合体技!
「ねーねー、ウサギさん!」
上機嫌でネコが駆け寄ってきた。
「どうした?」
珍しいこともあるものだ、とネコに何かあったかと尋ねる。
「イヌと、合体技考えたんですよー」
「へぇ」
技の研究など、するガラじゃないが――なんていえば三人ともなのだが――、珍しいものだ。
「見ててくださいよー」
「やるっすよ」
広い公園だ。何の技かは知らないが、この広さなら十分だろう。
「鬼火の火力をあげて……まとめてまとめて」
「冷たく、たくさん。水たまりの水をイメージ」
二人の言葉に、ウサギは嫌な予感に襲われる。
「ちょっと、まっ…!」
ウサギの制止の声は、間に合わなかった。
ネコの作り出した熱源に、よく冷えたイヌの水。
イコール。
「バカヤロー!」
大きな音がして、水蒸気の柱が立ち上る。
爆風が収まった後に三人が見たものは…
「…地面が抉れてる」
「予想以上にすごい威力だった」
「……あったりまえだろう!」
ほけー、っとしている若者組に、最年長者たるウサギが説教モードに入る。
「お前ら、水蒸気爆発を知らないのか!?」
「……聞いたことはあるよ」
「そういや習ったかもな…」
いまいちピンと来ていないようだ。
はぁ、と一つ溜息をついて、ウサギは周りを見渡した。
ご町内の憩いの場であったかもしれない公園が、無残な姿になっている。
爆音と水蒸気に、消防車が出動したのだろう、音が聞こえてきた。
悲惨なこの公園は、きっとクラウドが直すだろう。
そう考えて、ずらかるように二人に指示を出す。
ついでに。
「お前ら、あの技な」
というか、ただの水蒸気爆発だ。
「使用禁止。不採用。却下」
「えー」
「行けると思ったんだけどなー」
「だまらっしゃい!」
ウサギの一括に、若者組はしぶしぶ返事をしたのだった。
数日後。
「ウサギさーん!合体技思いつきましたよー。私とウサギさんの!」
笑みを浮かべてネコが駆け寄ってくる。
「どんなのだ?」
「えーっと、まず、ウサギさんの力で密閉した空間に相手を閉じ込めます」
「……ほう」
「で、その中に粉じんを起こします」
「ストップ」
それだけで、想像がついた。
「そこで火を投入……て、ただの粉塵爆発じゃねーか!前に倉庫かなんか壊したやつじゃねーか!却下!」
「えー」
ダメンジャーは今日も平常運転です。




