第零話:契約
俺は今、沈んでいる。
どうしてこうなったかって?
そんなの自分で考えればいいだろう?
ちなみに俺は知らない。
「貴様、どうしてここに居る?」
うぉっ!
なんだ?急に声がしたぞ?
後質問の答えは知らない。
「ふむ、ではここに居るのは………なるほど、相当な後悔があるようだなぁ、人間」
コイツさっきから俺の心でも読んでるの?
怖いが一周回って驚きに変わっちゃったって。
てか、まずアンタ誰だよ?
完全中二病の予感するんだけど。
「………ククッ…。我は三神が一柱、死神である」
俺の予感的中!
てか、死神は分かるけど、三神?とか言うオリジナル設定まで出しちゃって〜。
これがモノホンか。
「………与太話はこれ位にしておこう。貴様には今、二つの選択肢がある」
お?なんだ、まさか生き返らせてくれるとかか?
「半分正解で半分不正解だ。………1つ目の選択肢は、このまま死ぬこと。2つ目の選択肢は、新しい世界………お前たちの言うところの異世界に転生し、第二の人生を歩むことだ」
うっひょー、マジか。
でもでも、2つ目の選択肢………転生ってお高いんでしょう?
「何を当たり前のことを言っている」
あ、マジであるんすね。
「本来、魂と記憶・経験を引き継いでの転生など、長い歴史を見てもそうは居ない。だが、こうして、この生と死の狭間に滞在し、尚且つ我ら三神が気に入った者だけに選択肢が与えられる。このまま長い生ち幕を閉じるか、たった一つの代償を払い、転生するかのな。」
………もう知らないのは知らないままで放っておくか。
それはソレとして、代償ってのは基本どれくらいなんですか?
「基本的には自分の一部か、大切な者との記憶だな。勿論、最低基準の代償を支払えなければ、そのまま死ぬ」
代償ってのは、範囲とかは自由に決めてイイんすか?
「当然だ。………さて、貴様と話せるのもあと少しだ。決めるのだな、自分の未来を」
………俺は今回の人生、家族のために生きた。
不幸で、後悔ばかりの人生だ。
ソレを経験するだけの人生はもう疲れた。
………けど、生きたい。
俺のためだけの、自分の人生を楽しんでみい。
………長く苦しかったんだ。
夢ぐらい見たって、良いんじゃないのか?
………………………そうだな。そうしよう。
「考えは決まったか?」
あぁ。
「ならば、答えを聞かせてもらう。貴様が選んだのは、どちらだ?」
俺は、______を代償にして、転生する。
「いいだろう。………では、更に代償を支払い、死神の………神にも匹敵する能力を望むか?」
遠慮しておきますよ、俺は人として、これ以上何かを失っていきたくはないですから。
「そうか。では、2度目の人生、精々悔いのないようにな。」
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俺は、転生した。