第一回 笑顔じゃなきゃいられない
ラブコメってテンプレ×テンプレだよね
高校生になったら絶対にあると思っていた。
転校生との出会い、偶然の事故、幼馴染との再会…
それを俺は待った。待ち続けた。
そして一年が経過した。しかし、何も起きなかった。
一年もすれば気付く。
この世界は、ごくありふれた普通の世界だ。
何の変哲の無い・只の・つまらない世界なのだと。
ラブコメなどという概念は、二次元の住人にのみ許された都合のいいファンタジーなのだと。
だが待てよと、天才的な頭脳を持つこの俺は気付いてしまった。
『自分でラブコメ展開を作ればいい』のだと。
この世界の主役はこの俺、吉良 明である。
手始めに俺は表情を変えてみることにした。
表情はその人間の人間性の6割ほどを反映するという。(俺調べ)
俺の顔は目つきが悪いところもチャーミーなところだが、理解できないやつが多すぎる。だが、寛大な心を持つ俺は奴らに合わせてやることにした。
〔鏡の前でにっこりと笑う。〕
……
〔しかし、目が一切笑っていない上に、口角が裂けそうなほど釣り上がった、深夜の路地裏で遭遇したくない指名手配犯の似顔絵みたいな笑顔のような顔になっている。〕
………まあ。
わざわざ俺が合わせてやる必要も無いか。
-男は笑顔を諦めた。
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