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武器が届きました

「……どうやら武器が支給されるとかなんとか」

「らしいっすね」

「へぇ、どんな」


 昨夜ネコとイヌの夢に出てきたクラウドが、二人にそう告げた。いわゆる神のお告げと言うものだろうか。

 相手が相手でなければ、とてもありがたい話である。

 ネコとイヌは、不快な夢を見たと今日一日機嫌が悪い。


「さぁ、楽しみにしてろって言うだけで、どんなものかは…」

「なんか自慢だけしていきました」


 今日も首尾よく化け物を倒した三人にしてみれば、いまさら感が否めない。


「ウサギさんの月刃みたいに、呼べば出てくるって言ってましたね」

「えーっと、確か」


 不快な夢を反芻してみる。


「華焔、紅焔」

「氷牙」

 

 クラウドらしい命名だ、と思う。

 すぐに手に重みを感じた。

 ネコの手には一対の…


「何この棒」

 

 持ち手の付いた棒に、ネコが首を傾げる。


「……トンファーじゃないのか」

「何ですかそれ」


 多分こう持って、とウサギが指南を始める横で、イヌが青ざめていた。


「……日本刀」


 鞘から少しだけ抜いた刀身は、見ているだけで背筋が冷たくなるような鋭い光を帯びている。

 すぐ鞘に戻して、抜けないように飾り紐でがんじがらめにした。


「……間合い変わらないし、両手ふさがるのってどうなのかしら」


 ブンブン振り回しているネコはすぐに扱えるようになりそうだったが、少々ご不満の様である。

 大体、今まで作り上げてきた戦闘スタイルがあるのだ。いまさら新しいアイテムと言われて、早々慣れるものでもない。


「俺は怖くて使えないっす」


 イヌのほうは、完全に怖気づいている。

 月刃を見て、むき出しの刃の鋭さは知っていた。が、これはまた違う。明確に「斬る」ことを目的とした刀の鋭さは、触れるのも恐ろしい。

 夢でクラウドが言っていた、鍛冶神のせいだろうか。


「……ま、使う場面が来たら考えましょ」

「……俺も殴打の武器としてなら使えるかな」

「日本刀の意味は!?」


 早々に武器を仕舞い、帰路に就こうとするネコとイヌ。

 ウサギは天界でこの様子を見ているであろうクラウドに、少しだけ、ほんの少しだけ同情の念を覚えた。

そんなすぐに、武器って使えませんよね…と。

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