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転生物語  作者: 情緒箱
第一章:転生、幼年期
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第三話:先生と生徒

今週は毎日投稿目指します

 魔力増量キャンペーンから一ヶ月ほど経過した。


 最近は魔力総量もだいぶ増えていると実感できている程多くなっている。

 流石にウォーターボールだけでは消費しきれなくなってきたので、水魔術の他の初級の魔術も使ってみようと思う。


 纏めてみた。


・水弾:水の玉を出す、ウォーターボール

・水盾:指定の方向に水の盾を出す、ウォーターシー

    ルド

・水矢:水の矢を放つ、ウォーターアロー

・水撃:水の衝撃波をぶつける、ウォータースマッシ

    ュ

・水刃:水の刃を放つ、ウォーターブレード


 以上だ。

 一応、ウォーターボール以外の四つは水を氷に変えて発動させることも出来るらしい。


 氷に変換してからの方が魔力消費が多くなるため、氷に、変換してから一番魔力消費の多いアイススマッシュを使用している。


 そして、新たな成果があった。

 それは、魔術発動のプロセスの発見である!


 これまで、なんとなくでやっていた無詠唱魔術だが、長く魔術を発動、研究することで、そのプロセスを明らかにしたのだ!


 手順は以下の通り


1.イメージ(魔術の諸々の設定)

2.魔力の使用

3.魔術の形成(魔術の再設定)

4.魔術の発動


 この四つの動作が無詠唱に必要なプロセスだが、1のイメージは、慣れてきたら勝手に脳がイメージを保存するため、ほぼ必要なくなる。


 そして、魔術の設定が可能になったため、これまでできなかった速度の設定ができるようになった。



 更に二ヶ月ほど経過した。


 魔力総量が増えなくなっているのを感じる。

 倍率が下がっているのを実感している。


 結構焦っている。

 現在は水魔術、氷変換の魔術を一通り試しても全く減らないぐらいに放っているが、不安だ。


 ちなみに中級は怖いのでまだ使っていない。



 更に三ヶ月ほど経過した。

 

 全くと言っていいほど増えなくなった。

 数えるのがめんどくさくなったため、途中から感覚で数えていたが、最近は全く感じなくなった。


 恐らく、ここが俺の魔力総量の、限界なのだろう。

 悲しいが、切り替えて次のステップに進もう。

 魔力総量が限界になったとなれば、次にするのは何か。

 思いついたのはこの二つだ。


・魔力効率を上げる

・魔力出力を上げる


 一見意味がわからないが、魔力増量キャンペーン中、で気づいたことがあった。

 それは、魔力が余分に供給されていること。

 魔力の流れは、血液と同じような感じで、それぞれの決まったところを流れて魔力を供給している。

 しかし、中には魔力が必ずしも通る必要のない道、魔力が存在する。


 魔力効率は、魔力の通り道を取捨選択することで上げるのだ。


 魔力出力は魔力の通り道を狭めることで、無理やり勢いをつけて上げるのだ。


 魔術によって、魔力の通り道、量、狭めるべき道が違うため、法則性はあるが決まったパターンはない。

 が、それが俺のプログラマー魂に火をつけた。

 たとえ何ヶ月かかろうと成し遂げてみせる!



 更に六ヶ月ほど経過した。

 二歳になった。



 魔力効率、魔力出力共に、限界まで極めることに成功した。

 研究、実験は自室で、気づかれないように行った。


 さて、魔力総量、魔力効率、魔力出力、全てを、極限まで高めた俺の、無詠唱ウォーターボールをお見せしようではないッか!


 ………水玉をイメージする。

 魔力の通り道を取捨選択。

 鼓動に合わせて魔力を流す。

 魔力の通り道を狭め勢いをつける。

 魔力を指先から………押し出す!


「ウォーター………ボール!」


 久しぶりに出した大声は、いとも容易く水の爆音にかき消されてしまった。


 ウォーターボールは自室の壁を破壊し、目に見える田んぼのさらに奥まで飛んでいった。


 あまりの威力に呆然としていた。

 あれ、もしかしてシャレにならないことをしでかしたのではないだろうか?


「どうした、ルナ!」


 父親が部屋に飛び込んできた。


「ルナ、無事か?」

「はい」


 真っ先に俺を心配するあたり、人の良さが伺える。

 そして、状況を見るに完全に俺が犯人なのに、疑いもしていない。

 いや、これは逆に天然なのでは?

 心配になってきた。


「あら………」


 次に母親が入ってきた。

 母親は壊れた壁と濡れた床を見た。


「あら…?」


 彼女は俺が側に放置していた魔術原典の開いたページを見た。

 そして、腰をかがみ、目線を俺に合わせた。

 完全にバレた。

 彼女の目が笑っていない。

 怖すぎなんですけど………?!


「ルナ、もしかしてこれ、ルナがやったの?」

「ごめんなさい」


 素直に謝った。

 多少の嘘ならまだマジだが(全然マシではない)、ここまで派手にやってしまったのならきちんと謝った方が良い。

 前世では妹に何でも出来る感出しすぎて捨てられた感があるし………。


 あれ?

 涙出てきたな。


「ルナ、泣かなくても大丈夫よ。

 安心して、怒ってないから」

「は、はい」


 転生なんてしたんだから、トラウマぐらいなんとかしなくちゃな。


「おい、あんまりルナを泣かせるんじゃないぞ?」

「あら、泣かせてなんてないわよ」


 なんか喧嘩しそうな雰囲気で心配になる。

 別にこの人のせいで泣いたわけじゃないんだけどな。


「でも、ルナったら、やっぱり天才だったわ!」


 声を裏返して嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねている。

 流石に興奮し過ぎでは?


「しかも、

 こんな威力の初級魔術なんて見たことないわよ!

 きっと成長したら立派な魔術師になるわ!」


 キャー!ととても嬉しそうだ。

 いくら子供が優秀とて、ここまでなるだろうか?

 

 

「そうだ、家庭教師を雇いましょう!」

「いや、あのな、まだ読み書きも教えてないんだ

 ぞ?」

「すぐに都市で募集をかけましょう!

 才能は伸ばしてあげなきゃ!」


 母親の圧に負け、無視され、メイドさんは我関せずで掃除している。

 哀れなり、父親。


 それはそうと、たった初級でここまで天才だと言われるのか?

 正直初級がどれくらいの難易度なのかが分からないので何とも言えない。


 そして母親は親バカなのだろうか。

 親バカなのか?

 親バカかな?

 親バカだな。


 結論:母親は親バカである


 しかし、母親は俺の反応を見て、「やっぱり天才よ」と言っていた。

 そんな前兆なんてあったか?


 あ。

 あったな。


 俺は前世の頃から頭を整理したり考える時に、独り言をよく言う癖があった。

 ある程度言葉がわかってからは、本を読みながら、わからない部分は自分で翻訳していた。


 誰も彼も、俺に言葉を教えていなかったのに、俺は勝手に覚えていった。

 そりゃ天才だろう。

 前世で適当に例えるなら、ノイマンだな。


 うん、天才だ。

 自分の子がノイマンと同じことしてると気づけば、天才と褒め称えるだろう。

 そりゃ褒めるな。


「いや待て、男の子だぞ?

 男の子なら剣士だろ?」

「全く、二歳で初級が使えるなら、魔術の才能を伸ば

 した方が良いじゃない。

 もっと柔軟に考えましょ」


 夫婦喧嘩はやめてほしい。

 てか午前午後で分ければいいじゃないか。


「午前中に魔術を、午後に剣術を教えれば良いのでは?」


 俺の言いたいことを代弁してくれた!

 ナイス、メイドさん。


 正直言って剣術は使うのか………?



 一週間後、家庭教師が来ることになった。

 今日は出迎えの日だ。


 思ったのは、家が裕福なことだ。

 これ以上誰かを雇う金があるとは驚きだ。

 てか、金はどこから湧いてるんだ?

 闇金のようで怖い。


 ちなみに、家庭教師は住み込みらしい。

 期限はまだ決まっていないそうだ。

 大丈夫なのだろうか?


 家庭教師様がご到着した。

「こんにちは、水魔級魔術師のリリアです。

 よろしくお願いします」


 思ったより小さい人が来た。

 髪色は青。

 見た目は完全にロリ。

 ツンデレっぽい。

 両親も固まっている。


「それで、私が教える生徒はどちらに?」

「この子よ」


 母親が抱きかかえてる俺を前に出す。


 冷静になって、頭おかしいのではなかろうか?

 常識的に考えて、二歳の意思疎通できるか怪しい(普通)子供に何かを教えるのは何かが欠落しているのでは?


 ハッ、家庭教師様が俺を見ている。

 自己紹介をしなければ。


「………いるんですね、こういうちょっと出来るだけで

 天才だと思う親バカ…」


 うん、俺も全くもって同感だよ☆


「何か?」

「いえ、何も」


 母親が圧をかけている。

 完全に相手が正論なのに………!

 俺は何もしていない筈なのに、こっちが悪者なのでは、という疑問が出てしまう………!

 あ、自己紹介。


「はじめまして、ルナです。

 これからよろしくおねがいします」


 演技だけは俺の取り柄だ。

 ちょっと賢い二歳時の真似は出来た筈………。


「こちら、ルナティス・ヴェスペリアです。

 まだ二歳時なので、温かい目で教えていただくと助

 かります。」


 父親が挨拶を言った。

 てか俺の本名初めて知ったぞ!?

 ルナティス・ヴェスペリアね。

 よし、覚え〜〜〜〜〜〜〜………た!


「…この年の子が魔術を理解出来るとは思えないので

 すが。」

「勿論、その時は俺に言って下さい。

 最低限の給与を渡して、から辞めてもらって構いま

 せん。」

「わかりました、やれる事はやってみます」


 この日、家庭教師、リリアが我が家に加わった。



 初日の授業だ。


「では、まずはルナがどれくらい出来るか試してもら

 いましょうか。

 お手本を見せるので、同じようにやって下さい」


 最初の授業は庭でやるようだ。

 うちの庭は結構大きいため、魔術もある程度なら好きにぶっ放せるものだ。

 庭でやるのはやはり、俺がどれくらい出来るか知りたいのだろう。


「汝の魂に大いなる水の加護を示さん

 ウォーターボール」


 お馴染みのウォーターボールが打ち出された。

 水弾は、最初にリリアさんが用意していた土の壁に防がれた。


「ではルナ、やってみて下さい」


 椅子から降りる。

 緊張するが、いつも通りやればいいだけだ。


 いつもの無詠唱でウォーターボールが打ち出される。

 そして土の壁をぶち破る。

 土の壁の強度が不明なため、かなり控え目に打ったが、当たり前のように貫通した。


「嘘でしょう………。」


 リリアさんが目を見開いている。

 相当驚いているのが見て取れる。

 やはり、俺のような年端のいかない子供が無詠唱するのは少ないのだろうか。


「ルナ、あなたいつも喋らないでやってるんですか?

 それに、魔力とかも制限してましたよね?」

「はい、いつも無詠唱でやってます。

 あと、壁のきょうどがわからなかったので、かなり

 ひかえめにに打たせてもらいました。」

「かなり控え目って………。

 これは本気でやった時と比べてどれくらいなんです

 か?」

「………五分の一です」


 かなりショックを受けているのが目に見えて分かる。


「ルナ、ごめんなさい」

「何がですか?」


 突然謝るとは一体どうしたのだろうか。


「私は貴方を見くびっていました。

 子どもというだけで」

「それは普通なのでは?」


 これは本心からそう思う。

 勉強で例えると、二歳が掛け算が出来るようなものだ。

 子どもだから出来ないと思うのが普通だろう。


「いえ、それでも謝らないと気がすまないので」

「そういうことなら受け取っておきます」

「ありがとうございます」


 誇りの問題なら、受け取るのが礼儀だろう。


「ところで、ルナは魔術をどれくらい使えますか?」


 水魔術の初級だけだと答えた。

 彼女は驚いた顔をしながら納得したように頷いた。


「では、まずは火・風・土・治癒・解毒の初級を覚えるのを目標にしましょうか」



 午後は剣術の鍛錬だ。

 当然相手は父親。

 二歳時なので流石に手加減してもらえている。

 安心した。


 父親の鍛錬のメニューはこんな感じだ。


・柔軟/素振り

・形練習

・簡単な父親との稽古


 やることは少ないが、合間合間に反省やアドバイスもくれるため、地道に努力すれば初級は簡単に取れるだろう。


「ルナはな、剣術の才能が無いな」

「何でそんなこと言うんです」


 顔をプイッとしてあげた。


「まぁまぁ、拗ねてくれるなって。

 けど、才能が無いだけで、努力する才能はあるか

 ら、このまま遅くて三年続けたら、中級にはなれるよ」


 休憩時間には雑談もしている。

 雑談内容の話は毎回面白いので飽きない。



 ちなみに、最近は、暇なので、研究で、魔力感知を練習している。


 魔術原典にも書いてあったのだが、この世にある全てには魔力を有するらしい。


 ならば、空気、そして物体に宿る魔力、また魔力の流れを感じることで、目で見ずとも空間を把握できるのではと思った。

 単純に死角を埋めることが出来るだけでも強いので、研究する価値はありだ。


 もう一つ研究しているものがある。

 それは、某呪術〇戦に出てくる反転〇式のような、反転魔力だ。

 ネーミングセンスは△

 反転魔力はどんな効果が、あるのかは分からないが、研究することに損はないと思うため行っている。



 夜中にはギシアンが聞こえてくるがフル無視だ。

 そう言えば、リリアさんは知らないはずなので、今から言いに行こうと思う。


 リリアさんの部屋に着き、少し部屋を覗いた。


 すぐに扉を閉じた。

 大人の情事(一人)を見てしまった。

 いや!俺は何も見ていない。

 な〜ンにも見ていないんだから〜。


 ベッドに戻ってきた。

 変わらずギシアンは聞こえてくる。

 そろそろ出来そうな感じではある。

 せめて出来るなら弟がいいなぁ。


 妹は多分見た瞬間に泣くか逃げちゃうだろうから。


 思い出される妹に捧げた時間と捨てられた瞬間。

 涙が出てきた。

 ………もう妹について考えるのはやめよう。

 心が悲しみで一杯になっちゃうから。


 久しぶりに声を出して泣いた。

 声は聞こえないように枕を被せながら。


 茶色と赤色の何かが見えたが、多分気のせいだ。

 ちなみに、魔力出力、魔力効率、魔力感知、反転魔力などは魔力操作と言います。

※反転魔力は最強格です


 かなりニート転生様と同じ展開ですが、ちゃんとオリジナル展開等ありますので、期待しておいて下さい。

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