瑠璃色の少女
零が草原の街道に座り込んでから約二時間が経過した。
コンビニで軽食として買った二つのおにぎりは、両方とも既に零の腹の中だ。
少し前から肌に刺さる日光が鋭くなったように零は感じていた。街道以外は一面草原なおかげか日本の街中に比べれば涼しい。それでも夏というには十分に暑く、学校の制服の夏服が半袖であることに微妙な思いを抱く零。
渇く喉を潤そうと零は傍らのペットボトルを口につける。摂取できたのは水滴一粒。死んだ魚のような目でペットボトルに蓋をし、ビニール袋の中にしまう。
「見通しが甘かった、か?」
零はそれなりに幅のある道があるならすぐに誰か通るだろうと思ってその場に留まる選択をしたことを後悔しそうになる。しかし、歩いていても結果は変わらなかった可能性が高いことを思い出してため息をつく。
「でも何もしないでただただ待つのって……正直キツイわ」
げんなりした顔で石畳の道の一方の先を見た零は、その目に光を取り戻す。
まだ豆粒どころか米粒程度の大きさだが、道の先に影があるのだ。
しばらく待つと、その影の特徴を見てとれるようになり、零はまじまじと影を見つめる。
それは女性の人影だった。長袖長ズボンという肌を極力見せない服装、その上にレザーアーマーを装着している。服装だけを見ればゲームやマンガ、小説に出てくる成人した若手の女戦士や女狩人といった所だろう。しかし、肩につくかどうかといった所で切り揃えられ、毛先が少し内側にカールした瑠璃色の髪の毛と、あどけなさの残る顔のパーツや輪郭が少女らしい可愛らしさを醸し出していた。
零は苦いものでも食べたかのような表情をし、首の後ろに人差し指と中指を置くようにして首に手を添える。困った時の零のクセだ。
――パッと見年下の女の子に世話になるのは男としてどうなんだ?
そんな思考が零の頭をよぎる。しかし、すぐさまその考えを振り払う。
草原の街道で助かるかどうか分からないまま何時間も過ごせるほど、零は我慢強くはなかった。
そして、思考している内にすぐそばまで来ていた少女に対して、零は行動を起こす。
「すいません、拾ってください」
そう言い放った零の姿勢は、それは綺麗で美しい土下座だった。