役割分担2 消火係・イヌ
彼らの中では、こういう分担もあります。
青々と草花の茂る自然公園。
今日も今日とて、三人は世界の平和を守っています。
「畢方!」
ちょこまかと動き回る敵に、ネコが火の玉を放つ。
ひょい、と避ける敵。
「氷雨!」
すかさずイヌが氷の礫を繰り出す。
「えぇい、避けるな!火車!」
「雪達磨!」
「狐火、追撃!」
「氷柱雨!」
「清姫!」
「吹雪っ!」
ネコが炎を操り、敵を追う。イヌも間髪入れずに、氷雪を創りだす。
「さっきからイヌは何してるんだ?」
少し離れたところで静観していたウサギがイヌに声をかけた。
先ほどから、彼の攻撃は数こそあれど、敵にかすりもしていない。
それどころか、見当違いの場所に向かって放たれているものもあった。さすがに魔法のようなこの力の扱いにも慣れてきたころだ。ネコほどの精度は無くとも、制御ができないわけではないはずだ。
「何って」
ウサギを振り返って叫ぶ。
「消火活動っ!」
放たれた炎が、敵を捕らえた、盛大に火の粉をまき散らし、消え去る敵。そうして、火の粉は風に舞い、土に戻れなかった枯草に落ちる。
「五月雨」
炎が広がる前に、素早くイヌが水をかけた。
「……なるほど」
使いどころを考える必要があるな、とウサギは思案を巡らす。
「ほっといたら焼け野原っすよ」
「確かに…」
目の前に広がる緑の絨毯に、ほっと胸をなでおろす。
放火犯にならずに済んだようだ。
「……いや、二人とも戦ってくださいよ」
火の扱いには注意しましょう