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転生物語  作者: 情緒箱
プロローグ
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プロローグ

土砂降りの日。

転がる大学生ほどの男性。


全身血だらけで、目にも当てられない。

────────────────────────


─────────────────────

小学生の頃はよく出来てた。

テストはいつも満点で、学校で行われてたクラブ活動でもリーダーで、両親や先生達によく褒められるように動いてた。


歯車がズレたのは5年生の頃だ。


当時、俺はいつも褒められて、両親や先生の前では上手く立ち回ってたから怒られるなんてありえなかった。

だから、俺は何をしてもいいって勘違いして、誰にも見つからないようにイジメを始めた。

ストレス発散が全くできていなかった俺は、ずっと陰ながらイジメを続けてた。


6年生の頃、イジメが急に飽きて止めたんだ。

中学受験のためにひたすら勉強を続けて、いつしか卒業、中学生になっていた。


………


中学生の頃から俺の生活は変わった。


俺の進んだ中学は、小学からの進学が一般で、受験して入るのは少なく、受験組なのは俺だけだった。


だからだろうか。

俺はイジメられた。

顔に「不良です」と書かれたような連中にイジメられた。


俺はイジメられてるのが気付かれないよう、両親は勿論、一番一緒にいる妹にも悟られないように生活した。

俺の心はストレスと疲労で、すり減っていった。


俺は家族に悟られないように、小学生の頃のように高得点と高い順位を取った。


イジメは酷くなった。

不良組だけでなく成績優秀な奴らまで参加したのだ。


一人だけ、俺の味方になってくれた子がいた。

その子は俺を庇ってくれた。

その子は、幼稚園の頃から一緒だった、ある女子生徒だった。

俺はその子を好きになっていた。


ある日、その子に告白された。

けど、俺にはその子を柱に隠れて見てるイジメっ子を見つけてしまった。

俺は振った。


………


何日か後、俺が信号を渡ろうとすると、トラックが急発進してきた。

俺は立ち止まってしまった。


その次の瞬間、大きな音を立てて、トラックが人を轢いた。


轢かれたのは俺じゃなかった。

じゃあ誰なんだ。

後ろを振り返った。


俺が振ったあの子が轢かれていた。

彼女は俺を庇ったのだ。


彼女の葬式が開かれた。


俺は家で呆然としていた。

何で庇ってくれたんだ?

その答えはすぐに出た。

彼女は本当に俺を好いていてくれたのだ。

ただただ、深い後悔に苛まれた。


俺の心は既に、限界を超えていた。


翌日、一人が不登校になった。


………


ふと思った。

小学生の時にイジメてた人たちも、キツかったんじゃないかと。

心の支えがなかったあの人たちでは特に。


俺は謝りたかった。

だけど住所も何も知らないため、結局謝れなかった。


「でも、めんどくさいことしなくてよかった。」

心底軽蔑した。


………


中学生で成績をキープしたまま、高校受験をして、高校生になった。

勿論、高校はオンラインだ。


………


高校2年生の頃、父が亡くなった。

死因は事故死。内容は………思い出したくない。


俺は高校を中退して、職についた。父の分を少しでも稼がないと、と思ったからだ。


続いて母も亡くなった。

一家の大黒柱、父の分の収入を取り戻そうとして、持病が悪化。

ストレスも加わって死亡。


2人の保険金を当てにしながら、俺は中学生の妹が高校に行けるように、必死に働いた。


寝る間も惜しまず、食事も必要最低限に、ただ妹のためだけに働いた。


………


妹の前では出来るだけ笑顔でいるようにした。

けど、妹には両親がいない分、厳しく接した。

勉強もよく教えた。

反抗期がなかったことが救いだった。


………


妹が高校生になる頃、妹が俺の稼いだ金を持って家を出た。


焦った。

妹を探した。

………見つからなかった。


そりゃ、当然か。

俺みたいな頼れない厳しい兄に、優しい両親の真似事が出来るわけ無いか。


………


金も無くなり、職場は倒産し、借金を背負った。

家族四人で暮らした大切な家を失った。


俺、何のために生きてきたんだろう。


辛いな。

折れた。

そして泣いた。


………


頼る当てもなくただ歩いていると、コンビニの前の狭い路上で口論している高校生のカップル(?)を見つけた。


なんとも言えない気持ちで見ていた。

不審者だな。


………いっそ、刑務所に入った方が楽かもしれない。


………


高校生たちに向かって急発進しているトラックを見つけた。


体が勝手に動いた。

ここで助けなければ、あの子に顔向けできない。


必死にみっともなく走って、一番轢かれそうな女子を押した。


………


これが走馬灯か?

ハハッ。

全てを棒に振って、後悔ばかりの酷い人生だな。

全て空振って、なぁ。


………………………………


トラックが目の前にある。


死んだな。


全員を不幸にして、妹もちゃんと愛せなくて死ぬのかよ………

ごめんなさい。

────────────────────────

 深夜2時頃、身元不明の男性がトラックに轢かれそうになった学生を庇って死亡しました。

 警察は現在、身元の確認と犯人の捜索を急いでいています。

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