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第三章 ㉑
…と、ここまでの記憶はなんとなくあるのだが、その先がいつも思い出せずにいた。
ばあちゃんに聞いた話では、僕がいなくなって大変な騒ぎになったみたいなのだが、警察に電話をしようとばあちゃんが家へ戻った時、僕は玄関の前に倒れていたらしい。
それから三日ほど僕は高熱にうなされたと……
「……ねこさま……?」
僕は記憶の欠片を必死に探した。
「ねこさま?
ハル、それはなんですか?」
僕はこの遠い昔の話をロゼに話した。
「高熱にうなされて目覚めたときに、ばあちゃんがじいちゃんに話してる声が聞こえたんだ。
「“ねこさま”が助けてくれたのかしら?」って。
その時は僕は誰かに助けられたんだろうな…くらいにしか思わなかったけど、“ねこさま”って誰なんだろう…?
ねこさま…ねこ様…猫様?…猫?」
「ねこさまは“猫”ということですか?」
「あー!ばあちゃんにちゃんと聞いておくんだった!」
僕は僕自身に苛立った。




