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トップシークレット!夜の外出

イヌはほんまええこやでぇ…

「ちょっと、こんな時間にどこ行くの!?」


――あぁ、また、面倒な……。


 イヌは小さく舌打ちすると、声の主を振り返らずに答える。


「コンビニ」


 もちろん、嘘だ。

 片耳のピアスから、化け物が現れたと連絡が入ってきた。

 他の二人はすでに向かっているのだろうか。もしかしたら理由をつけて来ないかもしれないなぁ…そんなことを考えながら、靴を履く。


「最近多いんじゃないの?何もこんな夜中に行くことないじゃない」


 母親の言葉に、つい、言葉が出る。


「うるせー、俺の勝手だろ!」


 そう言い捨てて、乱暴に玄関を閉めた。




「……はぁ」

「どうしたの、イヌ」


 溜息をつくと、ネコが声をかけていた。


「いや、ちょっと親と」


 喧嘩しました、とごにょごにょと言った。いや、自分が悪いことは百も承知だ。喧嘩ですらないかもしれない。


「思春期か」

「そーいうことにしておいてください」


 ちょっと遅い気もするが。


「ま、親御さんにしてみればこんな夜中に子どもが出かけるなんて心配で仕方ないでしょうしね」

「そうっすよね」

「…しばらく夜の化け物退治は休んでもいいんじゃない?」

「でも…」


 ウサギは日中会社勤めで疲れている身体を押してきてくれている。

 ネコは生活費の要のバイトを調整してきているらしい。


「気にすることないわよ。私のバイト、結構自由にシフト調整できるようになったし、クラウドからもバイト代でるしね」

「俺も結構慣れてきた」


 二人の気遣いが身に染みる。


「まぁ、とにかく今日はコンビ二のスイーツでも買って、早く帰ることね」

「賄賂か」


 すでに化け物は倒している。

 若干軽くなった心で、家路につくことになった。




「どこ行ってたの!もう!心配したんだからね!」


 家に帰ってみると、怒り顔の母親の顔。


「……コンビニだって」


 本当のことを言えばきっともっと心配するだろうから、小さな嘘は吐くしかない。


「ほら」

「あら」


 つっけんどんに突き出したビニール袋の中には、家族分のコンビニスイーツ。


「買ってくれたのー!?やったー!」


 一気に母親のテンションが上がる。


「あ、でも!これからコンビに行くときはもっと早い時間に行きなさいよ!」

「……はいはい」


 多少の嘘を重ねても……。


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