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初めてのクエスト

 アルミラとパーティーを組む件は、頭の片隅に一旦置いておくことにした。


 パーティーを組むにしても、まずは自分の力がどの程度なのか確かめないと話にならない。


 ……ただ、変なスキルは取得してるんだろうな。初対面の人間からあんなこと言われるなんて、そうそうないし。


「とりあえず、クエストを受けてみるか」


 まずはクエストで確認だな。無難に採取クエストを受注しよう。


 俺は、上級者向けとは反対にあったボードに向かった。


「……あ、文字が読めないんだった」


 ゴンドさんから場所を聞くことはできたが、肝心のクエストの内容がわからない。


 左右を見回しても誰もいない。


 ……受付の人に聞くか。


 


「はい、何かご用件がおありですか?」


 さっき登録した時のほんわかさんが対応してくれた。


「えーっと、登録したての冒険者でもこなせるクエストってありますか?」


「それでしたら、あちらのボードに記載されているものがおすすめですよ?」


 と、さきほどのボードを手で示してくれる。


 文字が読めないのだが……。この世界の識字率は高いのかもしれない。


「……文字が読めないので、代わりに読んでもらって良いですか?」


「あ、そうだったんですね。では、移動しましょうか」


 はっきり言って、文字が読めないのはかっこ悪いがクエストの内容を把握できない方が後々面倒になりそうだ。……こういう異世界ものって、転移特典とかで習得してても良いと思う。


「あ、そういえば、先ほどゴンドさんとお話されてましたよね? 何を話されてたんですか?」


 さっきのこと見られていたのか。


「アルミラって子とパーティーを組んでほしいって言われただけですよ?」


「!? ……そういうことですか」


 どういうことですか?


 何かありげな台詞をほんわかさんが言ったが、ボードのところについてしまった。


「さて、初級のクエストをお望みとのことですが、パーティーは組んで……ないですよね」


「……はい」


 登録したばかりなので、当たり前といえば当たり前だが……。パーティーを組んでいると受けられるクエストの種類が増えたりするんだろうな。


「では、こちらのクエストはどうでしょう? ”教会での雑用(急募)”」


「……え?」


 教会での雑用? それは、冒険者がやることなのか?


「あ、今、冒険者がやる仕事なのかって疑問に思いましたね?」


 思いました。


「冒険者は確かに街の外で活動してますが、登録したてでしかもソロ、体力には自信があるかもしれませんが、それだけで魔物に挑むなんて無謀です。きちんと、パーティーを組んで装備も整えてから挑むことをおすすめしますよ」


 ごもっとも。


「それに街の外は魔物がいるんです。採取クエストならと簡単に考えている人が過去にいましたが、大抵の人が怪我をして帰ってきました。しかも、目的のものが見つからなかった、魔物から逃げる際に駄目にしてしまったということも珍しくありません。採取クエストの方が難しいくらいです」


 ……心を読まれたかと思った。


 やばい。冒険者に憧れは持っていたが、この話を聞いてしまうと不安になってきた。


「ですので、まずは街の中でできる仕事をし、お金を貯めて装備を整えることをおすすめします。それに、色々なクエストを行うことで人脈を築くこともできます」


 確かに、そうだな。よし、教会での雑用をやってみるか!!


「……それに、街の方々からの苦情や催促も無くなって、私が楽になりますし」


 ……それが本音なんじゃ?




「……ザ・教会という感じだな」


 早速、クエストを遂行するべく教会に来たわけだが……そこには、地球と変わらない様相の教会があった。


 この世界にもキリストはいたのか? と思うほど、立派な十字架が見える。昼間だからか、他に人は見当たらないのもあり、より荘厳な感じが漂う。


「とりあえず、シスターを探すか」


 と、きょろきょろしていたら、ある像を発見した。


 豊満な胸、くびれはしっかりとしており、すらりとした八頭身……なぜだろう、胸の部分にとても大きな違和感を感じる。像自体には違和感を感じないが、一部分だけ非常に気になる。バランスはとれていると思うのだが……。


「ようこそ、教会へ。その像は女神を象ったものですよ。美の女神として知られています」


 そう声をかけてきたのは、この教会で働いていると思われるシスターだ。


 ベールから覗く薄い紫の髪と眼をした、大変素晴らしいものをお持ちのシスターだ。


「私は、この教会でシスターをしているシンシアと言います」


 そういって、お辞儀をする様はとても優雅だった。


 お辞儀をした際に視線がある一点を凝視したとしても、俺は悪くない。


「……じ、自分は冒険者ギルドのクエストで来たソウイチと言います」


「あら、あのクエストを受けてくださったんですか? とても助かります」


 微笑んだシンシアさんは、女神かと思うほどの破壊力だった。


「では、早速取り組んでいただきましょう。こちらへどうぞ」


 促され、教会の奥の方へ入っていく。


 雑用といえば掃除かと思ったが、どうやら違うようだ。


 そして、教会の中庭に到着した時、疑問を感じた。


 なぜ、こんなに大きな岩があるんだ?


 そこには小さい木などを押しつぶし、場違いな存在感を放っている大きな岩が地面にめり込んでいた。

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