トップシークレット!筋肉痛の理由
「いってーなー」
ウサギは小さくぼやいていた。
「どうかされたんですか?」
「ん?あぁ、いや…」
同僚に尋ねられ、一瞬何と説明しようかと思考を巡らす。
「筋肉痛なだけなんだが…」
「スポーツでも始めたんですか?」
「いや」
ヒーロー業を始めました、とは言えないので、言葉を濁す。
クラウドのしつらえたジャージは、デザインは置いておくとして、割と優秀なものだった。耐熱、耐火、衝撃の緩和に、身体能力を飛躍的に向上させ、傷を瞬時に治す。そんな代物だ。
ただ、欠点も多い。
なぜか傷は治すのに汚れは落ちないだとか、変身の際服が破れるとか、なんでだよ!と突っ込まずにはいられない。
そして、その欠点の一つが、今ウサギを襲っている筋肉痛だ。
確かに、変身後は、身体能力が格段に上がる。
しかし、だ。
そのつけはきちんと、身体に来るのだ。
翌日の筋肉痛となって。
(昨日の化け物にはちょっと手こずったからなぁ)
飛んだり跳ねたり殴ったり、確かに結構な運度をした。
その代償が、今日のこの、全身筋肉痛だ。
いや、だがまだ次の日に来るからいいじゃないか。そうだ、若い証拠だ。
よくわからない慰めで、自身を慰める。
「じゃあ何したんですかー」
同僚の言葉に、見事なジャパニーズスマイルで答える。
「内緒」




