新たな決意
サイは初めて自分の力に自信を持ち始めた。
彼の目には、新たな決意の光が宿っていた。
「ジェイク先生、もっと教えてください。他にどんなものが作れるのか、知りたいです」
「ああ、構わないさ」ジェイクは微笑んだ。
「お前には可能性がある。それを引き出してやる。だが、力には責任が伴うことを忘れるな」
「はい!」サイは力強く頷いた。
「実は俺はずっと森の中にいて、学園の生徒たちが来ているのを見ていた。お前とクラスメイトの会話も聞いていた。お前の複製の特徴を知って、自分たちの装備ならお前の力を活かせると思ったんだ。俺なら、武器にも精通している。その知識をお前に教えられれば…と思っていたが、幽霊故に声を届ける方法がなかった」
「なんの因果か、僕がここに迷い込んだんですね」
サイは首元のドックタグを見つめた。
「そうだ。それがお前と俺を繋ぐ媒介になっているようだ」
ジェイクは説明した。
「それを身につけていれば、俺はお前の中に入り込める。お前が学園にいるときも、俺はそばにいられるだろう」
「これから何日か後に、また来ます」
サイは言った。「その時、他の装備も見せてください」
「ああ、いいだろう」ジェイクは頷いた。
「次回は、もっと高度な装備についても教えてやる。SCAR-Hという強力なライフルもある。それに、夜間視覚装置や通信機器も…お前の力でどこまで複製できるか、試してみよう」
森の中、サイとジェイクの不思議な師弟関係が始まった。
日が傾き始める頃、ジェイクはサイに学園への帰り道を教えた。
「ありがとうございました、ジェイク先生」サイは深々と頭を下げた。
「もっと教えることがある」ジェイクは笑顔で言った。
「はい、お願いします!」サイは約束した。
サイはドックタグを首にかけた。
ジェイクの姿が光に包まれ、再びサイの中に入り込んだ。
『さあ、行くぞ。』ジェイクの声が頭の中で響いた。
「はい!」サイは元気よく答え、複製したハンドガンを懐に忍ばせた。
『そのドックタグは大切にしろよ。』ジェイクが言った。『お前と俺を繋ぐ唯一の絆だからな。』
「はい、絶対に失くしません」サイは力強く頷いた。
夕暮れ時、サイは学園への帰り道を歩いていた。
外からは一人の少年が歩いているように見えたが、実際には二つの意識がその体の中に存在していた。
もはや彼は、朝の落ちこぼれのサイではなかった。
新たな可能性を見出し、自分の力に自信を持ち始めたサイだった。
学園の門が見えてきた時、サイは立ち止まり、空を見上げた。
サイの新たな冒険の第一歩が、今踏み出されたのだった。