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第一章 ③
待合室には古い木製の長椅子が一つ。
そこに座っていたのはこの辺りでは珍しい、若い女性だった。
珍しい、というのもこの辺りは街から遠く離れた田舎町。
行き交う人は地元民がほとんどで、年老いた人ばかりだ。
いわゆる過疎化の進んだ田舎町。
僕も、訳あって祖父母の住んでいたこの町にいるのだが、僕と同年代くらいの若者はこの2年でほとんど見たことがない。
僕も含めて、この町で若者がいること自体珍しいのだ。
待合室へ入った僕は少し緊張していた。
大学で同年代の異性はいるのだが、僕はいわゆる「女性」という人間が苦手なこともあって、ほとんど話をしたことがない。
恐らく母親の影響だろう。
物心ついた時から「女性」というものを避けてきた。
女友達と呼べる者も生まれてこの方いたことがない。
そんな僕が、今日は珍しく自ら女性に声をかけることとなる。