こすちゅーむ!
「っていうか、僕聞きたいことがあるんだけどー」
それはいつも通り、三人が毎度のメンバーと対峙しているときのことだった。
パン、という、一番小さな敵が、純粋無垢な表情で爆弾を落としたのは。
「なんでみんな、ジャージなの?」
「え?」
聞き返したのは、イヌだった。別に聞こえなかったわけでも、理解できなかったわけでもない。
「ほら、こういうときって『ふるふぇいすへるめっと』に全身タイツが普通でしょ?」
「魔法少女…とか、コスチュームが…」
パンに次いで言葉を発したのは、意外にも一番寡黙なルシファだった。
「あ…いや、パンに付き合って…休日の朝に…」
「あぁ、見てるんだ」
魔法少女物を。
己の失言に顔を赤らめ、否定の言葉を吐くルシファに、つい生温かい目を向けてしまう。
一番まともだと思っていただけに、残念な感が否めない。
「ねぇ、どうして?」
パンが首を傾げる。敵とはいえ、すでに三人が忘れてしまった純粋さに負けて、しぶしぶ口を開く。
「いい年こいた大人が、んな恥ずかしいもの着れるわけないだろう」
「セーラー服も、機能性を丸無視したやたら装飾の多いコスチュームもごめんだわ。クラウドはそっちの方が良かったみたいだけど」
実際に、クラウドに見せられた最初のコスチュームは、魔法少女系だった。ネコはフリルの多い服。イヌやウサギも華美な装飾を施した軍服のようなもの。
んなダッセェの着れるかよ、とイヌも顔をしかめる。
「ふーん。でも」
純真無垢な表情のまま、パンは悪意なく三人に言葉の刃を突き付けた。
「そのジャージもどっこいどっこいのダサさだよね」
おまけ
「っていうか、なんだよその色は」
他の面々も追い打ちをかけてくる。
「形と色のチョイスがねー。今時足が窄まってるタイプなんて、残ってたんだね。あ、でも子猫ちゃんはどんな格好でも可愛」
「黙れ変態」
「…茶色。見たことすらない」
「うっせ」
「白もなー。…なにその驚きの白さ。あとそのデザイン。ウサギの耳とか」
「うっ…」
自覚のある言葉の数々に、三人の心が抉られる。
けれど、ヒーローとなった時に提示されたコスチュームのどれよりも、今がマシだという事実も否めなかった。
大体パンツ見えるだろう、とおもうのです。ネコ。
露出が多いと危ないし、軍服って実際動きにくそうだし……




