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第三章 ⑦
そしたら、おじいさんが目をまんまるくして、
「…ロゼ?…ね、猫のか?黒猫のロゼか?」って、私の声に応えたんです。
私、おじいさんとお話できてることに気づかないまま
「おじいさん、どうしたの?もしかして忘れちゃったの?」って言って…
そしたら、おじいさんは何度も目をこすって、目をパチパチさせながら
「こらたまげた!オラぁ、頭でも打ったかな。人間にしか見えねぇがな!」って言ったんです。
私、びっくりしちゃって。
「人間?!おじいさん、ロゼは猫だよ?!」そう言ったけど、
「いんや、オラには人間に見えてんだ!」って。
私、自分の体を見たんです。
そしたら、手が人間の手になってて!
驚いてきょろきょろしてたら窓ガラスに映った自分が、人間の体をしていたんです…」




