歓喜と謎の引っ掛かり
遅れて教室に戻ってきたが笑い声など賑やかさがあったので安堵しながら席につく。
目前の女子生徒の滑らかそうな髪を見ていると後ろの席の生徒が席につく。
「あんたって私の前の席だったのね。運いいわねー」
感心したように言ってくるが、真逆な気がするのはなぜだ。
「私の名前は宮魔 秋菜一年間よろしくね・・・・・・部活絶対入りなさいよ!」
怒っているのか注意しているのかわからないがとにかく『入れ』だそうだ。
「あんたが面目を保つにはそれしかないんだから」
頬をつり上げほくそ笑む。
そんなことないと思います。
「で? あんたの名前は?」
一つ溜め息をついてから俺は口を開いた。
「俺は篠藁 忍よろしくな」
俺は握手しようと右手を差し出す。
秋菜も照れ臭そうに右手を出して、俺の手をつかんで握手が成立した。
そして、握手を解く。
「部活の説明あるから帰り教室に残ってて」
さらっと周りに誤解されるようなことを言い放ちやがった。
やはり、とでも言おうか壁際でたむろっていた男子がざわつき出す・・・・・・と思ったが俺と秋菜以外の耳には触れなかったようだ。
唐突に、教室前方からガララッと入り口を開け
音があまねく。
生徒全員が入り口に注目する。
そして軽やかな足音と共に誰かが入室。
「みんなーおはよー!」
幼女とも言える体の小ささ、それにマッチした可愛らしい黄緑のワンピースを纏っている。
さらに体のどこを探しても突き出ているところが見当たらない。
もっと言えばその童顔がロリを余計に際立たせている。
「今日から君たちの担任だよー。よろしくね」
満面の笑みを浮かべてそれはそれはご機嫌そうに言う。
教室にいる生徒達がざわめき出す。
「俺達ついてるぜ」
「ロリ先生キター!」
「見てて癒されるわぁ」
それぞれ違えど良い影響なのは確かだ。
俺も見てて心地良い。
「ほんと皆バカだよね」
と前の席の女子生徒がぼそりと溢す。
俺が話しかけたときも不満そうにしていたのを思い出した。
なんか引っ掛かる。
心がそう言っている。
歯と歯の間に食べかすが引っ掛かた時のような感覚に近いかもしれない。
むずがゆい。
そしてしばらくの間ずっと引っ掛かっていた。