みんなお揃い
彼らの読み方
「まぁ、落ち着け、尚」
あらかた食べ終えた宰がなだめるように声をかける。
「思い出しただけでもクラウドの事は頭にくるが…。あぁ、本当に。何で俺がウサギなんだ?白いジャージなんだ?そもそも選び方が雑すぎる!化け物は化け物で昼夜問わず来るし、おかげで営業成績が…」
なだめようと口にした言葉で、逆に宰自身の怒りを増長させる結果になってしまったらしい。小刻みに震える宰に、僚が声をかける。
「落ち着いてくださいよ、宰さん」
「落ち着いてるわよ」
「落ち着いてる」
僚の声に、尚と宰が同時に顔を上げた。
「……ウサギさんの方で」
妙な沈黙が落ちる。
一つ、咳払いをして、今度は宰が口を開く。
「ところで、尚」
「はい?」
「なんすか?」
今度は尚と僚が同時に返事を返した。
「………何処の世界に、同姓同名のヒーローがいるってんだ」
ある日。
突然、化け物が現れ。
突然、真っ白な世界に落とされ。
突然、RPGの世界から出てきたような白い衣装をまとった、脂ぎったハンプティ・ダンプティが現れ。
突然、神を名乗るハンプティ・ダンプティ――クラウド、という名らしい――に化け物を倒せだ、時間を巻き戻して死んだ者を生き返らせてやるだのと訳のわからないことを声高に語られ。
「さぁ、共に闇と戦い、世界に平和を取り戻そうじゃないか!」
そう、言われた三人は、
「クジョウ ツカサ」
という、同じ名を持つ三人だった。
「50音順の名簿からチョイスって、頭おかしいよな」
「なんて呼べばいいと思う?猫の方の尚」
「ネコ、イヌ、ウサギで良いんじゃないですか」
「…やさぐれたな…」