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役割分担

 三人の前に立ちはだかるのは、どう見ても腰の曲がったお婆さんだった。


「お婆さんか」

「一人ですね」

「他にはいないみたいっすね」

 

 三日前。

 覚えてろよ、と悪役らしく言い捨て仲間の半人半魚を担いで消えたサタンたちは、あれから襲撃に来ていない。

 三人が変身するのも、実に三日ぶりのことだった。


「ぷぅっ!」

「くっ」

 身体を捩って、放たれた小豆を避ける。

 側のコンクリートの壁に、放たれた小豆がめり込んでいた。


「…どんな豆よ」

「散弾銃か」

「やっかいな」


 今回の敵は小豆婆だった。

 見た目は立派なご老体のくせにすばしこく、口から放たれる小豆は抜群の殺傷能力を持っている。


 どう攻めるか、と考えを巡らせていると、


「子どもが!」


 避難した人々の中から声があがった。

 見ると、集団から外れた場所で子どもが泣き叫んでいた。


「ぷぅっ!」


 子どもに気を取られた一瞬の隙をついて、小豆洗いが近くにいたネコに攻撃を仕掛ける。


「ちぃっ」


 反射的に避ける。


「危ないっ」


 再度集団から声が上がる。

 避けた小豆は真っ直ぐに子どもに向かっていた。


「しまっ…!」

「俺が!」

 

 イヌが飛び出す。


「氷壁!」


 叫ぶと同時に現れた氷の壁が、飛来した小豆を阻む。


「よしよし、怖くないからな」


 ウサギが子どもの頭をなでる。


「お兄ちゃんにしっかりつかまって」

 

 しゃがんで手を広げる。


「……おじちゃんに?」

「……お兄ちゃんに」


 子ども用に、と出血大サービスでふるまっていた笑顔がひきつった。

 子どもを抱き抱えて、跳躍する。とにかく安全なところに連れていかなければならない。


「さぁ、邪魔者はいなくなった。人の顔に吐瀉物吐きかけようとしたこと、後悔しなさい!」

「…吐瀉物って」

 

 違うと思います。

 凶悪な笑みを浮かべたネコが、拳を合わせる。


「ぷぅっ」

 

 とっくみ合った状態で、小豆婆が小豆を飛ばす。


「清姫っ」

 

 お返しとばかりにネコは火を吹いて小豆を焼く。

 火にひるんだ小豆婆の手を払い、渾身の力で殴りつけた。


「…いくら敵でも、老人に拳はふるえない」

「容赦ないな」


 離れた場所で顔を引きつらせる男二人に、ネコが叫ぶ。



「あんたらも手伝いなさいよっ!」





 

ネコがアタッカー、イヌがディフェンダー、ウサギは避難誘導係。


イヌは顔が怖いため、子どもに近づくと泣かれます。

ネコは殺気立っているため以下同文。

ウサギはやる気のない半眼無表情ですが、たまに社交性を発揮するため子守りを任されます。

あと、いざというときに一番素早く遠くに逃げられるのもウサギです。


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