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疑惑

「じゃ、私たちは西の森に行くね。お互い頑張って報酬もらおうね」


 サラはそう言うなり、早速西の森に行くようだ。


 ギルドマスターの言葉により、足早にギルドから出て行く冒険者達。


 その中にアルミラ達を見つけた。


「おーい、アルミラー」


「あら、いたのね。私たちギルド内にいたけど、全然気づかなかったわ」


 いたよ、外に。


「ソウイチのことなので、緊急クエストと言われてもピンとこないで宿で寝ていると思ってました」


 さすがの俺でも、緊急と名前がついてれば一大事だと気づくぞ。


「あの、今回のクエストって具体的に何をすればいいのでしょう? 聞いていたんですけど、情報の報告だけでは漠然としていてわからなかったんですが」


 おずおずといった感じでアルマが質問してきた。


「昨日の夜にあった音や光の原因を探って報告するんだよな。何かあれば……」


 やっぱり、あの骨か?


「なあ、アルマ。昨日西の森で人払いの魔道具使ってたよな?」


「あ、すっかり回収するのを忘れてました。多分、現在も効果を発揮中だと思います」


「あの付近には今は誰もいないのか」


「人払いの魔道具がどうしたの?」


 アルミラが不思議そうに尋ねてきたが、ここで説明するよりも見てもらった方が早いと思い、昨日の場所まで行くことを提案した。


「ソウイチがいれば大丈夫だと思いますが、現在私は魔力切れで魔法を打てないので、もし魔物と戦闘になったらきちんと守ってくださいね」


「おう、任せろ」


 魔物と遭遇することはないと思うけどな。




 案の定、魔物に遭遇することなく目的地の前まで来ることができた。


 人払いの魔道具が置いてある周辺に近づいたときにアルマから。


「なんでソウイチさんには効果がないのでしょうか?」


 と、疑問に思われたが自身でもよくわからない。


「おかしいですね。人間の深層心理に働きかけて行動を誘導するはずなんですが……」


「ソウイチは人間じゃない可能性がありますね」


 失礼な。人を化け物みたいに言いやがって。


 そして、問題の骨がある広まっている場所に到着した。


「何か異様な光景ね。こんな大量の骨は見たことがないわ」


「なんの骨なんでしょうか。これは……」


 アルミラとミリカがこの風景に驚いていた。事前に言っていたので、それほど驚いていないようだったが。


 ただ一人、アルマを除いて……。


「まさか、ボーン・フォニー・ドラゴン……」


「え、本当なの?」


 何だ、そのドラゴン? 


「ボーン・フォニー・ドラゴンは、骨で作られたドラゴンです。本物のドラゴンの骨から産まれるわけではなく、色々な骨を組み合わせてドラゴンの形を成した魔物って本で読んだことがあります」


 ドラゴンの模型みたいなものらしいが、今は見る影もなくバラバラだ。


「その魔物って強いのか?」


「強さも個体によって違うらしいですね。実際に戦ったわけではないのでわからないのですが、強い術者に作られたり、強い怨念が集まった個体は本物のドラゴンよりも強くなるとは聞いたことがあります」


 へー、そんな大物が何でこんなところでバラバラになってるんだ?


「あ、そうだ。ウルジナスって、名前に聞き覚えあったりするか?」


 何気なく聞いた俺の言葉に3人は知っているのが当然のように。


「聞き覚えもあるも何も……西の魔王の幹部よ」


 アルミラの言葉に他の2人も頷いていた。


 は? 西の魔王の幹部? 白骨死体になっていたんだが……。


「ちなみに、今まで生きていたんだよな?」


 同じ西の魔王の幹部だったアルマに聞いてみると。


「ウルジナスさんはスケルトンだったので、生きているのかと言われると答えづらいですね。私が魔王城を出て行く時には普通に活動していましたよ」


 これも実際に見てもらった方が早いか。


「ちょっと、こっち来てくれ」


 魔術師のローブがあったところまで3人を案内し、アルマに確認してもらった。


「このローブに腕輪……間違いないですね。ウルジナスさんです。粉々になってたり、頭蓋骨がなかったりしてますが……」


 この白骨死体は魔王の幹部だったのか……。なぜ、ここで粉々になってるんだ?


「なんでそんな大物がこんなところで粉々になってるんでしょうね。それにこのボーン・フォニー・ドラゴンの残骸……誰かに討伐されたのでしょうか?」


「ウルジナスさんはとても魔術や呪いが強力で、懸賞金もかかってたはずなんですけど……」


「そんな大物がこんな森の中で討伐されたなんて、考えづらいわね。Sランク冒険者が偶然通りがかって討伐したのかしら」


 くそ、酔って記憶がなければ何か情報が掴めたかもしれないのに……。


「それにしても、なんでソウイチはこの場所でこんなものがあるって知ってたんですか?」


「……昨日、酒を飲んだんだが酔ったみたいで気が付いたらここで寝てたんだ。起きたらこんな状況だった……」


「酔ってって……。酒癖悪いわね」


「酔っ払いは怖いですね……」


 自分でもここまでなんて、思ってなかったんだよ。


「もしかして、この状況を作ったのはソウイチ……だったりしますか? 前回も私のゴーレムを事も無げに一撃で破壊してましたし」


 沈黙。


「ま、まさか……確かにソウイチの身体能力はずば抜けてるかもしれないけど、魔王の幹部とそのボーン・フォニー・ドラゴンを倒すなんて」


「いくらなんでも、突拍子もない話ですよ。たった1人で太刀打ちできるわけ……」


「俺は酔ってたから、そんなことできるとも思えないんだが……」


 ひょっとして、ひょっとするのか?

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