ポルターガイスト
家具付のいまの住居に引っ越してからしばらくが経ったある日から私はなにか違和感を覚えるようになった。
閉めたはずの扉が開いている。逆に開け放したままだったはずの扉が閉まっている。カップや食器などの位置が微妙に変わっている。
そんなことが何度も何度も、数え上げるのも馬鹿らしくなるほどに繰り返し起こっているのだ。
当初は私も気のせいだと思っていた。だがいくら何でも頻度が多すぎる。しかもときには私が買った覚えもないような食器や家具が増えていたりもするのだ!
その内に私はこう結論を出さざるを得なくなった。
この家には、私以外の誰かが、否、ナニカがいる。
そう結論付けてからは私の行動は早かったと思う。知り合いのツテを使い、そういった類に対する専門家を呼びよせたのだ。
家の中をくまなく調べた専門家はどうでしょうかと尋ねる私に対して重々しく頷く。
「間違いありません。この家には人間が住んでいます」
その言葉に私は叫び声をあげると、大急ぎで引っ越しの準備を整えてその家を出ていった。
人間がいる家など恐ろしくてとても住んでいられない。いつこちらが成仏させられてしまうかも分からないのだ。