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第三章 ⑫
「お花屋さんに行けば見れるかと思って…街のお花屋さんまで出かけてしまったんです…
それで、見つけたんです。バラの花を。
本当にとてもきれいで、お花の図鑑よりもとてもきれいで、鼻を近づけたらとてもいい匂いがしました。
そのことをおじいさんにお話しようと思って帰ろうとした時に、お花屋さんのごみ置き場にあったんです。
少し枯れてしまっていたんですけど、バラの花が。
私、おじいさんに持って帰ろうと思って…口にくわえて走り始めた時でした。
突然激しい雨が降ってきて…大きな雷が鳴って、私びっくりしてしまって…
雨が弱まるまで茂みに隠れていたんです。
そしたら、夕方いつも家に帰る時間より遅くなってしまって………」




