エッセイ・短編 命・言葉・愛・感謝・希望等をテーマにした作品です
せめて今日くらい
夏の空は、どこまでも青く澄んでいる。
蝉の声が絶え間なく響き、子どもたちの笑い声が風に混じって流れていく。
そんな日常の中で、ふと心に浮かぶの。
戦争が悪だとか、誰が悪いとか――
そんなことは、今は置いておきたくて。
ただ――
国や家族を想い、命を懸けて戦った先人の方々に、
「ありがとうございました。どうか安らかにお眠りください」
と、祈り、伝えたい。
今の私たちがあるのは、その方々がいてくださったから――そう思うの。
何を信じ、何を選び、どんな思いで最後の日々を生き抜いたのか。
その重さを、私たちは完全に知ることはできないけど。
けれど、確かに言えるのは――
彼らがいなければ、
今日の空の下で息をしている私も、
きっとここにはいなかったの。
だから、せめてこの日くらいは、
立ち止まり、静かに目を閉じるの。
見上げた空に、
「ありがとうございました」
そっと、心の中で手を合わせた。
拙文、読んで下さりありがとうございました。
*写真は作者が撮影したものです。