迷子になったサイ
時間が経っても、彼らは戻ってこない。サイは不安になり始めた。
「もしかして、本当に置いていかれたのかな…」サイは呟いた。
決意を固めて、サイは荷物をまとめ、タクミたちが向かった方向へと歩き始めた。
しかし、森は予想以上に広く、すぐに方向感覚を失ってしまった。
「タクミ!ミユキ!ケンタ!」サイは声を張り上げたが、返事はなかった。
周囲は次第に暗くなり始め、サイの不安は増していった。
彼は魔法で小さな光を作り出し、その灯りを頼りに進み続けた。
「迷子になったのか…」サイは周囲を見回した。
どこを見ても同じような木々が広がるだけで、完全に方向感覚を失っていた。
さらに進むと、サイは奇妙な光景に出くわした。
小さな谷間のような場所に、何かが横たわっていた。
近づいてみると、それは人の遺体だった。
しかも一人ではない。
四人の遺体が、奇妙な服装で横たわっていた。
「これは…」サイは恐る恐る近づいた。
遺体の周りには、サイが見たこともないような武器や装備が散乱していた。
それらは朽ち果てているものの、明らかに高度な技術で作られたものだった。
「こんなものが、アマノマルにあるはずがない…」サイは呟いた。
アマノマルは魔法の世界であり、このような機械的な武器は見たことがなかった。
サイは恐る恐る、一番近くにある遺体に近づいた。
その首元には、金属の板が下がっていた。
「これは何だろう…」サイは手を伸ばし、その金属の板に触れた。
突然、遺体の傍らに青白い光が現れ、人の形を取り始めた。
「うわっ!」サイは驚いて後ずさった。
杖を構え、防御の姿勢を取る。
「おい、落ち着け。俺は敵じゃない。」幽霊の姿をした男性が言った。
彼は30代半ばくらいの男性で、短く刈り上げた髪と鋭い眼光を持っていた。
「俺はジェイク。特殊部隊の元メンバーだ。」