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第三章 ⑥
「おじいさんの家の軒下で雨宿りをしていました。
その時に、おじいさんが私を探しに家から出てきて、私を見て言ったんです。
「おや?お嬢さんはどちらさんかね?」って。
私はその時にはおじいさんの家にお世話になっていたので、まさか忘れちゃったのかと思っちゃって、
「おじいさん、ロゼだよ!ロゼ!」って言ったんです。
って、おじいさんにお話しても、おじいさんには猫の声にしか聞こえないんですけど…
あっ、“ロゼ”という名前はおじいさんが付けてくれたんです。
“ロゼ”はフランスという国では“雫”って意味があるんだそうです。
おじいさんと初めて会った時にも雨が降っていたので、おじいさんが辞書を開いて付けてくれました。
「洒落とるじゃろ?」って嬉しそうに付けてくれました。




