File:3戦場にて
とある廃墟にて
少年たちは、不毛な争いを繰り広げていた
「お前らのせいだからな」
紺の視線は亮と響に
「いーやお前ら二人のせいだ」
亮の視線は紺と響に
「勝手に喧嘩初めて俺まで巻き込んだ自分らのせいや」
響の視線は紺と亮に
三人は睨み合って一歩も引こうとしない
「やんのか、ゴラァ」
「上等だ、ゴラァ」
「今日こそ殺ったる、ゴラァ」
「ねぇ、ヤル気ある?」
「「「すんません」」」
鶴の一声こと夏樹の一声にて不毛な争いを休戦させる3バカ
彼らは、今喧嘩の罰として討伐に送られていた
しかし成績最下位とブービー、下から数えたほうが早いというバカどもでは不安と言うことで成績上位の夏樹が付き添いできていた
つまり夏樹がいないと三人が無傷で帰還するのはまず無理だろうということで
3バカはなんとしてでも夏樹に残って欲しいのだ
「なんでオレがこんなバカ共と、なぁ夏樹ぃー」
「「いやお前にだけは言われたくない」」
「うん、紺に言われたら終わりだよ」
真顔で答える学年ブービーと成績下位
よほどコイツにだけはバカと呼ばれたくないらしい
珍しく成績上位までも同意する
「亮に至ってはブービーなんだからオレと変わらねーだろ!」
さすがに亮には反論するものの響と夏樹には反論できないらしい
「アホ、お前の今まで狩ったことのあるやつ言ってみろ!データに残ってるやつだぞ!」
「な、納豆小僧」
「ハイ、死ね」
どもりながら言った紺の頭に鈍い音が叩きつけられるのであった
「んで、今回はなに狩って来いって?」
亮が夏樹に尋ねる
「えっと、今回は中型で猫又だね」
教師に渡された資料を眺めながら答える
「猫又かぁー、ちっとシンドイな」
「せやね、猫又は動きが素早いから捕まえんのも大変やしな」
「だったらとりあえずどこかに追い込もうか」
「それが一番妥当だろうな」
「じゃあ俺が匂いで捜すから、あとは自分らに任してええな?」
「了解」
「りょーかーい」
ここで能力について説明をしておこう
能力というのは細胞から得られる特殊な力である
例えば白岩 亮、彼の能力は『透明人間』周りの景色に同化し敵に至近距離まで接近することができるが戦闘には向かない
黒井 響の『犬神』は身体能力および、五感(おもに嗅覚)の強化、敵を捕捉するのに最適である
と、このように特殊科には他にもさまざまな能力を持った生徒が存在する
そんな中、亘理 紺 彼だけは能力者でも異常である
能力は『小鬼』 力の増強と体力と自然治癒速度の強化、本来ならば中々の能力のはずだった
しかし、本来なら常人を遥かに凌ぐはずの力の増強は何故か一般の人間よりほんの少し強くなるだけ、唯一のまともな能力自然治癒は、あくまで怪我をしたときのものつまり負傷すること前提の能力という結果しか出さなかったのだ
つまり彼はほんの少し力が強く、ほんの少し怪我の治りが速い普通の高校生として戦場に立っていた
もちろん普通の高校生が戦えるはずもなく、現在まで討伐した異形といえば戦闘能力の無い雑魚ばかり
実際に彼は何度か死に掛けているが、持ち前の治癒能力で見事生還をし、もう一度戦場へという悪循環を繰り返していたのだ
更に今までに一度も彼が致命傷を負わないのは、周りのフォローあってのものである、おそらく成績優秀な友人と成績下位の二人組の相当な助けが入ったことであろう
紺「お、オレは?オレの出番は?」
亮「黙れ、役立たず」
響「やること無いなぁ」
容赦なく切り捨てられ項垂れる紺
夏「じゃあ、紺はいざとなったときに呼ぶよ」
紺「な、夏樹ぃ~、お前は唯一の親友だ!」
涙を流しながら夏樹の肩に手をまわすが、
夏「うん、いざというときの盾として」
紺「お前なんて嫌いだ」
無情な一言によってまたもガクリと項垂れてしまう
亮「まぁ、とりあえず行きますか」
紺「チッ、テメーら帰ってきたら覚えとけよ」
夏「響、場所特定できる?」
響「ちょお待ち」
気を引き締め始める四人
そして、響に柴犬のような耳と尻尾が生える
紺「何時見ても見事なわんこだなぁ」
亮「ほら、お手」
関心しながら言う紺と右手を差し出す亮
響「よーしお前ら、今から八つ裂きにしたるからそこ座れや」
夏「まぁまぁ、ほら二人ともからかわない」
響が、鋭い爪を見せながら言い夏樹が嗜めると
?「そこの奴ら、動くな!」
凛とした声が四人に届く
亮「誰だ!」
夏「この声って」
亮が声のする方向に向き直る
「夏樹!?それにこの前の?」
物陰からポニーテールの少女こと藍沢 春が驚いた様子で現れる
紺「あ、藍沢さん(♡)」
夏「やっぱり、姉さんなんでここに?」
うろたえつつ頬を赤らめる紺を見て小さく「キッモ」と呟く響と実の姉の登場に少し目を見開く夏樹
春「それはこちらの台詞だ、緊急連絡を聞いていないのか?」
響「緊急?なんの話や?」
春は少しあせった様子で尋ねる
春「ついさっきこの辺りに大型が発見された、特殊部隊以外には避難命令が出た」
亮「避難命令!?そんなもん俺達が来るときにはなにも無かったぞ!」
紺「それが本当の話だったらかなりマズ「紺!上だ!」
唐突に響が紺に向かって声を張り上げる
声を聞いたと同時に亮が紺を抱えその場を飛び退くと、先ほどまでいた場所にコンクリートの塊が降り注ぐ
亮「あっぶねぇ!ぼさっとしてんなよ!」
春「そこか!」
亮が紺に怒鳴っていると春がコンクリートの降ってきた場所に一目散に駆け出す
紺「藍沢さん!?」
怒鳴る亮を押し退け後を追う紺
響「紺!おい待たんか!」
夏「響後ろだ!」
響「!しまっ、」ゴッ
紺を引きとめようとする響の背後に巨大な影が現れ響を軽々と吹き飛ばす
亮「チッ、一体だけじゃねーのかよ」
響「つーかここまででかいなんて聞いとらんで」
夏「結構元気だね」
響「頑丈なんが取り柄やからな」
戦闘体制にはいる亮と瓦礫の中の響と軽口を言い合う夏樹
目の前には軽く10mを超える化物
亮「んじゃあ、取り合えずコイツ片してお馬鹿を助けに行きますか」
響「敵に追い詰められピンチになる春ちゃん、後ろには役立たずの紺、そこに颯爽と割って入るオレ!そこで一言『待たせたな!プリンセス(キラッ)』、めっちゃカッコええやん!」
夏「響駄目だよ、紺は姉さんに良いところ見せるんだから邪魔しちゃ、それにダサい」
響は瓦礫から這い出してきて妄想に浸るものの夏樹によって強制終了をさせられてしまう
響「お前なぁ、ええ加減そのシスコンなんとかせんかい、あとなつくんの最後の一言によって響くんの心はズタボロです!」
亮「お喋りはそこまでにしとけ、あと響さすがにプリンセスは寒い」
軽口を叩く二人に向かって注意をする亮
亮「来るぞ」
そして化物が拳を振り上げた
所変わって
紺「藍沢さん!何処にいるんですか?!」
春を追いかけてきた紺
しかし、学年主席の足に学園最低が敵うはずもなく見事に置いてけぼりにされていた
紺「藍沢さーん!」