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強かな女性達

 冒険者ギルドに報告を済ませた俺たちはそこで解散となったのだが。


「ミリカはどこに住んでるんだ?」


「いきなり、女性の住んでいる場所を聞くのはどうかと思いますよ」


「そういう意味で言ったんじゃなく、お前自分で歩けないだろ? 送っていくってことだ」


「……これが送り狼ってやつですか」


「違う」


 とんちんかんなことをいきなり言い出さないで欲しい。


「冗談はさておき、教会まで運んでいただければ良いですよ。師匠に送ってもらいますから。パーティーメンバーとはいえ、会って間もない男性においそれと言えませんからね」


 ごもっとも。


 あ、大事なことを聞くのを忘れてた。


「なあ、アルミラ。この服にかかった硬化魔法はいつ解除されるんだ?」


「ミリカを降ろせば解除してあげる」


 解除してあげる……ということは、この魔法は半永久的に維持し続けるのか?


「硬化魔法って、便利なんだな」


「そんなはずはないですよ」


 ふと、呟いた俺の言葉にミリカは反論した。


 え、物にかけとけばずっと維持されるなら、防御能力が上がっていいんじゃないのか? と、思ったのだが。


「硬化魔法は確かに対象のものを硬化させます。ですが、それは一瞬です。維持し続けるには、それ相応の魔力量と制御技術が必要です。アルミラのようにずっとかけ続けるなんて、並みの制御じゃできません」


 そんなに難しい魔法だったのか。


 と感心する反面、そんなにミリカの胸を俺の背中に当てさせたくないのかと落胆した。


 確かに、アルミラの胸に比べてミリカの胸は大きいかもしれないが、それでも平均より大きいわけでは……。


「あのう、ミリカさん……俺の首を絞めようとするのは、なぜなんでしょう? そして、アルミラさん笑顔が怖いんですが」


 ミリカは俺の首を絞めようとし、アルミラは笑顔なのになぜか怖い。


「すいません。つい、手が動いてしまいました。なぜでしょう」


「え? ソウイチが何を言ってるのかわからないわ。しかも、いきなりさん付けなんてどうしたの?」


 そのまま、教会に着くまで微妙な空気が漂っていた。


 女性の勘って、すごいんだな。まるで、超能力者みたいだ。……2人は魔術師だけど。


 俺の服にかかっていた硬化の魔法は、ミリカを教会で降ろした後に解除された。



 ミリカの回復に3日はかかるということで、冒険者ギルドには回復してから集まることになった。


 そして、俺は図書館に来ていた。


 いつまでも、この世界の文字が読めないままでは不便なので勉強しようと思ったからだ。


 あと、ついでにこの世界の歴史と魔王について調べてみたかったのもある。


『で、何で俺のところに来るんだ兄ちゃん……』


「いや、教えてくれそうな人の心当たりが無かったんです」


『……そ、そうか』


 アルミラは教えてくれそうだが聞くのかっこ悪いし、ミリカは昨日のクエストで養生中だしそもそも論外だし。他の人は忙しそうだし。


「そういえば、自己紹介まだでしたよね。あの時はすぐにクエストをやり始めてしまいましたし。俺はソウイチって言います。よろしくお願いします」


『俺はライトリクスって名称だが、適当に読んでくれ』


 ライトさんと呼ぶことにしよう。


『んで? 文字の読み書きを教えて欲しいって?』


「はい、冒険者をやっているのに読めないのも問題があると思いまして……」


『冒険者の中にも読めないやつはいるけどな……それなら、そこにある本を取ってくれ』


 こうして、ライトさんにこの世界の文字を教わることになった。




 結論、日本語の文体と大して変わらなかった。ただ、文字の形が違うだけのようだ。


 違うだけだが、これを一から覚えるのは大変そうだな、主に量が。


 考えてみれば話してる言葉は日本語だし、文体が同じなのも納得だ。


『ほー、こんな短時間で覚えられるとは思ってなかった。何かしらの教育を受けていたのか?』


「多少は……」


 一朝一夕で覚えられるような量じゃ無いな。ゆっくり覚えていこう。


 歴史や魔王については後日にしよう。


『なら、これで終わりで良いな。俺もただここに積まれてるだけじゃないから、色々忙しいんだ』


「ありがとうございました」


『ま、話すのは好きだから、また来てくれ。いつもは勘弁してほしいけどな』


 本とは思えない言葉を聞きながら、図書館を後にしようとしたのだが。


「あ、ソウイチさん!」


 リアさんに引き留められた。


「この間はすいません。長話してしまって……どうにも彼のことになると夢中になってしまうもので」


「いえ、気にしてませんので……」


「あれ? その本」


「ああ、これですか。倉庫にあったのを借りてきたんです」


「そうだったんですね、懐かしいです。彼ともその本で文字の勉強をしたんですが……」


 あれ? このパターンは……。




「おーい、リアー。こっち手伝っておくれー」


「あ、はーい。すいません、また長話してしまって。私はこれで……勉強頑張ってくださいね」


 ……当分は図書館に来ないようにしようと思った。

2017/7/10 文を追加しました。”歴史や魔王については後日にしよう。”

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