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Last Artifact  作者: 東 結友
序章 Lost Artifact
2/2

-依頼-

絡繰人形と魔法使い(仮)という全く関係のない物語です(泣)


修正中で大筋が変わる可能性もあります。


しばらくしたら話を差し替えます。

西暦ーー1950年。


第二次世界大戦後の和装都市〈東京〉には、まだ生々しい戦争の爪痕が残されているが、都市の商業区画では争いが嘘のような賑わいをみせている。

屋台、露店が立ち並び、縁日のごとく商人と客の声が行き交っている。

その中を赤毛の美少女が一人、商業区の喧騒を歩いていた。


「……和装都市って、ゆかたーとか、きものーとか着てる人が多くて、もっと静かな都市かと思ってたわ」


西洋都市出身の少女の手には多目的機能の携帯端末。彼女はそこに話し掛けている。


人目を惹く容姿の少女は意外そうな顔をして辺りを見回した。

商業区画には浴衣や着物を着ている人はほとんどいない。この区画に集まる人間の6割を観光客が占めているせいもあるだろうが、やはりその影響を大きくしたのは先の大戦だ。


戦敗都市となった和装都市は戦勝都市から産業輸入を強制された。その中の一つがいわば洋服産業である。

安価で手間が掛からず、浴衣や着物より動きやすいことから洋服はあっという間に都市に拡がった。


『まあ、そこは商業区画だし、和装都市の中でも特別騒がしいんだ。それに、大戦後は他都市と交流が盛んになったからな。浴衣も着物も、洋服に比べて動きづらいはずだ。

都市中央部の〈仙角塔〉にでも行ってみりゃあ、少しは気分が味わえるんじゃねーの?』


和装都市の中央部には〈仙角塔〉がある。

比喩抜きに天をも貫く巨大な塔で、この都市の中枢機関となっている。

その〈仙角塔〉では原則、外部の人間以外は和服の着用が義務付けられている。

つまり、〈仙角塔〉付近へ行けば和装している都市人がほとんどということだ。


少女はその言葉に顔を顰めた。


「いやよ、捕まる」

『いやいや、なんでだよ……っと、詮索しないのも契約の内だったな』

「……そ。あんたはプロの情報屋らしく、黙って案内してればいいの」


そりゃねーぜ、と軽口をたたく端末の向こうにいる情報屋。

彼に話し掛けたのは少女であるが、それを無視して彼女は尋ねる。


「……で、ホントにこっちであってんの?」

『信用ねぇなー。人が疎らになってきたろ? その先のゲートを潜ればスラム街だからな。人が寄りつかねぇんだ』


北に進むにつれて人が少なくなってくる。


かつて産業開発区と呼ばれていた場所は、戦争の被害が最も大きかった地区であり、スラム街として隔離された。

そこが少女のまず最初の目的地だ。


屋台が途切れ、人の群れが消える。

少女の目前に巨大なゲートが現れた。

ゲートとそれに連なる壁はおよそ150メートル。

それは彼女の出身都市の城壁よりも遥かに高い。


「……まったく、一体ここに何を閉じ込めてるっていうのよ」


あまりに巨大で堅牢な門。

必要過度としか思えないほどに厳重。


このゲートは外から中に入るのに許可はいらない。


『……戦時中、その産業開発区が攻撃を受けた時点で都市政府は隔離政策を施行していたそうだ。

ま、これはどこの情報屋でも囁かれてることだがな。"絡繰産業が関わってんじゃねーか"って話だよ。

きっと危ねえもんを隔離してんだろーな』

「…………〈殺戮計画〉ね」


〈殺戮計画〉。

和装都市〈東京〉は25年前、絡繰と呼ばれる機械を生み出した。

単なる機械ではない。精密な魔術式を隅々まで刻まれた機械である。


19世紀の西洋都市による産業革命以降、元々魔術が普及していた世界で機械に魔術式を組み込む試みは何度も行われた。

結果は全て失敗。

大抵は、駆動する機械に魔術式を組み込むと機械または魔術式が正常に機能しなくなり、暴走。

魔術式を刻まれた機械自体の耐久力が極端に落ち自壊してしまう事態や、魔術式そのものが長く持たず、爆発事故を起こすなどの事件も報道された。


一時は夢かと思われたその技術だが、和装都市はついに実現させる。


〈絡繰〉、とその技術は呼ばれた。


和装都市はその技術を公開せず、独占した。

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