分のベッドに思わず寝転がる様に体を横たえた。


「さっぱりわからないなあ…。魔法かあ…」


クレスは色々な事柄を考え始めた。


そして、いつしか無意識に瞑想へと心が沈み始めた。





(魔法とは何か?

魔法?

物理現象に沿わない不可思議な現象?

それとも、何か別の知られていない新たな物理法則に沿った現象?

精神力?

超能力?

想像力?

創造力?

霊能力?

言霊?

マナ?

精霊の力を借りる精霊力?

それともこの世界はゲームのシステムっぽい処があるからレベル?

ゲームの様な魔法?

マンガやアニメの様な魔法?

それかスキルアップとかの概念とかもあるからそれが関係しているのか?

或いは、イメージの重要なのか?

そもそも魔法とは何だ?何なんだ?

分からない…

そういえば、回復魔法は神の信仰心が大きく関わってくるみたいだから、神と信仰との繋がりも関係するのか?

魔法と神?

神と魔法?


一体魔法って………)


クレスは深い深い思考の底へと沈み込んで行った…。



(そういえば、前世のオタク情報のアニメ・マンガが出処の魔法の知識は、様々なタイプがあったな。

果たして参考になるかはわからないが、確か…

攻撃魔法・防御魔法・回復魔法・召喚魔法・強化魔法・弱体化魔法・精神に作用する魔法・移動魔法・変化魔法・幻覚魔法、いやいやもっとあったはずだ…数え上げていったらきりがないくらいあった。)



(魔法、魔法か…。

誰かが言っていたな。

進んだ科学は魔法と変わらなくなる!と…科学、科学も魔法??

アニメなどでもSFを題材としたものも多かったよな…

SFか…そういえば、超能力もSFか?

いや、一種の魔法っぽい部分も多いよな。

念力・読心術・瞬間移動とかあったな

いや、それともドラゴン〇―ルの様に“気”とかも魔法の分類に入ってしまうのか?

いやあ、さすがにないかな?

あ、でも?どうだろう?…分からない…わからない…ワカラナイ…)


(仙人術?仙術?も魔法の一種か?

西遊記の孫悟空?封神演義の太公望?修行して仙人化する?魔法も修行?)



(魔法と精神世界?

アストラル世界?

アカシックレコード?

肉体を捨て解脱して精神のみで生きる精神生命体への昇華?)


(魔法、魔法とは………)


クレスは朝から晩まで一日中、自宅のベッドの上で胡坐をかいて、このような様々な瞑想を続けた。

食事もせず、わずかな水を口にするだけであった。


(魔法とは…………)



そして、30日が経過した。7月10日に至った。


クレスはげっそりと痩せていた。

食事をとらずに水のみで過ごしてきたので、体重も大きく減少していた。

それは殆どインドの修行僧の様子であった…


30日経過したその深夜…


クレスは尚も瞑想を続けていた。

クレスの精神は深層意識下に深く沈みこんでいた…


(魔法とは……)


そのとき、クレスの心の奥底・はるかな深い深~い意識下に、青白くそして黄金色に光る球体?水晶球のようなモノが息吹き・創造されたように感じられた。

そのときに、男性とも女性とも判別できない。誰かの声が静かに優しくクレスの、耳に届いた…

“ソレがクレス自身が見い出した魔法を含めた”根源“だよ。それはクレスだけのモノ。クレスだけが使える。

クレスが滅べばソレも滅びる。

クレスとソレは一心同体だよ。

どうかそのことを忘れないように…。

最後におめでとう。

予想以上の出来栄えだったよ。

おめでとうクレス…オメデトウ そして、サヨウナラ。いつか会えたら良いね。

いつか…いつか…いつ…か…”)


「はっ」

クレスは深い瞑想から一気に覚醒した。


「これって………」


その時に、コンピュータ声で

「個別指令完了。クレスはスキル“回復魔法1”を入手しました♪」

と聞こえてきた。

「はは、やっと指令完了か…。今回はてこずったぜ」


「フォフォ。良かったのう。クレスや頑張った甲斐があったのう」


「おう、ご隠居ありがとうな♪」



と、その時に続けてコンピュータ声が聞こえてきた。

「特別クリアによるボーナスを獲得しました。

クレスは特殊・“根源”を会得しました。」


「は?ボーナス?根源?何それ?」


§§§

特殊・“根源

効果:スキル習得時及びスキルの使用やスキルのレベルアップ時に大きなプラス修正がなされる。

§§§


「はい?何だこれ?」


「おい、ご隠居これって何だか分かるかな?」


「はてさて…“根源”のう?ワシも過分にして聞いた事がないのう?」


「そうか。

それしても“根源”ねえ…オレも随分と瞑想?をしていたけど、どうやって、この“根源“を…いや、そえどころか回復魔法1を習得できたのか、クエストをクリアできたのか、よく分からないんだよなあ…。

かなり色々と埒もない事を考えていたのだけは分かるんだけどな(苦笑)」


「そうなのか…。

でもまあ、無事に個別クエストをクリアできてよかったではないか。

それはさておき、本日はもう真夜中じゃて、もう寝た方がよかろうのう。フォフォ」


「あ、もう真夜中みたいだな。そんじゃもう寝るか。おやすみ、ご隠居」


「ああ、クレスよ。お休み。フォフォ」




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