被った、ということですね
熱風が頬を撫でた。
「なんだ、あいつ!」
「火の鳥って言ったら、フェニックスとか朱雀とか…」
青い身体に赤い斑模様。白い嘴、一本しかない足。
羽ばたくたびに、三人を炎が襲う。
「氷筍!」
技名を口にすることによって、能力のコントロールも楽になってきていた。
地中から生えた氷柱は、炎から三人の身を守る。
「………」
「ネコ、あいつ何なんだ!?」
「なんか弱点とか無いんすか?」
あまりの熱に、近づくこともできない。
攻撃の糸口を、とイヌとウサギがネコに尋ねる。
「……ぽう」
顔を伏せていたネコが、ぼそり、と呟いた。
「え、何て?」
聞き取れずに聞き返す。
「畢方!」
「ヒッポウ?どっかで聞いたような…?」
ネコの言葉に、二人が首を傾げる。
「確かネコさんの技の名前じゃ…」
「あぁ、もともと妖怪の名前をもとにしてるって言ってたな」
「じゃあ、オリジナルが出てきちゃった、ってことすね」
ネコは自身の能力のコントロールに、妖怪の名前を技名として使っていると言っていた。
ということであれば、いずれこのような事態が起こることもありえなくはない話だった。
「ってことで、ちょっと殺ってくるわ」
ゆらり、と前に出るネコ。
「今漢字の変換おかしくなかった?いや、確かにあってるんだけど…」
「って、ネコさん危なっ」
火の中に突っ込んでいくネコ。
「滅べ、オリジナルうぅぅぅっ!」
そう叫んで、特大の炎を拳にまとわせる。
「超理不尽ーっ!」
イヌのツッコミが、畢方に止めを刺そうとするネコに届いたかどうかは、定かではない。




