46/51
第三章 ⑲
「そうだ、ロゼは猫なんだよね?
こうやって話してると、猫だなんて思えないけど…」
「はい。猫です。黒猫です。」
「さっき言ってたけど、人間に見えるのは合田のじいさんと、僕だけなんだよね?」
「はい。これまで出会った中ではそうです。どうしてかは分からないんですけど…」
「さっき、ロゼがここへやって来た時は黒猫の姿をしていたけど、どうして急に人間に見えるようになったんだろう?」
「あっ、それは、私が人間としてお話したいと思った時だと思います。確かではないんですけど…
おじいさんに人間に見えるようになってから、おじいさんにも、猫に見えていた時もありました。その度におじいさんはびっくりしていましたが…
おじいさんと過ごして気づいたんですけど、私が人間という意識?というものを持つと人間の姿に見えるようになるようです。
さっきも、“ハルとお話したい”と思った時に人間に見えたようなので。
でも、初めてハルと会った日、その時は、どうして初めから人間に見えていたかは分かりません。
それはおじいさんの時も同じです。」
「その日が土砂降りの雨が降った日…か…」




