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第三章 ⑨
「おじいさんから人間に見えるようになった私は、おじいさんの前では人間として過ごすことができました。
お話することもできましたし、ごはんも人間と同じものを食べれるようになりました。
ただ、お箸の持ち方とか分からなかったので、おじいさんが教えてくれました。
文字の書き方もそうです。
おじいさんが教えてくれました。ひらがなと数字と…私の名まえの書き方を。」
「あ、だから僕に置き手紙をしてくれたんだ。」
「あっ、はい。すみません、まだきれいには書けなくて…」
「いやっ!そんなことはないです!
あの手紙がなかったら、今こうして君と……ロゼさん、と話すことはなかっただろうから。」
「あっ、“ロゼ”で大丈夫ですよ!
あの…あなたのお名まえは…?」




